自衛隊の給料・年収はいくら? 高卒と大卒の違い・幹部は1,000万円を超える?
業務の特殊性から、一般的な職業よりも給与水準は高めに設定されています。
この記事では、自衛隊の給料や年収事情について詳しく解説します。
自衛隊の平均年収・給料の統計データ
まずは、自衛隊の平均年収・給料について、国が発表しているデータをみながら説明します。
自衛隊の平均年収・月収・ボーナス
自衛隊員は「特別職の国家公務員」であり、給料は基本給にあたる「俸給」と「諸手当」によって金額が決まります。
ここでは自衛隊員の中でも、最も一般的な「自衛官」の給料について紹介します。
自衛官の俸給を定める「自衛官俸給表」を基に算出すると、すべての年代の平均年収は約640万円、平均月収は約40万円となります。
また自衛官のボーナスは「期末手当」「勤勉手当」として6月・12月の年2回、合計して俸給等の約4.5月分が支給され、平均すると150万円程度と考えられます。
参考:防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案の概要
これはあくまで平均値であり、階級や勤続年数、家族構成、各種手当によって金額は変わります。
179,200円~198,100円
平均年収は約300万円
396,200円~545,100円
平均年収は約1,000万円
自衛隊の初任給はどれくらい?
自衛隊の初任給は、採用予定者の学歴・職歴等により異なります。
修士課程修了者等以外:226,500円
修士課程修了者等:243,500円
【院卒者試験合格者(2等陸・海・空尉)】
247,500円
※出典:令和4年度 自衛隊一般幹部候補生採用要項
「幹部候補生」は、将来的に「自衛官候補生」や「一般曹候補生」の上司にあたる幹部としての職務が期待されることから、初任給も比較的高めに設定されています。
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自衛隊の福利厚生の特徴
自衛官は、危険を伴う特殊な任務についていることから、特別職の国家公務員として各種手当がほかの公務員よりも充実しています。
- 期末・勤勉手当(ボーナス)
- 扶養手当
- 夜勤手当
- 単身赴任手当
これら以外に自衛官ならではの特殊な手当もあります。
- 航空手当:パイロットの飛行に対して支給されるもの
- 落下傘隊員手当:落下傘での降下を行うと支給されるもの
- 災害派遣等手当:災害の際に被災地に派遣されると支給されるもの
自衛官は原則として、一定の年齢や階級になるまでは、駐屯地や基地内の寮で団体生活を送ります。
そのため住居費は必要なく、食事や被服、寝具なども支給または貸与されるため、基本的に衣食住にお金がかからず、安定した生活を送ることができます。
駐屯地や基地内にはコンビニなどの売店もあり、医務室や自衛隊病院では無料で診察や治療を受けることもできます。
防衛省共済組合では、隊員の生活のために貯金事業や貸付事業も行われており、全国にあるホテルやスポーツジムやテニスコートなどの組合施設も利用できます。
各種保険や年金も完備しており、こうしたトータルでの待遇を考えると、自衛官は安定した収入を得ることができる職業のひとつと考えることができるでしょう。
自衛隊の給料・年収の特徴
自衛隊の給料・年収の特徴を紹介します。
特徴1.国家公務員としてのルールの下で給料が決まる
自衛隊員を含む国家公務員の給料は、「俸給」と「諸手当」によって決まります。
「俸給」は国家公務員の基本給にあたり、自衛官の場合は「防衛省の職員の給与等に関する法律」という法律に基づき、人事院が作成する「自衛官俸給表」で明確に定められています。
「俸給表」は横軸の「階級」と縦軸の「号俸(ごうほう)」で構成されています。
「階級」の種類には下から順に「士」「曹」「尉」「佐官」「将官」の5段階あり、同じ階級のなかにも1等、2等…と細かな段階があります。
この階級が上がるにつれて俸給も多くなります。
また「号俸」とは職務等級のようなもので、勤続年数や功績などにおける評価を示します。
1号、2号、3号…と表記され、数が多いほど俸給額も増えます。
俸給表において、これらの「階級」と「号俸」を照らし合わせることで、「俸給」が決まります。
同じ階級と号俸であれば、陸海空の所属する部署での違いはありません。
この「俸給」に「諸手当」を加えたものが、最終的な給料額となります。
特徴2.給料は高めに設定されている
自衛官の給料は、一般的な公務員と比べると比較的高く設定されています。
それは、任務の性質上どうしても危険を伴う職務であることと、体力的な問題などから定年退職が早いということを考慮して設定されている金額だと考えられます。
退職の際は、通常の退職手当に加えて、若年退職給付金が2回に分けて支給されます。
その他ボーナスを含む各種手当も充実しており、自衛官の生涯年収は2億円以上になるといわれています。
特徴3.自衛隊学校では学生でも給与が支給される
自衛官としての専門知識などを身につける学校にはいくつか種類があります。
中学卒業後に入学可能な「陸上自衛隊高等工科学校」、幹部自衛官を養成するための「防衛大学校」や「防衛医科大学校」などが挙げられます。
これらの学生は、学生でありながらも特別職国家公務員の身分となり、給与をもらうことが可能です。
- 「陸上自衛隊高等工科学校」月額117,900円
- 「防衛大学校」「防衛医科大学校」月額131,300円
また、期末手当としてボーナスも年2回(6月・12月)に支給されます。
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自衛隊員が収入を上げるためには?
自衛隊は厳しい階級社会となっており、努力や勤続年数により階級を上げることができれば、それにともなって給料も上昇します。
階級によっては昇任するために試験に合格しなければならない場合がありますが、階級を上げることによって1万円ほどは給料が上がります。
また、勤続年数や仕事への評価によって決まる「号俸」を上げることでも、給料はアップします。
号俸は1号から始まり、年に1回、通常は1年に4号ずつ自動的に上がりますが、勤務成績が優秀だと評価されれば6~8号上がることもあります。
逆に評価が悪ければ2号しか上がらない、または1号も上がらないということもあります。
1号上がるごとの昇給幅は、およそ1,000円~2,000円です。
「自衛隊の給料・年収」まとめ
自衛隊の給料は、経験を積んで勤続年数により階級が上がれば上がるほどアップしていきます。
職務の特殊性から給与水準は高めに設定されており、とくに幹部クラスとなると高額な給料をもらうことができます。
しかし、定年退職が早いことを考えると、一般的な自衛官では生涯年収は会社員とさほど変わらない場合があります。