自動車部品メーカーで働くには(大学学部・学歴)

自動車部品メーカー社員になるまでの道のり

模範的な進路

自動車部品メーカー社員として働くには、各社が実施する社員採用試験を受験することが第一歩となります。

現役の学生であれば、在学中に就職活動を行い、「新卒採用」で入社するのが最もポピュラーな進路です。

大手自動車部品メーカーの新卒採用では、募集条件として「4年制大学卒業以上」の学歴が掲げられていることも多いため、高校卒業後、大学に進学しておくと就職活動を進める上で心強いでしょう。

なお、研究開発や生産技術などの技術職を目指す場合は、ベースとなる理系知識も必要となるため、理工系の学部に進学しておくとより将来を描きやすくなります。

ルートはさまざま

大学を卒業し新卒入社する以外にも、自動車部品メーカーで働く方法はいくつか存在します。

<自動車部品メーカーで働く方法(新卒入社以外)>
・未経験採用で入社する
・別の仕事で関連する経験を積んだのち、中途採用(経験者採用)で入社する
・期間工やアルバイト・パートなどの雇用形態で入社し、正社員登用を目指す(ただし生産部門に限定され、将来管理職を目指せる総合職には移行できないことも多い)
・親会社となる自動車メーカー側に就職し、子会社の自動車部品メーカーに「出向」する

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自動車部品メーカーの求人の状況

新卒の求人

大手の自動車部品メーカーでは、毎年80人~100人程度の新卒社員を募集しています。

新卒採用は大きく分けると「技術系総合職」と「事務系総合職」の2つの区分があります。

総合職で採用されると、次のような職種をジョブローテーションで渡り歩きます。

<総合職が担当する職種>
・技術系総合職:設計、実験、開発・研究、生産技術、品質保証など
・事務系総合職;営業、調達、生産管理経理・財務、人事、総務など

理系の学生が技術系総合職、文系の学生が事務系総合職を志望するのが一般的です。

技術系総合職は、文系学生が志望することもできますが、やはり機械工学材料工学などを専攻してきた理系の学生のほうが採用されやすい傾向です。

事務系総合職の採用では、学生時代に学んだ技術やスキルよりも、適性や人間性など人物重視です。

中途採用の求人

自動車部品メーカーでは、新卒採用のほかに、既卒者向けの「中途採用」も定期的に実施しています。

新卒採用のように一括で大量に採用するのではなく、「ブレーキ部品の機械設計エンジニア 若干名」など職種ごとに採用をおこなうのが一般的です。

中途採用では即戦力となる人材を求めるため、これまでの職務経験が重視されます。

「〇〇業務の経験〇年以上」と具体的な経験・スキルが条件として設定されていることも多いです。

未経験採用の求人

学校を卒業した未経験者に対して、「未経験採用」を行っている部品メーカーもあります。

中小の部品メーカーや、営業職などの出入りの激しい職種では、未経験採用が積極的に行われている傾向です。

未経験採用では、新卒採用のように適性・性格・やる気などの人物面が重視され、マッチする人材であれば、文字通り職務経験はなくとも採用されます。

年齢の若さも重要になるため、未経験採用を狙う場合はできるだけ20代の若いうちに行動を起こすことが大切です。

自動車部品メーカーで働くための学部・学歴

学校の種類・学費

自動車部品メーカーを目指す上で通う学校の種類としては、「大学」、「専門学校」、「高等専門学校(高専)」の大きく3種類が挙げられます。

<学校の種類>
・大学:機械や素材の原理などを、学問としてアカデミックに追及できる
・専門学校:実習形式の授業が多く、現場で使うような即戦力となるスキルを身に付けられる
・高等専門学校(高専):5年間の一貫教育で大学と同等レベルの知識が学べる、おもに理系向け

<学費(年間)>
・国公立大学:約53万円
・私立大学:文系学部は約100万円~110万円、理系学部は約130万円~160万円
・専門学校:約100万円~110万円
・高等専門学校(高専):約23万円

一般的には、4年制大学を卒業して自動車部品メーカーに就職する人が多いです。

とくに研究職や技術系の職種につく社員は過半数が大卒であり、さらには大学院の修士課程、博士課程を卒業した人もいます。

有利な学部・学科

技術系総合職を目指す場合は、機械工学・電気電子工学・金属工学・材料工学などの理工系分野を専攻していると、選考でも有利に働くだけでなく仕事でも役立ちます。

目指す職種によって適した専攻分野というのは変わってきます。

たとえば、電子回路の設計をするのであれば電子工学系の知識が役立ち、生産技術関連の職種を目指すのであれば材料工学系の知識が役立ちます。

一部の部品メーカーでは、技術系総合職の採用条件に「理工系学部出身者」が設定されていることもあるので、注意しましょう。

事務系総合職の場合は、出身学部や学科で制限することは基本的にありません。

学歴について

大手自動車部品メーカーの中には、新卒採用の募集条件を「4年制大学以上」と設定している会社も多いです。

高卒、専門学校卒、短大卒では選考へのエントリー自体が行えないことがありますので、選択肢を広げる意味では4年制大学に進学しておくのが確実です。

なお、採用時の学歴によって初任給(基本給)の額も変わってきます。

大手自動車部品メーカーの場合、大卒(学士)の初任給は約20~21万円ですが、大学院の修士了であれば約23万円~24万円、博士了であれば25万円以上といったかたちで、学歴に応じて初任給額も上乗せされていきます。

高卒や専門学校卒では、初任給が20万円を下回ることもあります。

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自動車部品メーカー社員になるのに有利な資格はある?

資格の必要性

自動車部品メーカーで働くうえで、特別に必要となる資格や免許というのはありません。

採用選考においても、特定の資格が応募条件として設定されていることはなく、なんの資格を持っていなくても選考に参加できます。

とはいえ資格を所持しているというのは、その仕事に対しての熱意や意欲の表れともなり、一定の専門知識を有している証ともなりますので、少なからず面接官からの評価は高まります。

未経験者であれば、資格を取得するまでのエピソードなどを、志望動機や自己PRでの話のネタとして活用することもできます。

資格の勉強を通じて業務に関する理解を深められるため、現場に配属後されたあと、仕事に入っていきやすくなるでしょう。

また資格の勉強を通して、業務に関連する知識やスキルを深められるため、配属後の実務に役立てることもできます。

おすすめの資格

目指す職種や配属される部署によって、おすすめの資格というのは変わってきます。

自動車部品メーカーの設計職・技術職に有利な資格

<設計職や技術職におすすめの資格>
・CAD利用技術者試験:民間資格 難易度 易しい
参考:一般社団法人コンピュータ教育振興協会(ACSP) CAD利用技術者試験

・技術士:国家資格 難易度 難しい
参考:公益社団法人日本技術士会

・機械設計技術者(機械設計職向け):民間資格 難易度 やや難しい
参考:一般社団法人日本機械設計工業会

・ディジタル技術検定(電子系・回路設計職向け):公的資格 難易度 易しい
参考:公益財団法人国際文化カレッジ ディジタル技術検定

・EMC設計技術者資格(電子系・回路設計職向け):民間資格 難易度 やや難しい
参考:一般社団法人関西電子工業振興センター EMC設計技術者試験

・情報処理技術者試験:国家資格 難易度 やや難しい
参考:情報処理推進機構 情報処理技術者試験

今の時代の設計の仕事は、CAD(Computer-Aided-Design)を使い、コンピュータ上で行うのが基本であるため、「CAD利用技術者試験」を所持していると設計関連の仕事をする上で役立ちやすいです。

機械設計を目指すのであれば「機械設計技術者」、電子系の回路設計を目指すのであれば「ディジタル技術検定」や「EMC設計技術者資格」といったように、設計エンジニアのタイプによっても適した資格というのは変わってきます。

近年は自動車部品とITが結びつく時代ともなってきているため、IT系の資格である「情報処理技術者試験(基本情報技術者試験など)」を所持していると、知見が広がり技術者としては心強いです。

IoT(Internet of Things)や自動運転関連の部品を扱うメーカーの場合、ITと密接にかかわるため、情報処理技術者試験の意味は大きくなります。

自動車部品メーカーの工場勤務に有利な資格

<工場勤務におすすめの資格>
・危険物取扱者資格:国家資格 難易度 易しい(乙種)
・フォークリフト免許:国家資格 難易度 易しい

参考:一般社団法人消防試験研究センター 危険物取扱者について

参考:KOMATSU フォークリフト運転技能講習

生産管理や工場作業員のような工場勤務の職種では、「危険物取扱者資格」や「フォークリフト免許」が仕事をするうえで役立つことが多いです。

特に期間工(期間従業員)・派遣社員・アルバイトなどの非正規雇用のスタッフの場合、これらの生産系の資格を所持していると効果は大きくなります。

<非正規雇用者が資格を取得するメリット>
・選考での採用率がアップする
・時給額が一回りアップする、もしくは資格手当がつく
・正社員登用の足掛かりになる

自動車部品メーカーの社員全般に有利な資格

英語系の資格

自動車部品メーカーでは、職種問わず社員全般に「英語力」を求めている企業が目立ちます。

技術職や生産管理などの職種であっても、海外の支店や工場に赴任となったり、海外の部署と連携する機会も多いため、英語力は欠かせません。

多くの自動車部品メーカーが「TOIEC」や「TOEFL」などの英語系の資格を重視しています。

中途採用などでは、募集条件に「TOIEC〇点以上」と具体的にスコアの指定までされている会社もあり、条件を満たさないとエントリーができない会社もあります。

総合職採用の場合、目安としてTOEIC550~600点以上のスコアがあるとよいでしょう。

また英語だけでなく、中国語、タイ語、メキシコ語など、支店や工場のある現地の言語も理解しているとより有利にビジネスを進められます。

自動車部品業界は大きな変革の中にあり、今後はこれまで以上に海外市場に目を向ける会社が増えるといわれているため、語学力も重要となってきます。

普通自動車免許

必須ではないものの「普通自動車免許」は取得しておくに越したことはありません。

普通自動車免許を取得するにあたって、自動車の構造や交通ルールなど、クルマにまつわる基本を理解することができます。

クルマを実際に運転してみないと見えてこないこともあるため、運転免許は自動車部品の開発や製造をするうえでプラスになります。

また、打ち合わせなどで各地の支店や自社工場に出向く際も、運転免許があれば営業車で移動ができるるので便利でしょう。

自動車部品メーカーに向いている人

自動車部品メーカーに向いている人の性格的特徴としては、次のようなものが挙げられます。

<自動車部品メーカーに向いている性格・適性>
・部品や自動車、機械に興味がある人
・モノづくりへの情熱がある人
・チームで働くことが好きな人
・グローバルに活躍したい人
・確実で間違えのない仕事ができる人
・地味で裏方の作業でもコツコツと頑張れる人
・真面目、丁寧、誠実なタイプの人
・年功序列型の環境に抵抗がない人
など

自動車部品という特殊な製品を扱う業界であるため、大前提として、部品、自動車、機械などに興味関心のある人が適しています。

自動車部品というのは目立たないながらも影からクルマを支えるものであり、部品一つの不良で事故に繋がる危険性もあります。

人の命を預かる重要なパーツであることを自覚し、裏方ながらも熱意をもち、正確かつ丁寧な仕事が行える人が向いています。

自動車部品メーカー社員に向いている人・適性

自動車部品メーカー社員のキャリアプラン・キャリア

入社後のキャリアの歩み方

総合職として採用された場合、入社後は1ヶ月~数か月後の導入研修を受けたのち、本人の要望や適性に合わせて、各部署に配属される形となります。

配属後は、所属部署の上司や先輩社員からOJT(職場内訓練)を受けながら、仕事を覚えていき、社員としての基礎を身につけます。

その後は「ジョブローテーション」制度の下、2~3年置きに各部署を渡り歩き、幅広い経験を積みながら、将来会社を背負って立つ人材を目指します。

また、本人の要望や職場の状況によっては、ジョブローテーションをせず、一つの部署や職種に何年も携わるケースもあります。

その先のキャリアプラン

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30代40代になると、徐々に係長や課長といった管理職にシフトして、周囲をまとめるポジションにつくのが一般的です。

また、系列の子会社や関連会社に「出向」して、出向先の会社で管理系の業務を担当することもあります。

自動車部品メーカーは「年功序列」を採用している企業が多いため、真面目に長年勤務していれば、着実に昇進しやすい環境です。

昇進を繰り返しながら定年まで勤め上げる人が多いですが、そのほかにも次のようなキャリアプランを描く人もいます。

<特殊なキャリアプラン例>
・部品メーカーでつちかった経験やスキルを武器に、外資系企業などへ転職する
・独立し自ら部品会社や仲介会社を立ち上げる
・フリーランスとして活躍する

自動車部品メーカー社員は高卒から目指せる?

大手メーカーの高卒採用

大手自動車部品メーカーの新卒採用では、残念ながら高卒者は採用対象から除外されていることが多いです。

または生産部門職などに限定された採用となり、将来的に管理職を目指せる総合職採用は難しいでしょう。

一方で中途採用であれば、大手メーカーであっても学歴で制限することは少なく、職務経験やスキルを重視しての採用となります。

まずは高卒でも入社できる中小の部品メーカーなどで職務経験を積み、その経験を足掛かりにいずれ大手の部品メーカーへ転職するという方法をとることは可能です。

中小メーカーの高卒採用

中小の自動車部品メーカーであれば、大手のように学歴を厳しく制限していません。

地域密着型の中小部品メーカーであれば、地元の高校生を積極採用している企業もあります。

若者のクルマ離れから人材が集まらず、人手不足に陥っている中小メーカーもあるので、高卒で入社するチャンスもあるでしょう。

自動車部品メーカーへの転職を検討するなら、転職エージェントに相談してみよう

未経験や中途で自動車メーカーを目指す場合には、転職エージェントに登録しておくのもおすすめです。

自動車分野に強い転職アドバイザーから、業界情報を聞くことができたり、自動車部品メーカーの「非公開求人」の情報を得ることができます。

まだ転職するか迷っている、そもそも自動車部品メーカーが自分に合っているか不安という段階でも、専門家のアドバイスを聞くことでキャリア選択の幅を広げることができます。

リクルートエージェントは、転職エージェントの中で最も求人数が多く、転職実績もNo.1となっているので、まず登録しておきたいエージェントです。

また、20代の方や第二新卒の方は「マイナビジョブ20's」に登録してみるとよいでしょう。

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