不動産営業の需要・現状と将来性

不動産営業の現状

不動産の売買仲介や賃貸仲介は、国または都道府県または国の免許制となっており、そのような許可を受けた不動産会社は、一般的に「宅建業者」と呼ばれます。

不動産営業のおもな勤め先であるその宅建業者の数をみれば、全国で約12万業者ほどとなっており、ここ数年ずっと増加傾向が続いています。

これは、全国におよそ5万店舗~6万店舗ほどあるコンビニエンスストアの2倍以上という高水準です。

さらに、自社で物件を所有するいわゆる「大家」形態の会社や、用地開発などを手掛けるディベロッパーと呼ばれる会社まで含めると、不動産業に分類される企業数は実に30万社を超えています。

その一方で、日本の人口は少子高齢化を受けて減少局面に転じており、年々不動産を探す人は少なくなっています。

これらの事実が意味することは、「不動産業者の供給過剰」であり、不動産会社のフロントマンである営業職も、年々お客さまを獲得し、利益を上げることに苦心するようになっているのが現状です。

今後、さらに人口減少が進むにつれて、競争環境はさらに悪化していくことが予想されています。

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不動産営業の需要

こうした厳しい現状とは対照的に、不動産営業の需要はかなり豊富にあります。

少し求人情報を検索してみるだけでも、就職先はかなり簡単に見つけることができるでしょう。

その理由は、不動産営業の離職率の高さにあります。

不動産営業は、就職するために学歴や資格が求められるわけではなく、誰でも気軽に始めやすいうえ、成績しだいでいきなり大金を稼げるチャンスがあります。

一攫千金を夢見て不動産業界に入ってくる人も大勢いますが、そのほとんどは思ったような結果を出すことができず、ノルマのプレッシャーに負けて、早々に辞めていきます。

それによって生じた欠員を補うため、不動産会社は常に営業職を募集していますので、需要はいつでも相応にあります。

ただ、業界環境が厳しさを増していることは間違いありませんので、かつてのように大金を稼ぎにくくなっているという点には、留意しておく必要があるでしょう。

不動産営業の将来性

不動産の需要自体がどんどん落ち込んでいくことを考えると、不動産を紹介することによって手数料を稼ぐ不動産営業の将来性も、決して明るいものとはいえません。

数年単位ならまだしも、10年、20年という中長期的スパンでみると、よほど営業手腕に秀でた人でない限り、同じように活躍し、利益を上げ続けることはきわめて困難です。

マーケットが縮小していくなかで生き残っていくには、業界の代名詞的資格といえる「宅地建物取引士」を取得し、契約業務まで手掛けられるようになることが、最低条件となるでしょう。

加えて、「ファイナンシャルプランナー」や「住宅ローンアドバイザー」など、不動産と関連性の高い資格を取得するなど、できることを増やしていく努力も必要です。

参考:一般財団法人不動産適正取引推進機構 宅建試験
参考:日本FP協会
参考:一般財団法人住宅金融普及協会 住宅ローンアドバイザー

これからの不動産営業には、営業職としての働き以上の専門的スキルが求められるようになると覚悟しておくべきです。

宅建士の仕事
ファイナンシャルプランナーの仕事

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不動産営業の今後の活躍の場

不動産営業の今後の活躍の場として、「IT化の推進」と「特定顧客への専門化」という2つのキーワードが挙げられます。

政府はあらゆる分野でIT化を進めており、不動産業界においても、契約書の署名捺印はデジタル化され、契約時に必須である「重要事項の説明」も、テレビ会議システムなどを用いて非対面で行えるようになる予定です。

しかし、不動産業界は未だに古い慣習や体質が根強く残っており、経営陣も高齢者が多いため、IT化に対しては消極的であるケースが目立ちます。

もしもIT分野に対する苦手意識がなく、積極的に新しい技術を取り入れていけるなら、既存の業者とはまた違った活躍ができるかもしれません。

また、不動産会社のなかには、あえて扱う物件や対象顧客を絞り、一分野に特化して特徴を出すことで、生き残っていこうとしている企業も散見されます。

たとえば非正規雇用などの低所得者を対象とした格安物件ばかりを扱ったり、外国人向け物件、女性専用物件を扱うところなどがその事例です。

裁判所や官公庁が扱う競売・公売といったオークション形式の物件や、富裕層向け投資物件ばかりを扱う企業もあります。

時代のニーズをとらえ、競合他者との差別化を図れるような独自のフィールドを見つけ出すことができれば、市場が先細っていくなかでも活躍し続けられるでしょう。