物流企業の年収はいくら? 給料相場をくわしく解説

物流業界の平均年収はおおよそ約450万円前後で、年齢と共に収入も増加する傾向があります。

具体的な収入は、企業の規模、職種(総合職かドライバーか)、および国内または国際物流などの違いによって異なりますので、一概に言い表すことは難しい面があります。

特に40代や50代のベテラン社員は、高い収入水準を持つことが一般的です。

物流企業社員の平均年収・給料の統計データ

物流企業内での給与事情は、職種によって大きく変わります。

オフィス系職種(物流管理など)の平均年収は約450万円前後で、総合職として、オフィスでの業務を担当します。

肉体労働系職種(港湾荷役、トラック運転手、倉庫関連など)の平均年収は400万円以下の場合もあります。

これらの職種は肉体的にハードな仕事であるものの、平均年収はやや低めです。

国際物流関連職種(海外営業、貿易業務など)で働くには英語力などが必要で、国際物流を担当するため平均年収は国内物流よりも高めです。

物流企業社員の平均年収・月収・ボーナス

20代後半、月収23万円の物流企業社員をモデルケースにします。

月23万円
ボーナス92万円(夏冬1回ずつ、計4か月分)
月収にボーナスを足すと年収368万円

各種社会保険料や所得税など差し引いた「手取り額」は、約19万円です。

物流企業社員の初任給はどれくらい?

大手の物流企業の初任給の目安は、総合職(大卒)で約21万円から22万円程度が一般的です。

一方、地方などの中小の物流企業では、初任給が20万円を下回ることもあります。

さらに、初任給は入社者の最終学歴によっても変動します。

例えば、短大卒や専門学校卒の場合、大卒者よりも約1万円程度初任給が低く設定されることがあります。

また、高卒の場合は、通常は大卒よりもさらに約1万円程度低い初任給となることが一般的です。

ただし、初任給は企業の方針や地域によって影響を受けるため、企業ごとの給与情報を確認することが重要です。

物流企業の福利厚生の特徴は?

大手の物流企業は、長い歴史と充実した企業体制を持っているため、福利厚生の制度が充実していることが一般的です。

各種社会保険完備、財形貯蓄制度、社員持株会、退職金、住宅積立預金、確定拠出年金、寮・社宅貸与、保養所などさまざまな福利厚生が用意されています。

一方で、中小の物流企業では規模が小さいため、福利厚生制度が限定的なことがあります。

社会保険などの最低限の福祉制度しか提供していない場合も珍しくありません。

また、倉庫スタッフなどの一部の職種は非正規雇用となることが多く、正社員と比べて福利厚生が限られていることがあります。

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物流企業の給料・年収の特徴

年功序列の会社が多め

物流企業の多くは、長い間「年功序列」を採用してきました。

このしくみでは、経験年数や年齢に応じて給与が段階的に増えていくため、20代から30代前半までの若手社員の給与が比較的低いことが一般的です。

しかし、近年では物流業界でも「成果主義」を採用する企業が増えています。

成果主義では、個々の能力や業績に応じて給与が決定されるため、実力を発揮しないと給与が伸び悩む可能性があります。

成果主義を取り入れることによって、社員が成果を上げるために積極的に働く動機づけとなり、給与の公平性を示そうという企業が増えています。

今後、物流業界においても、従来の年功序列と成果主義の組み合わせや、個々の企業ごとに独自の給与制度を採用するところが増えていくでしょう。

総合職は収入水準が高め

物流企業において、新卒の総合職として採用された社員と倉庫スタッフやドライバー職として採用された社員との給与と昇進のスピードには違いがあります。

総合職の場合、専門的な知識や管理スキルを磨く機会が多く、昇進の機会が比較的早いです。

これに伴い、給与水準もほかの職種に比べ比較的高くなる傾向です。

一方、肉体労働系の職種としてスタートした場合、昇進までのスピードは総合職よりも遅いことが多いです。

ドライバー職はインセンティブ報酬もある

配送ドライバーなどの職種ではインセンティブ報酬があり、成果主義の一形態として、頑張った分だけ収入を向上させることができます。

しかし、その一方で報酬を獲得するために、一定のノルマや目標を達成する必要があります。

これは、一日の仕事量や配達件数に応じて設定されることがあり、ノルマを達成するために残業をすることが必要な場合もみられます。

物流企業の勤務先別の給料・年収

大手物流企業の給料事情

大手の物流企業、特に東証一部に上場している企業では、平均年収が700万円前後と高い水準であることが一般的です。

大手企業は、高度な物流インフラを持ち、国内だけでなく国際的な物流ニーズに応えるために幅広い業務を展開しています。

そのため、従業員には高い専門知識やスキルが求められ、競争が激しく、採用倍率も高い傾向です。

一方で、高い給与水準には高い責任や労働条件の厳しさも伴うことがあります。

中小物流企業の給料事情

物流は日本の基軸産業であり、多くの中小の物流企業があります。

地方の小さな物流企業などでは、平均年収が400万円を下回ることがあり、ボーナスや退職金などの福利厚生が支給されないことがあります。

一方で、業績が好調な企業や、特定の分野で競争力を持つ企業では、中小であっても高水準の給与を支給することがあります。

成果主義の給与制度を導入して、実績に応じた報酬を提供する企業も増えています。

海運、空運系はさらに高額

海運系の物流企業(日本郵船、商船三井、川崎汽船など)や空運系の企業(ANA、JALなど)は、国際物流に特化し、高い給与水準を提供していることが一般的です。

こうした企業では、平均年収が1000万円に近い額や800万円前後という高い水準が一般的です。

これは、国際物流において世界的な競争に挑むため、高いポテンシャルを持つ従業員を求めているためであり、高度なスキルや責任を担う仕事に対価を払っているといえます。

一方で、高い給与水準に見合うだけの専門知識やスキルを身につけるために、継続的な努力と学習が必要です。

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物流企業社員が所属する代表的な企業の年収

会社名 平均年収 平均年齢
日本通運 586万円 43.5歳
SGホールディングス(佐川急便) 762万円 37.6歳
日本郵船 1082万円 39.8歳

出典:2019年現在(各社有価証券報告書より)

日本通運の平均年収

「日本通運」は、トラック輸送、鉄道輸送、海運、旅行業まで、幅広い物流ビジネスを手がける総合物流企業です。

年功序列が根付いた社風で、大手ながら若手のうちはさほど収入は高くありませんが、役職がつき始めると収入は一気に伸びていくようです。

SGホールディングスの平均年収

「SGホールディングス」は、佐川急便の持株会社にあたります。

個人宅などへの配送事業を軸としつつ、国際物流事業や不動産事業なども手がけています。

SGホールディングスも年功序列タイプの企業であり、管理職まで昇進すると年収1000万円近くに届くこともあるようです。

また同社ではドライバーも高収入職にあたり、活躍しているドライバーの中には年収700万円以上を稼ぐ人も多いようです。

日本郵船の平均年収

日本郵船は、三菱財閥(三菱グループ)の中核企業にあたる国内最大手の海運会社です。

大型コンテナ船などを利用し世界各国へ海運物流を手がけています。

平均年収も高く、社内には年収1000万円を越える社員も数多いようです。

教育制度も充実しており、社員向けのMBA留学制度なども用意しています。

物流企業の正社員以外の給料・年収

派遣社員

物流業界の派遣求人は多くが倉庫作業やドライバー向けに提供されており、時給は求人内容や特殊なスキル要件によって異なります。

商品のピッキング、梱包、仕分けなど一般的な倉庫作業では、1300円から1500円程度の時給が一般的です。

冷凍倉庫や特殊な環境での作業は、通常の倉庫作業よりも時給が高いことがあります。

またフォークリフト免許を持っている場合、そのスキルに応じて時給が高く設定されることがあります。

そのほか、中型・大型免許を持つドライバーに対する求人は、通常の倉庫作業よりも時給が高めで、時給2000円以上の求人もみられます。

アルバイト

アルバイトとしての倉庫作業やドライバー職の求人も物流業界では一般的で、時給は派遣社員よりも一般的に低い水準で提供されることがあります。

商品のピッキング、梱包、仕分けなどのアルバイトの場合、時給は通常900円から1100円程度です。

アルバイトのドライバーの時給は、通常の倉庫作業よりもやや高めで、地域や求人内容によって異なります。

一般的には900円から1100円程度が目安ですが、特に中型・大型車両の運転が求められる場合、時給が高いことがあります。

独立・開業

物流業界において、配送ドライバーの仕事は独立や自営業の道も広がっており、フリーランスのドライバーとして活動することが可能です。

自分の車両を所有し、荷主との契約に基づいて荷物を運ぶ独立したドライバーも多数活躍しています。

自営業のドライバーは自身のスケジュールを管理して収入を得ることができますし、配送業界で独立する「赤帽」のような組合も存在し、ドライバーを支援しています。

さらに近年、荷主とドライバーを直接結びつけるオンラインマッチングサービスも増加しています。

こうしたプラットフォームは、ドライバーが仕事を見つけ、契約するのに役立つだけでなく、ドライバーは自分のスケジュールに合わせて仕事を選び、自由度の高い働き方が可能です。

物流企業社員が収入を上げるためには?

物流業界は多くの場合、年功序列を採用しており、長期間の勤続に応じて基本給が上昇していきます。

勤続年数が増えるほど、給与水準も向上します。

さらに管理職に昇進すると、役職手当が支給され、収入を大幅にアップさせることができます。

ただし管理職のポジションは限られているため、競争が激しいことが一般的です。

そのほか、物流業界外への転職も一つの選択肢です。

海運や空運系の物流企業は高い給与水準が一般的であり、多くの人にとって魅力的な転職先です。

物流企業の年収のまとめ

物流企業の社員の年収は多岐にわたり、職種、経験、地域、企業の規模などによって大きく異なります。

一般的な総合職の平均年収は約450万円前後で、40代から50代にかけて年収が上昇する傾向にあります。

大手企業や海運・空運系企業では高い収入が期待でき、年収700万円以上の社員も多い一方で、肉体労働系の職種や中小企業では年収が低めであることがあります。