物流企業の現状と将来性

物流企業の現状

物流は社会に必要不可欠

物流というのは、現代の社会や経済を回す上で必要不可欠なものとなっています。

仮に物流がストップすると、私たち消費者は食料品や衣服、ガソリンなどを手にすることができなくなるため、これまで通りの日常生活をおくることが困難になります。

メーカーなどの企業も、物資や原材料が届かなければ、新しいモノを造り出すこともできません。

そのように私たちの生活は物流に依存してもいるため、物流サービスには一定の社会的需要があります。

今後も、モノの出し手と受け取り手が存在するかぎり、需要が約束された仕事であることは変わりありません。

ネットショッピングにより需要拡大

インターネットやスマートフォンが普及したことにより、Amazonを筆頭としたECサイトのネットショッピング需要が急増しています。

その影響から、近年はとくに個人宅への小口発送が大きく増えている状況です。

今後もこの流れは拡大し、より小口発送の荷物は増えていくともいわれています。

しかし小口発送の増加は、物流業界にとってよいことばかりではありません。

個人宅への配送は、届ける荷物が少量でもトラックを出す必要があるため、トラックの「積載率」が低くなり、業務効率を低下させる課題もあります。

不在荷物の対応などでトラックドライバーへの負荷も大きくなるため、将来的にはドローンなどを使った配送も計画されています。

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物流企業の需要

人手不足により求人は多い

ネットショッピング需要の急増もあり、物流業界では全体的に人手が不足しています。

とくに「配送ドライバー」、「倉庫スタッフ」などの現場系の職種では人手不足が深刻化しており、埋まらない求人が数多く溢れている状況です。

こういった職種では、「経験不問」「年齢不問」「WワークOK」など緩い条件で出されている求人が多く、意欲や適性があれば、採用されるのはさほど難しくありません。

一方で、法人営業、企画、経営管理といった本部系の職種は、人手不足ではあるものの経験が問われるのが基本です。

たとえば法人営業の求人であれば、「物流業界での法人営業の経験〇年以上」といったように、職務経験やスキルに対して具体的な指定のある求人が目立ちます。

総合職はハードルが高め

「総合職」は、さまざまな職種をジョブローテションで経験し、将来の管理職を目指すポジションです。

総合職の場合、一般的には大学や専門学校を卒業する新卒学生が採用対象となります。

大手の物流企業では、毎年数百名もの学生を総合職として採用している会社もありますが、総合職の人気は高く、難関大学出身の学生、大学院卒の学生なども多数応募してきます。

総合職は人手不足下であっても採用のハードルは高めであり、有名企業であるほど入社は狭き門となります。

物流企業の将来性

価格競争は激しくなる

物流ビジネスというのは、「モノを運ぶ」というシンプルな形態であるため、どこの会社も同じようなサービスになりやすく、同業他社と差別化がしにくいのが特徴的です。

そのため、差別化をするには「配送料の安さ」という価格面で勝負しなければならない面があります。

格安配送業者なども乱立するなか、価格競争は今後より過熱していくとも考えられています。

そうなると人件費などのコストも削減していく必要があり、ドライバーや倉庫スタッフは同じ時間でより多くの仕事を処理しなければならず、現場への負荷が大きくなる問題が生じてきます。

非効率な部分の統合化が進む

物流企業では、倉庫・流通加工場・荷捌き(にさばき)用施設などの物流施設を各地に分離して設置しており、その間をトラックが行き交い、無駄な輸送を行っているケースが目立ちます。

そのような各施設の機能を一つにまとめた「輸送連携型倉庫(特定流通業務施設)」を設置して、非効率な輸送を削減し、燃料消費やCO2排出を抑えようとする動きも進んでいます。

また、物流企業同士で施設を共有し、業界全体で効率化を目指す動きも進められています。

「物流総合効率化法」と呼ばれる物流効率化や輸送網の集約のための法律も設立され、国としてもサポートを進めています。

トラック輸送からの転換(モーダルシフト)

国内の物流は、以前としてトラックでの輸送に依存している部分が大きいです。

トラックというのは、鉄道や船に対して荷物を積める量は少なく、CO2排出量も多めです。

また、人手不足や配送料の値下げ競争が進む中、過酷な労働をしいられているドライバーも増えています。

こうした問題を解決するべく、トラックから鉄道、船、航空機などに輸送方法を分散していく「モーダルシフト」とよばれる取り組みを国と物流業界が一丸となって進めています。

また、トラックドライバーの労働環境を改善するため、さまざまな施策が計画されています。

<トラックドライバーの労働条件に関連する規制の施行予定>
・2019年4月:有給休暇の時季指定(条件を満たす労働者に年5日の年次有給休暇を取得させることを義務付け)
・2023年4月:中小企業の月60時間超の時間外労働の割増賃金率の引き上げ(50%以上)
・2024年4月:トラックドライバーへの時間外労働の上限規制の適用(年960時間以内)

ITやAIの導入

人手不足の対策や業務の効率化のため、倉庫内にITシステムやロボットなどを導入する動きも始まっています。

以前は人の手で行われていた業務も少しずつ自動化が進んでおり、少ない人員で物流を回せるようになりつつあります。

将来的には、輸送トラックにAIによる自動運転機能を積み、ドライバーなしで配送センター間の輸送ができるような仕組みも計画されています。

さらに個人宅への小口発送などにおいては、小型トラックから「ドローン」を使った無人配達にシフトしていく構想もあります。

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物流企業社員の今後の活躍の場

ネット系企業の物流部門

ネットショッピングの需要拡大にともない、ECサイトの運営だけでなく、自社で物流まで手掛けようとするネット系企業も増えてきています。

その筆頭となるのが米ECサイト大手の「Amazon」であり、すでに日本国内でも各地にAmazon物流センターを設置し、物流事業の基盤を固めつつあります。

ネット系企業の場合、物流事業に進出しようにも最初はその分野のノウハウが乏しいため、物流業界の経験者の力を求めることになるでしょう。

そのため物流業界で十分な経験を積めば、将来的にそのようなネット系企業の物流部門で活躍することもキャリアプランとして描けます。

マッチングサービスにより自由化が進む

荷主・倉庫・車両・ドライバーなどをマッチングさせる物流ビジネス向けの「マッチングサービス」も増えてきています。

たとえば、空いている時間のみマッチングサービスで付近の配送仕事を請け負い、Wワークなどで働くことも可能です。

ただでさえドライバーは人手不足のため売り手市場ではありますが、大型免許や牽引(けんいん)免許などを持つ経験者はより引く手数多な状況です。

それこそマッチングサービスを駆使すれば、より自由に、より自分の望む仕事を選べるようになるでしょう。