ケアマネジャーの年収・給料はどれくらい? 初任給やボーナス、統計データも解説
ケアマネジャーは介護福祉士と兼任するなどの働き方が多くなっています。
収入は勤務先によっても変わり、どこかに所属しているのか、独立したのかなどによっても違いが出てきます。
本記事では、ケアマネジャーの平均年収や初任給、収入の上げ方などを紹介します。
ケアマネジャーの平均年収・給料の統計データ
ケアマネジャーはほかの仕事を兼任して働く場合が多いようです。
介護施設において「介護福祉士」として介護の仕事を担当しているものの、ケアマネジャーの資格を持っていることから施設ケアマネを兼務しているといったパターンがあります。
また、企業に勤務するケアマネジャーと独立型ケアマネジャー、自分で居宅介護保険事業所を開業している人など、勤務形態によっても収入は大きく異なります。
ケアマネジャーの平均年収・月収・ボーナス
賃金構造基本統計調査
厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」の結果によると、平均年齢52.3歳で年収は422万円となっています。
また、月額給与は約30万円、年間のボーナスは約65万円です。
・平均年齢: 52.3歳
・勤続年数: 10.7年
・労働時間/月: 166時間/月
・超過労働: 4時間/月
・月額給与: 297,100円
・年間賞与: 651,000円
・平均年収: 4,216,200円
出典:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」
※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。
求人サービス各社の統計データ
職業・出典 | 平均年収 | 年収詳細 |
ケアマネージャ (転職会議) |
356万円 | 20代前半:300万円 |
20代後半:324万円 | ||
30代:354万円 | ||
40代以上:367万円 | ||
ケアマネジャー (Indeed) |
3,472,595円 | 時給 1,218円 |
日給15,190円 | ||
月給245,865 円 | ||
介護福祉士/ケアマネジャー (DODA) |
332万円 | 男性:355万円 |
女性:310万円 | ||
20代: 302万円 | ||
30代 :353万円 | ||
40代 :367万円 | ||
50代〜:379万円 | ||
生涯賃金:1億5,686万円 | ||
ケアマネジャー (求人ボックス) |
342万円 | 月給:28万円 |
各社のデータより、ケアマネジャーの年収は300~400万円の間といえます。
ケアマネジャーの手取りの平均月収・年収・ボーナスは
各社の統計データをもとに算出すると、ケアマネジャーの平均年収は330万円前後です。
賞与(年2回合計)が基本給の3倍とすると、月額総支給額は24万円、ボーナスは年間72万円ほど支給されていると考えられます。
東京都で勤務するケアマネジャーで独身の人の場合、交通費などを除外して考えると月の手取り額は19万円ほどになると見込まれます。
現在、日本人全体の平均年収が約420万円と言われていることから考えると、一般的な職業よりも給与水準は若干低めです。
ケアマネジャーの初任給はどれくらい?
初任給は、都内の場合19万円から25万円、地方では18万円前後のところが多いようです。
これには基本給のほか、資格手当や処遇改善手当などが含まれています。
夜勤をする場合は、このほかに夜勤手当が支給されます。
事業所によっては、作成したケアプランの件数によってさらに手当が付く場合があります。
ケアマネジャーの勤務先の規模別の年収(令和5年度)
ケアマネジャーの年収は、勤務先の規模が大きくなるとやや高くなる傾向があります。
10〜99人規模の事業所に勤めるケアマネジャーの平均年収は400万円、100〜999人規模は431万円、1,000人以上規模は446万円、10人以上規模平均は422万円となっています。
※賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。
ケアマネジャーの勤務先の年齢別の年収(令和5年度)
ケアマネジャーの年収は、年齢が上がってもあまり変わらない傾向にあります。最も年収が高い世代は、50~54歳の446万円です。
全年代の平均年収は422万円となっています。
ケアマネジャーの福利厚生の特徴は?
ケアマネジャーの基本給は決して高いわけではありません。
それは賞与からみてとれます。
社会福祉法人の一般的な賞与(1年)は基本給の3.5倍とされています。
ケアマネジャーの年収から比較すると賞与の比率が低いことから、基本給の割合が低く、各種手当の比率が高いことがうかがえます。
ケアマネジャーは、資格手当が約1万円のほか、夜間連絡の担当(オンコール)手当、残業・休日出勤手当など多くの手当がつき、全体的な年収の増加に繋がっています。
介護業界の賃金は、他業種に比べて低めの水準です。
その中で正規で働くケアマネジャーは夜勤をしなくてもある程度の給与は保証されているため、他の介護職と比較すると待遇はよいといえます。
ただし、仕事柄、残業や休日出勤などが多くなりがちななかで、残業・休日出勤手当が出ない職場においては、仕事量に対して見合った給与がもらえないという声もあるようです。
ケアマネジャーの給料・年収の特徴
女性も安定して働ける仕事
女性の活躍できる職種としてみてみると、ケアマネジャーは年収・待遇面どちらも一般的な仕事よりも優遇されていることがわかります。
また、働き方についてもパートから正社員まで選択肢が豊富で、妊娠・出産などライフステージに大きな変化のある女性にとって魅力的な職種といえるでしょう。
アルバイト・パートの給料
アルバイト・パートのケアマネジャーの時給は1,200円〜1,500円程度です。
一般的な介護職のパート時給が850円〜1,000円程度という面からも、専門職として時給面で優遇されていることがわかります。
年収が下がっている?
ケアマネジャーの年収は、過去の年収推計によると平成14年ごろからやや減少傾向にあります。
ケアマネジャーは介護保険制度のもとで働いており、その報酬はケアプランの作成報酬に大きく依存しています。
ケアプランを作成したにも関わらず、利用者が突然入院してしまって、1ヵ月間介護保険のサービスを利用しなかった場合は、介護支援事業所は報酬を受け取ることができません。
介護保険創設時は、ケアマネジャーは報酬を上げるためにたくさんの利用者を抱え込んでいました。
しかし、これにより実際に利用者の顔を見ないでケアプランを書くケアマネジャーも出てくるなど、現場からケアプランの質の低下が懸念されるようになりました。
そこで、ケアマネジメントの質の向上を目指すため、利用者数をたくさん引き受けると単価が下がる仕組みが導入されたという経緯があるのです。
ケアプランの作成料は、すべて介護保険の財源から賄われています。
ケアプラン作成料で報酬アップをしようにも法的な規制があり、一定以上儲けることが制限されているため、大きく年収を上げにくい仕組みとなっているのが現状です。
施設別のケアマネジャーの給料・年収
居宅ケアマネジャー
自宅で生活する方を担当する居宅ケアマネジャーの場合、基本的に残業はあっても夜勤はないため、夜勤手当はがつくことはなく、平均と比べると給料が低めのところが多いようです。
施設ケアマネジャー
特別養護老人ホームなどの施設に暮らす方を対象とした施設ケアマネジャーの場合、ケアマネジャーと介護スタッフを兼任しているのが一般的です。
介護スタッフとして夜勤を担当することもあり、夜勤手当が付くことから居宅ケアマネジャーよりも給料が高くなる傾向にあるようです。
居宅介護保険事業所を開業しているケアマネジャー
一般的に独立して事業所を構える場合、一人30件担当して年収は400 万円程度になるようです。
ただし、独立型の居宅介護支援事業所はどこも経営状況が厳しく、赤字の施設も出てきています。
ケアマネジメントに対する介護報酬が非常に安く設定されていることや、ケアマネジャー一人あたりが担当できる利用者(要介護者)の数は35人までと設定されていることが大きな理由で、収入から経費を除いていくと結果的に給料が減り、赤字になってしまうこともあります。
ケアマネジャーが収入を上げるためには?
ケアマネジャーが少しでも給与をアップさせたい場合には、同じ事業所で経験を積んで昇給を目指す方法が考えられます。
とくに施設の管理者やリーダー的な立場になれば、役職手当によって収入アップが期待できます。
また、たくさんの事業所があるなかで、十分な利益を上げている事業所へ転職できれば、業界のなかでも高給与が望めるでしょう。
ケアマネジャーの給料・年収のまとめ
ケアマネジャーの平均的な年収は400万円前後で、一般的な職業よりも給与水準は若干低めです。
ケアマネジャーの年収は、勤務先の事業所の規模とそれほどは相関がなく、年齢が上がってもあまり変わらない傾向にあります。
十分な利益を上げている事業所へ転職したり、管理職などに昇進したりすることで、安定した収入を得ることができます。