女性の出版社社員のキャリアパス・結婚後の生活

女性の出版社社員の現状

出版社には、男性も女性も大勢活躍しています。

男性向けの雑誌の編集部では女性の比率は低いですが、女性向けの雑誌では編集長をはじめ、ほとんどのスタッフが女性であることも珍しくありません。

ある調査によると、出版社をはじめとする編集部門で働く女性のうち、既婚者の割合は34.4%でした。

男性に対する比率は20代、30代では30%以上と、1/3ほどを女性が占めていることがわかります。

ただし40代では女性の比率は15.6%に下がり、年齢が若いほど、女性の割合が大きくなっています。

出版社の仕事もさまざまですが、とくに編集業務は不規則な生活になりやすく時間的な拘束が厳しめであることから、年齢を重ねると離職する女性もいるようです。

女性の出版社社員の強み・弱み

女性の出版社社員の最大の強みは、「女性目線」でのアイデアを出せることです。

出版する書籍や雑誌の読者となる人は、当然ながら男性も、女性もいます。

もちろん書籍・雑誌の種類や内容によってターゲット層は変わってくるものの、ファッションやライフスタイル誌をはじめ、ミセス向け雑誌、子育て応援雑誌など、女性向けの出版物をつくる機会はたくさんあります。

グルメ雑誌の記者や編集者にも女性が多く、女性ならではの繊細な味覚が誌面構成に生かされています。

一方、女性の出版社社員にとってのネガティブ要因となるのは、やはりプライベートとの両立の難しさが挙げられるでしょう。

「雑誌をつくりたい!」と夢をもって出版社に入る人は多いですが、いざ現場に入ってみると、その多忙ぶりやスピード感の速さに驚く人が多いようです。

毎日、夜遅くまで働く日々だったり、週末もイベントなどで出社しなくてはならなかったりで、プライベートを充実させられるとは限りません。

もちろん配属先にもよるのですが、多忙になる場合も多いため、心身ともにタフで、仕事が大好きでなければなかなか続かないのが現実です。

出版社社員の結婚後の働き方・雇用形態

共働きが当たり前のご時世ですから、出版社に勤める人が結婚しても、パートナーの理解があれば家事を分担して仕事を続けることはできるでしょう。

しかし、多忙で不規則な生活になりやすい編集の仕事は、結婚後は独身時代とは同じように働けない場合があります。

編集職は企画から始まって、取材、制作、印刷と、雑誌や書籍が納品されるまでのすべての工程をトータルで把握し、コントロールする立場です。

作家や取材先の都合、入稿作業の進み具合などによって1日のスケジュールが変動することも多々あり、何時に帰れるかが読みづらいのが実情です。

結婚後、子どもがいないうちはフルタイムで働いていても、妊娠がわかった時点か、妊娠中の体調が不安定な時期に限界を感じて退職する人がほとんどです。

もちろん規模の大きな出版社の場合は福利厚生がしっかりしており、産休後の復帰をサポートする体制も整っていることが多いため、出産後に復帰することは制度上は可能です。

しかし「子どもができるまで」と割り切ってこの職に就いている女性が大半だといえるでしょう。

とはいえ、結婚・出産を経ても効率よく仕事を進め、家庭と仕事を頑張って両立させている女性社員はいます。

会社に貢献していれば、結婚・出産を機に残業が少ない部署に配置してもらえることもありますから、最初からキャリアをあきらめる必要はありません。

出版社社員は子育てしながら働ける?

出版社の編集者は残業が多く、ハードな仕事の代表格ではありますが、体力と情熱があれば男性と対等に働ける職種だと考えてよいでしょう。

しかし、子どもが生まれるとなかなか自分のペースだけでは働けません。

どんなに現場が多忙を極めていても、出産後は子どもの面倒を見るために遅い時間までの残業ができなくなったり、家族と過ごす時間が必要になったりします。

家族の協力を最大限に活用しても、独身時代とは同じように働けない人が多いです。

もし育児中に仕事をするなら、子どもの世話をどのように見るのか家族とよく話し合ったり、同僚に協力を仰ぎつつ「〇時以降の残業は一切しない」と割り切って仕事をするなどの必要があります。

出版社では、業務を滞りなく進め、きちんと結果を残せばうるさくは言われない場合もあるため、子どもが寝ている早朝や深夜に自宅で仕事をして、うまく両立させている人もいます。

子育てしながらの仕事は大変ですが、本人の強い意志があれば、できないことはありません。

出版社社員は女性が一生働ける仕事?

出版社社員を一生続けられるかどうかは、何よりも本人の仕事に対する情熱次第です。

大手出版社は待遇がよく、やる気があれば定年まで働き続けられる環境があります。

長年、地道に現場の仕事を続けて副編集長を経て編集長となるなど、キャリアアップを目指すことも可能です。

また編集者は独立して働ける職種であるため、ある程度のキャリアを積むと、フリーランスや起業の道を選択する人もいます。

多忙な出版業界に身を置く人は、この仕事が好きでやっている人が大半ですから、一生続けるには強い覚悟や努力が求められます。

「ただ、なんとなく」ではよい本は作れませんし、競争の厳しい世界で長年生き残ることもできません。

情熱さえあれば、自分らしく生きる道を模索しながら、一生働き続けることは十分に可能だといえます。