専門看護師とは? 仕事内容や役割をくわしく解説
専門看護師とは?
特定分野の専門知識・技術を深め、高い水準の看護ケアを実践する
専門看護師とは、複雑で解決困難な看護の問題をもつ患者さんや家族に対して、高い水準の看護ケアを行うため、特定の分野において専門性の高い知識と実践看護能力をもつ看護師です。
英表記で「CNS:Certified Nurse Specialist」と呼ばれることもあります。
専門看護師は「公益社団法人日本看護協会」が認定する資格であり、所定の試験を受けて合格し、この資格を取得した人が専門看護師として働けます。
専門看護師の役割
日本看護協会が定める、専門看護師の役割は以下の6つです。
- 実践:個人、家族および集団に対して卓越した看護を実践する。
- 相談:看護職を含むケア提供者に対しコンサルテーションを行う。
- 調整:必要なケアが円滑に行われるために、保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーションを行う。
- 倫理調整:個人、家族および集団の権利を守るために、倫理的な問題や葛藤の解決をはかる。
- 教育:看護職に対しケアを向上させるための教育的役割を果たす。
- 研究:専門知識および技術の向上並びに開発をはかるために実践の場における研究活動を行う。
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専門看護師の専門分野と具体的な仕事内容
専門看護師の専門分野には、2019年12月時点で、以下の13分野
- がん看護
- 慢性疾患看護
- 感染症看護
- 精神看護
- 老人看護
- 在宅看護
- 急性・重症患者看護
- 母性看護
- 地域看護
- 小児看護
- 家族支援
- 遺伝看護
- 災害看護
専門看護師の現場での活躍の仕方はさまざまです。
たとえば患者さんやそのご家族が抱える不安や葛藤などの要因を総合的にとらえて、質の高いケアを行うために、どのような看護が必要か判断して実践します。
また、在宅療養をする患者さんに対して、地域の福祉専門職と連携してケアのアドバイスをすることもあります。
さらに現場の人材育成や調整などに携わったり、施設全体の看護の質向上のための活動を行うなど、一般の看護師よりも少し高い視点をもって活躍できます。
さらに詳しい情報は、日本看護協会のWebページを参照してください。
専門看護師になるには
専門看護師認定試験を受ける
専門看護師は、すでに看護師としての実践経験がある人を対象とした資格制度です。
年に一度行われる「専門看護師認定審査」に合格し、登録手続きをすることで、専門看護師として認定されます。
認定看護師認定審査には受験資格があり、次の3つの条件をすべて満たさなくてはなりません。
- 保健師、助産師および看護師のいずれかの免許を有すること。
- 看護系大学院修士課程修了者で、日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準の所定の単位(総計26単位)を取得していること
- 実務研修5年(3年以上は専門看護分野の実務研修、そのうち6ヵ月以上は修了後の実務研修)
なお、認定は専門看護分野ごとに行われます。
5年ごとの更新が必要
専門看護師の資格の有効期間は5年です。
したがって、審査に合格後してからも専門看護師としての活動と自己研鑽の実績を重ねる必要があります。
更新審査に合格すると、あらためて専門看護師として認定されます。
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専門看護師と認定看護師の違い
専門看護師と同様、専門性の高い看護師の資格に「認定看護師」があります。
どちらも特定の分野において、熟練した看護技術や知識をもち、高い水準の看護実践ができる看護師という点では共通しています。
両者のわかりやすい違いは、「特定の分野」に定められている領域が異なることです。
また、専門看護師は「実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究」の役割を担うのに対し、認定看護師は「実践・指導・相談」の役割にとどまります。
認定審査の受験要件にも違いがあり、専門看護師は大学院に2年間通わなくてはならないのに対し、認定看護師は6ヵ月間の研修の受講が求められています。
認定看護師は、専門看護師よりは認定要件のハードルは低めです。