看護師としてやりがいを感じるとき(体験談)

患者さんにやすらぎの時間を提供すること

看護師の仕事のやりがい、それは何より病気や怪我を抱えた患者さんが健康になることです。

しかし私は、看護師が患者さんの病気を治したり、元気にするわけではないと思います。医師の正しい診断と治療方針、そして患者さん自身の努力や頑張りが病気を克服するのです。

そして、私達は、「看護」という仕事を通じてその手助けをしているに過ぎません。

そんな看護師の仕事で私がやりがいを感じるのは、辛い治療の中で、少しでも患者さんがホッとしたり、気持ちいいと感じる瞬間を提供することです。

例えば、寝たきりの患者さんの身体を拭く時に、ただ拭くのではなく、横を向けてしばらくの間、背中に蒸しタオルを当てて差し上げると、とても気持ちよさそうな表情をされます。

作業時間は普通よりかかりますが、「あぁ、本当にスッキリした。」と患者さんに言われると非常に嬉しく、このような日々の細やかな心配りと作業こそが、看護の基本なのだと感じます。

難しい機械の扱いができるようになること、病気に対する知識を深めること、注射を上手にうつこと、どれも看護師の仕事では大切なことですが、やはり「患者さんとの関わり」の中にこそ“やりがい”を感じます。

努力した結果が仕事に反映される

また、広い知識と、判断力、体力が必要とされ、責任のある仕事はストレスもありますが、意欲を持ち、常に物事を全体から見るように心がけ、医師、看護師仲間、その他の医療スタッフ、患者のことを考えながら行動をしていくと、おのずから自分がしなくてはいけないことが見えてきます。

そして、それに向かって努力をした結果、医師と息があった医療補助ができたり、看護チームの連携が取れたり、患者さんとの間に信頼関係ができたりという「努力した結果」が仕事に反映され評価されると、非常にやりがいを感じます。

もちろん、仕事ではやりがいを感じることばかりではなく、無力感やいたらなさを感じることも多くあります。むしろその方が多いかもしれません。

私自身も、何年たっても忘れられない医師からの叱責や、患者さんの言葉もあります。しかし、同じように嬉しい言葉や、充実した場面もいくつも覚えています。

「病気」という特別な状態を挟み、患者さんと医師と看護婦が関わり合う医療現場は、時に非常に厳しいもの。しかし、これほど深く充実したやりがいを感じる仕事も少ないと思います。