看護実習ではどんなことを学ぶ? 乗り切るためにすべきこと
看護実習とは何か
看護師になるために、看護学校ではさまざまなことを学びます。
「看護とは何か」という基礎の基礎から、人の体のしくみや病気について、患者さんの発達段階に応じた適切なケアの方法など、多くの知識を習得して国家試験に臨みます。
しかし、どれだけ教科書を読んで知識を頭に入れても、寝たきりの人の苦痛や介護のつらさは、それだけではわかりません。
授業で学んだ知識を現場でどう生かしていけばよいのかをしっかりと理解し、実践できるようにすることが大切です。
こういった目的で実施されるのが「看護実習(臨地実習)」です。
看護実習は、看護学校の2年次以降に段階的に行われることが多くなっています。
座学で習得した知識を学内で演習して定着させたのち、実際に医療施設などの現場へ出て実践します。
学校によっては1年次から実習科目も用意されており、より早い段階で実践力を磨いていきます。
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看護実習で学ぶことは?
看護実習の内容
看護実習は、いくつかの種類別に行われます。
具体的には、
- 基礎看護実習
- 成人看護実習
- 老年看護実習
- 小児看護実習
- 母性看護実習
- 精神看護実習
- 在宅看護実習
などがあります。
ひとことで「看護」といっても、患者さんの発達段階、病状などによって、必要な看護の内容は少しずつ変わってきます。
就職後、現場で求められる看護が実践できるように、種類別でより詳しい実習を行い、応用力を身につけていきます。
看護実習が行われる場所
看護実習の実習先は医療機関が中心です。
看護学校によって異なりますが、大学附属病院や外部の総合病院、あるいは地域の小規模な病院で行われることもあります。
医療機関以外に、介護施設や保健所、学校の保健室、幼稚園などで行われるケースもあります。
各機関・施設において、さまざまな患者さんや人々とのコミュニケーションと看護を通して、看護の知識と実践能力を高めます。
実習はつらくても、貴重な経験になる
実習は教科書で学習したり、学校で演習したようにスムーズにはいきません。
相手は実際に「看護を必要としている人」です。
教科書には書かれていない事態に直面したり、演習ではうまくできたのに失敗することもあります。
また、患者さんや医療機関のスタッフとのコミュニケーションに戸惑うこともあるでしょう。
朝早くから夕方まで緊張感が続く実習ですが、大変なのはこれだけではありません。
実習に際しては「看護計画」の提出と、毎日の実習報告書の提出など山のようなレポートを書かなくてはならず、精神的にも体力的にもかなりつらい期間です。
しかし、この期間に得る物は非常に多く、看護学校で一番思い出に残る時間となるでしょう。
看護実習では、実習生を受け入れてくださった患者さん、指導してくださったスタッフなど、多くの方が未来の看護師さんのために協力・応援してくれていることも忘れてはいけません。
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看護実習を乗り切るためにすべきこと
受け持ち患者さんをとことん知る
看護実習に臨むうえで学ぶ必要があるのは、まず「受け持ち患者さんの疾患」です。
実習前に、ある程度の疾患のことは勉強していきますが、テストに通るために必要な知識量と、実際に患者さんを受けもつために必要な知識量・知識の幅は予想以上に違います。
受けもち患者さんの疾患の専門書を必ず手に取り、図解をコピーしたり手書きでメモをしたりして、それを実習中にも見返せるように仕込んでおく必要があります。
合併しやすい疾患などを先読みして頭に入れておく必要もありますし、どの検査値データがその疾患に関わるかも押さえ、基準値から外れたら他の兆候に目を配れるように準備しておくのがよいでしょう。
個人によって必要なケアは千差万別
病態を押さえたら、患者さんの情報収集を行い、看護計画を立てます。
疾患によってできないケアもありますし、家族のサポートの有無によっても必要なケアは異なります。
つまりは個々によって必要なケアは千差万別です。
学校で習ったケアがそのまま患者さんに施せるとも限らず、むしろ手技をイチから勉強する必要が出てくることもあります。
勉強は一度で終わりではない
患者さんの病態をひと通り理解し、看護計画も立ち、ケアの手技も学んだところまでくると、「もうこれで大丈夫だろう」と、つい安心してしまいがちです。
しかし患者さんは日々容態が変化していて、家族など周囲の状況も変わり、必要なケアも時々刻々と変化します。
患者さんに新たな症状が出ればそれについてきちんと調べる必要がありますし、看護計画を修正したら、それに応じて知識も手技も準備しておくことが重要です。
看護実習は、走りながら学ぶような慌ただしさですが、その分得るものも大きいです。
1日1日、冷静にやるべきことを整理してまじめに向き合っていけば、一歩ずつでも確実に成長していけます。