医師の現状と将来性

医師の現状

近年、日本ではますます深刻な「医師不足」が叫ばれています。

昔から農村地区や離島では医師不足が続いており、地方で暮らしている住民が十分な医療を受けられないことが問題になっていました。

近年ではこうした医師不足が地方都市まで拡大しており、とくに勤務がハードなことで知られている「産婦人科」や「小児科」は、都市部であっても医師不足に悩まされる地域が増えてきています。

医師を簡単に増やせない理由として、医師一人を育て上げるのには長い時間が必要ということがあります。

大学時代の6年間の学習期間に病院での研修期間や新人医師としての期間を含めると、一人前の医師を育てるのには10年近くかかります。

増やそうと思ったときにすぐ増やせるものではありません。

こうした理由から、病院によっては医師が確保できないことを理由に閉院に追い込まれるところもあるほどです。

厳しい医師不足の現状を考えると、現在の日本ではまだたくさんの医師が必要とされています。

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医師の需要

医師にはそれぞれの専門があり、診療科も「内科」「外科」「耳鼻科」「産婦人科」「小児科」「泌尿器科」「整形外科」などさまざまな科に分かれています。

勤務先となる診療科によって、業務の内容や激務具合、働き方などが大きく異なってくるため、昔からハードだといわれる外科系は医師の確保に悩まされてきました。

高齢化社会が進む現代社会では、とくにお年寄りの病気を診療する科の患者数が増え続けており、たくさんの医師の手が求められる診療科として挙がるようになっています。

一方、少子化の影響で患者の数自体は減っているのに、医療機関が少ないことを背景に患者さんが病院にあふれているのが「小児科」や「産婦人科」です。

こうした科では、緊急時などに備えて時間通りに勤務ができないことや、訴訟の大きなリスクを抱えていることから医学生が敬遠する傾向にあり、地域問わずたくさんの病院が人手不足に陥っているとされます。

医療の世界では、社会における人口比や年齢構成を強く反映します。

高齢化社会がこれからも進むことや、少子化社会のなかで安心して子どもを生んで育てられる環境が求められていることから、お年寄りや子どもを相手にする医療分野では、今後もとくに医師の活躍が求められるでしょう。

医師の将来性

人間の病気や怪我はなくならないため、医師という職業は長年にわたって社会に必要とされ続けてきました。

それは現代社会においても変わることはなく、不況の中でも「医師の資格を持っているのに就職先がない」というケースはほぼないといって間違いないでしょう。

むしろ、近年、医師不足が全国的に深刻な問題となっています。

医療の発達とともにさまざまな分野の治療法が確立され、医療サービスも幅が広がってきました。

また、日本では高齢化社会の進行によってお年寄りの数が増えています。

必然的にがんや心臓病など年齢とともに罹患率が高くなる病気の患者さんも増えていますし、体が不自由になった方のリハビリテーションや完治の見込みがない方のための終末期医療などの需要も以前より高まってきました。

命にかかわる診療科が敬遠されがちな傾向もあり、厚生労働省や文部科学省は医学科のある大学の定員増員を促すなどの対策を取り始めています。

若い医師の力を積極的に必要とする診療科もあるため、これから医師を目指す人にも活躍のチャンスは広がっています。