医師の1日のスケジュール・勤務時間や休日についても解説
この記事では、医師の1日のスケジュール例を「病院勤務の臨床医」「当直の日」「開業医」「研究医」「研修医」別に紹介します。
さまざまな働き方をする医師の毎日の動きをイメージするうえで役立ててみてください。
医師の1日のスケジュール
医師の1日のスケジュール例を、以下5つのパターンで紹介します。
医師の1日のスケジュール例|病院勤務の臨床医の場合
医師の代表的な活躍の場は病院です。
臨床医として働く医師は、勤務する病院の開院時間に合わせてシフトを組み、仕事をしています。
具体的な業務内容や働き方は担当科によっても異なりますが、夜勤のない科で働く場合の1日の流れの例は以下のようになります。
病院の診療時間は「午前の部」と「午後の部」に分かれており、通常、12:30から14:00くらいまでは休診とします。
この間に、病院の医師やスタッフは昼食休憩をとったりミーティングをしたりします。
しかし、忙しい日は午前の部の診察が長引いてほとんど休憩がとれないこともあり、のんびり外でランチといった余裕はありません。
病院で働く医師や看護師は院内の食堂を利用したり院内のコンビニや売店で調達したり、昼食を持参している人が多いです。
医師の1日のスケジュール例|病院勤務の当直の日の場合
次に、当直の日の医師の1日の例を紹介します。
当直の日は、通常の勤務の後、そのまま続きで夜勤に入る流れがほとんどです。
当直の次の日は、続けて勤務をする医師も少なくありません。
夜勤のある医師は体力的にハードな生活になることも覚悟しておく必要があります。
医師の1日のスケジュール例|研究医の場合
大学や官民の研究機関で医学の研究をする研究医は、一般的な会社員に近い働き方になります。
朝出勤し、日中は研究に取り組み、夕方頃に仕事を終える流れです。
患者さんを持たないため、夜勤や呼び出しはありません。
しかしながら、目途がつかない時や論文の締め切り前などには連日にわたって深夜まで残り、業務を片付けることもあります。
また、学会発表などでの出張も多く、ときには海外出張になることもあります。
大学病院などで勤務する研究医の場合、午前中は大学病院で患者さんの診察や治療にあたり、午後からは本業である研究業務といったタイムスケジュールで働くこともあります。
とくに、研究の内容によっては患者さんの症例データや治験の結果、動向などを必要とする場面も出てきます。
そういった場合には、実際に患者さんの臨床現場でデータを取り、研究にフィードバックするといったこともあります。
このような研究医は、臨床医と同じように患者さんを受け持ったり外来に出たりというスケジュールで業務にあたります。
医師の1日のスケジュール例|開業医の場合
開業医の場合、入院設備などのない小規模なクリニックが多く、夜勤はありません。
また、休診日なども自分で設定できるため、比較的休みをコントロールしやすいといえます。
ただし、自分で病院を経営していくことから、経理や労務管理などを行いつつ患者の診療も行うため、多忙な日々を送る人が多いです。
医師の1日のスケジュール例|研修医の場合
研修医とは、医師免許取得後に2年間、病院などで行われる実地研修の期間の、いわばお医者さんの卵です。
先輩医師の診療の様子を見学したり、手術の練習の時間や座学の勉強時間があったりと忙しく過ごしています。
大学病院に勤務する研修医の1日のスケジュール例を紹介します。
なお、研修医は当直も行います。救急車で運ばれてくる患者さんに対応して救急救命の技術を養います。
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医師の勤務時間・休日
ここからは、医師の勤務時間や休日の状況について説明します。
医師の勤務時間
医師の代表的な活躍の場は病院やクリニックで、これら医療機関で働く医師は、基本的には勤務する院の開院時間に合わせて働きます。
多くの病院の外来時間は9:00~18:00ころですが、診療科によっても変わります。
命にかかわる急患が発生しにくい診療科の場合は、ある程度、決まったスケジュール通りに勤務することが可能です。
しかし、たとえば小児科や産婦人科、救急受入れのある病院での勤務になれば、夜中になっても急患が訪れることがあるため、夜遅くまでの診療や携帯電話での呼び出し等が日常茶飯事になります。
また、内科や外科で大きな手術に立ち会うときには長時間労働になる場合もありますし、術後安定しない患者さんを受け持っている場合は、夜通し付きっきりとなる場合もあります。
徹夜明けでそのまま翌日の勤務が続くなど、不規則な生活を覚悟する必要もあるでしょう。
ただ、自分でクリニックを開業して経営する場合は、診療時間やスタイルを自分で決めることができるため、比較的落ち着いた働き方を送りやすいです。
医師の休日
病院の規模や担当している診療科、医師の数など、さまざまな要因によって医師の休日は決まります。
大きな病院やクリニックなどでは、基本的には「休診日」が医師の休日となることが多く、よく見られるのは「水曜日や木曜日の午後+日曜日」、あるいは「土曜日の午後+日曜日」です。
休みの時間には、担当している症例の研究をしたり、教授が学会で発表する論文作成の手伝いをしたりすることもあります。
また、休日にも連絡がつくようにしていなければならないなど、勤務先によっては長期の休暇を取得しにくいこともあります。
医師の生活はハード?生活スタイルと労働環境
医師は当直があったり、コールで呼び出されたりして忙しいというイメージを持つ人も多いかもしれません。
実際のところはどうなのか、生活スタイルをさらに詳しく紹介します。
医師は忙しい? 激務?
医師は忙しく働く人が多いですが、どの程度の忙しさかといえば、勤務先によってかなり変わるといえます。
毎日ひっきりなしに膨大な数の患者さんが訪れる大学病院では、受付時間を大きく超えて診察・治療をしなくてはならない場合もあります。
診療科によっては長時間の手術や急患対応で、深夜や早朝まで仕事をすることになります。
たとえば、「産婦人科」や「外科」などの急性期といわれる診療科や、救急外来のある病院に勤務する場合は、規則正しい生活を送るのは難しいです。
24時間体制での受付で、医師も夜勤や呼び出しがつきものになるからです。
専門的分野の判断ができる医師がその病院に1人しかいない、といったことも少なくないので、休日も呼び出しがあることもしばしばです。
一方、雇われではない開業医になれば、自分のペースで勤務時間や休日を設定することができるため、多少はゆとりある生活を送りやすいでしょう。
しかし、地域で信頼を集める病院になればなるほど、多くの患者さんが訪れます。
たとえば、人手不足とされる産婦人科の開業医は、日々お産を抱える妊婦さんのケアで忙しく、医師になって働き始めてから一度も旅行に行っていないと話す人もいます。
また、個人宅と診療所を併設した医院でも、夜中に患者さんが駆け込んで来れば対応することが多く、実質24時間体制でスタンバイすることになります。
医師の働き方の意識改革も進みつつある
医師によっては、当直後に眠る時間がなく、そのまま次の日の勤務を迎える人もいるのが現実です。
医師でなければできない仕事が多い中、医師の数が不足し、交代できる人がいないことから、どうしても長時間労働になりがちなのです。
しかし、政府も医師の過剰労働を取り上げ、長時間勤務の是正のために動き出しています。
医師についても労働時間規制の原則である「時間外労働のない週40時間労働」を、また、時間外労働や休日労働を行う場合であっても一般則が求めている水準と同様の労働時間を達成することを目指すべき
厚生労働省「第16回医師の働き方改革に関する検討会 資料」より
病院によっては、有給休暇の積極的な取得を促されるなど取り組みを行っています。
医師は日々診療にあたるだけではなく、学会発表や症例研究、新しい医療知識について学ぶ時間をとることも必要です。
AIやIoTといった最新技術を活用して、医師でなくてもできる仕事を効率化していくことが求められています。
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「医師の1日のスケジュール」まとめ
ひとことで医師といっても、この記事で紹介したように、勤務先や働き方によって1日の流れは大きく変わってくるものです。
しかし、全体としては忙しく働く人が多く、勤務先によっては不規則勤務になったり、休日があまり取れなかったりすることもあります。
最近では医師の労働環境改善のために、最新技術を活用した業務効率化など、新しい取り組みにも注力され始めています。