電力会社の仕事とは? 職種や仕事内容をわかりやすく紹介
電力会社社員の仕事とは
電力会社は火力や水力、原子力といった発電施設で電気を作り、工場や商業施設、一般家庭にエネルギーを供給しています。
重要な社会インフラの一つに挙げられる業界で、ひとたび電力供給が止まると社会的な損失が大きく、場合によりニュースでも報道されるなど、社会的にも影響の大きな業界であるのは間違いありません。
そうした役割を持つ電力業界において、当然、電力会社の社員も社会インフラを守る役割を担っています。
電力会社といっても職種は多く、発電や送電に関わる職種もあれば、自社サービスを売り込む営業職、発電に必要な燃料調達や広報担当などさまざまです。
共通しているのは安定・便利な電力供給のために働いている点で、社会的な意義も大きく、やりがいも大きいといえます。
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電力会社の種類・分類
発電事業
発電事業を行っているのは東京電力や関西電力などいのわゆる大手電力会社のほか、J-POWER(電源開発)などが代表的な企業です。
その名の通り、発電することを目的に火力発電や水力発電、原子力発電などの施設を建設、運用しています。
日本国内に電力を供給するために必要な事業です。
送配電事業
送配電事業を行っているのは発電事業と同様、東京電力や関西電力、東北電力などの大手電力会社です。
発電された電気を変電所に送り、産業用、家庭用など用途に応じた電圧に変換し送電しています。
これまで送配電事業は、地域電力会社が独占的な事業を行ってきました。
しかし電力の自由化に伴い、公正な競争環境を確保することを目的に送配電事業の「法的分離」が行われたのです。
これにより送配電事業を別会社として運用することになり、中立性が確保されたため今後は競争が生まれるでしょう。
小売電気事業
電気の小売りを事業としている会社で、電気業界では最も日常生活に密着している会社といえます。
電気事業法の改正により、1995年に発電事業への新規参入が緩和されました。
その後、徐々に緩和が広がり2016年には一般家庭向けの電気小売業が自由化されました。
これにより電気の全面自由化が実現し、使用する電気会社を選べるようになっています。
東京ガスなど、もともとエネルギーを扱っていた会社の参入から、KDDIやソフトバンクといった別業界から参入も増えています。
新サービスやプランも選べるようになり、利用者にとってはメリットが大きいですが、電気業界の中では最も競争が激化している事業分野といえます。
電力会社社員の業務内容
発電事業の業務内容
現在の日本国内における主な発電方法は、火力がメインになっており、次いで割合が高いのは太陽光をはじめとした自然エネルギーです。
ほかには水力、原子力などさまざまなエネルギーを利用して発電しています。
すべてにおいて施設の建設や運用、メンテナンスや新規計画、効率的な発電を実現するための研究を行う業務があります。
火力発電の場合、石油や石炭などの化石燃料が必要ですが、資源に乏しい日本では使用する燃料は輸入に頼らざるを得ません。
安定した電気を供給するため、発電業務では原料調達業務も重要な役割を担っています。
送配電事業の業務内容
配電関連の業務は大きく運用、送変電、配電という3つの部門に分けられます。
運用部門では時間や時期などで変化する電気消費量を考慮し、発電の出力を調整して消費と発電のバランスをとって安定した電力供給を行います。
送変電部門は発電された電気を送電しやすい電力に変換し、工場や一般家庭などに電気を届けるための送変電設備の建設・維持・管理を行います。
配電部門は実際に電気を届けるための電柱や電線などの建設・運用・保守のほか、配電線路の監視や異常時に復旧業務を担っています。
小売電気事業の業務内容
小売電気事業は一般家庭向けと法人向けの営業に分けられます。
一般家庭向け営業では契約内容の手続きや料金プランのコンサル、ニーズに合わせた新しいプランやサービスの開発などを行います。
法人向けの営業ではランニングコストを抑えるための料金メニューを提案します。
デベロッパー向けは、省エネソリューションの提案や空調・厨房機器の電化提案も行います。
いずれの部門もエンドユーザーと密接に関わる大切な業務を担っています。
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電力会社の役割
電力会社の最大の役割は安定した電力インフラの提供です。
電気は日常生活にも産業にも欠かせないエネルギーです。
ひとたび電力供給が止まってしまうと生活のみならず、経済活動にも影響を及ぼしてしまいます。
そのため電力会社は日本国内のインフラ業界の中でもとりわけ大きな役割を担っているでしょう。
電力会社は大きく発電、送配電、小売に分けられますが、それぞれの部門において安定した電力供給を維持するための取り組みも求められます。
現状維持にとどまらず新たな試みも常に求められるでしょう。
発電事業でいえば輸入に頼らず、温室効果ガスを排出しないための発電システムの構築は急務といわれています。
代表的な例は再生可能エネルギーを利用した発電方法です。
太陽光・風力・バイオマスといったエネルギーを利用した発電方法は、エネルギー自給率を上げるためにも重要な施策に位置付けられています。
電力会社の職種
電力会社は大きく発電、送配電、小売という3つの部門に分けられ、その中でも技術系、事務系と分けられます。
ここでは部門ごとに、電力会社特有の職種を紹介していきます。
発電部門系の職種
燃料調達(事務系)
現在の発電方法のメインである火力発電には石炭、液化天然ガス(LNG)、石油といった燃料が必要です。
日本国内では十分な量を確保できないため燃料は輸入しており、燃料調達を担当する社員がその輸入を担っています。
原価を抑え、安定的な供給の実現が最大の職務で、世界各国にある現地企業と交渉を行うほか、運搬船の手配に通関手続きなども行います。
計画(技術系)
発電設備の工事や修繕の計画を策定する職種のほか、既存設備の点検や更新計画を策定する職種もあります。
発電所には多種多様な設備があり、すべてが正常に作動することで安定した電力供給が実現します。
設備ごとの特徴を把握し、工事を担当する土木関連部門や発電所運用部門など、他部門との連携も重要です。
発電所運用(技術系)
火力、水力、原子力などの各種発電設備の運転操作を行い、計画に沿った発電量を供給する役割を担っています。
また、発電所内の巡回や設備の点検も行い、安全で安定した発電所の運用に責任を持って業務に取り組んでいます。
電力供給を止めないため発電所は24時間稼働しているため、交代制勤務が基本です。
メンテナンス(技術系)
火力や水力など、各種発電所の設計やメンテンナスを担当する職種です。
1つは、本社などで設計や保守計画を担当する企画系の職種です。
もう1つは、現場で計画に沿ったメンテナンス作業を行ったり、改修工事の指揮をとる技術系の職種があります。
企画系も技術系のどちらも発電所の安定稼働には欠かせない職種です。
送配電部門系の職種
給電指令(技術系)
時間や時期など、あらゆる状況を考慮して、発電所の発電量をコントロールする職種です。
効率的かつ経済的に発電所を運用するため不可欠な業務であるとともに、変電所や送電線の監視業務も行っています。
供給と需要のバランスを把握して業務にあたるため、比較・分析力が問われます。
送変電(技術系)
電気が通る送電線や鉄塔といった設備の保守・管理を行う職種です。
数万とある鉄塔の巡視や点検、補修を行い、24時間365日送り続けられる電力供給を支えています。
送電設備に関する研究を行う職種もあります。
研究結果は保守・改修計画に反映し、より効率的な業務に生かされています。
配電(技術系)
変電所から送られてくる電気を家庭や工場、商業施設などに届けるための電柱や電線、変圧器に開閉器といった配電施設の設置・保守を担当する職種です。
自然災害などでトラブルが発生した際はいち早く現場に向かい、早期復旧のために昼夜問わず対応しなければなりません。
電力を届ける仕上げの業務を担当する職種として活躍しています。
小売部門系の職種
法人営業(事務系)
商業施設や工場、デベロッパーなどに営業活動を行う職種です。
自社を選んでももらうだけでなく、省エネソリューションの提案や新プランの提案など、顧客のためになるアドバイスも重要です。
一般家庭営業(事務系)
一般の家庭に営業活動を行う職種です。
法人部門もですが、電力の小売全面自由化により利用者には選択肢が増えたため、魅力的なプランやサービスの開発力や提案力が求められます。
他部門はもちろん、新たなサービス提供のため提携他社との連携も必要です。
電力会社の有名な企業
電力会社と聞いて真っ先に思い浮かべるのは地域の電力会社ではないでしょうか。
いわゆる大手電力会社10社と呼ばれる、東京電力、関西電力、中部電力、東北電力、九州電力、中国電力、四国電力、北海道電力、北陸電力、沖縄電力です。
広範囲をカバーできるネットワークと発電から小売までトータルで提供できる企業力も兼ね備え、最も身近な電力会社といえるでしょう。
ただし電力自由化によって、東京ガスや大阪ガスなど電力以外の大手エネルギー企業も参入しています。
電力会社の仕事の流れ
ここでは電力会社の代表的な職種の一つである、発電プラントで働く社員の1日を紹介します。