大学職員の技術職の仕事とは?

技術職員の役割の変化

大学改革による変化

大学における技術職員のあり方は、大学教育制度の変遷と関わりがあります。

2007年の教育制度改革によって、それまでの「助教授」が「准教授」に、「助手」が「助教」という職に移行しました。

とくに任期の定めがなかった助手に対し、新たに採用された助教は任期付きであることが多く、限られた期間の中で業績をあげなければならなくなりました。

また、助教は自立した研究者とみなされるため、研究業績が最優先となり、さまざまな授業の運営は第一の業務ではなくなってしまいました。

しかし、大学の学部教育では授業が重要な柱となっており、旧助手が担っていた教育業務の必要性が見直されるようになったのです。

旧助手は年々少なくなっている一方、助教には新しい立ち位置ができていることから、「授業運営の担い手の確保」が課題として挙がるようになりました。

教育的役割の拡大

そこで、もともと事務方とみなされていた大学職員が、旧助手の職務を補う役割として注目されるようになりました。

とくに理工系大学や理系学部においては、この傾向は顕著なものとなっています。

技術職員が担う仕事内容・役割としては、以下のようなことが挙げられます。

大学における技術職員の仕事内容・役割
  • 教育研究支援のための技術開発
  • 学生の実験・実習支援および技術指導
  • 機械類の操作および保守点検
  • 技術の継承・開発
  • など

これまでは周辺支援にとどまっていた大学職員が、学生と直接関わったり研究現場に入ったりすることで、教育研究支援業務をより深め、専門的なものにしていこうというねらいがあります。

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技術職員のスキル向上への取り組み

新しい設備を導入し、教員や学生に対する学内機器の技術支援を行うことが、技術職員の重要な役割のひとつです。

技術職員は、学生に対して単に機械の操作を教えるだけでなく、経験によって得られた知識・技能を伝え、実験のアドバイスを行う役割も求められています。

したがって、大学職員といいながら専門技術職であるともいえます。

技術職員は自己研鑽に励むことが求められており、職場では職員向けの能力養成研修など、技術力向上のためのチャンスが与えられています。

さらに、職員を対象とした研究会では研究発表の機会もあり、日常業務を通して習得した知識・技術や創意工夫、他分野への応用などについて、口頭発表やポスター発表が行われています。

なお、将来的に大学の経営改革が進んでくると、職員の定数も削減される可能性があります。

そうなると、ひとりの職員がいくつもの研究室を横断して担当することになるかもしれません。

大学の技術職員の現在とこれから

現在の大学技術職員は、各研究室などに散らばって個人で仕事をすることが多く、組織として技術を継承することにそれほど緊急性があるとはいえません。

しかしながら、経営側は技術職員に対して自己の業務だけではなく、組織全体の業績が向上するよう、後進の指導・育成を図ることを期待しています。

このような側面からも、技術職員は実務をこなすだけではなく、専門技術を組織の中に蓄積するために研究発表をすることが大事だと考えられています。

技術職員の携わる業務や責任は、今後ますます大きなものとなっていくでしょう。