「学芸員」の仕事とは

学芸員の仕事内容

文化施設で多岐にわたる仕事をこなす

学芸員の一般的なイメージは、美術館や博物館で説明をしてくれる案内役というものでしょう。

来館者への対応という点で、専門性が要求される接客業のようなものだと認識している人も、少なからずいることかと思います。

しかし、それは学芸員の仕事のごく一部にすぎません。

実際のところ、その業務は多岐にわたります。

学芸員は、美術館、博物館、動物園、植物園などの文化施設に勤務し、作品や資料の収集、管理等を専門的に行う仕事です。

展覧会の企画・運営なども学芸員が行います。

教育、普及活動にも積極的に取り組んでいて、地域のカルチャースクールなどで講演を行うことも多いです。

更に研究者としての顔もあり、資料について日々調査し研究を重ねることで新たな価値の発見に貢献しています。

学芸員の就職先・活躍の場

さまざまなジャンルの施設がある

博物館や美術館はもちろん、動物園や植物園、水族館、科学館、史料館など至るところに学芸員は存在します。

募集をかけているのは施設ばかりではありません。

市役所、教育委員会など意外なところが学芸員を募集していることもあります。

学芸員はどの就職先を選ぶかによって仕事内容が左右されます。

特定のジャンルの施設で、運営や案内などを担うこともあれば、市が運営する施設の責任者になることもありますし、教育委員会で調査研究や展示などを担当することもあります。

学芸員1日

作品に寄り添う仕事

9:00出勤
メールチェック後、収蔵庫にて作品の展示方法および保存方法について検討します

11:00~12:00学芸会議
来館者のご意見や今後の展覧会の予定など、多くのテーマに基づいて学芸員たちの間で話し合いをもちます

12:00昼休憩
昼ごはんを食べます

13:00打ち合わせ
展示会会場のレイアウトについて、打ち合わせを行います

15:00資料調査
展覧会に出す作家について、ひとりひとり資料調査を実施します

18:00退勤
仕事のキリをつけて退勤します

学芸員になるには

資格の取得をめざす

学芸員は高い専門性と深い知識を要求される職業だといえます。

まずは自分がどういう分野の専門家になりたいかを考えましょう。

その分野について学べる大学への進学をおすすめします。

学芸員として働くには、国家資格である学芸員の資格取得が必要です。

資格を得るにはいくつかの方法があります。

最も一般的なものは国が定める博物館に関する科目を置く大学や短大で、必要科目を修得し、卒業する方法です。

他にも試験を受けて認められる試験認定、論文や業績によって判断される無試験認定などがあります。

学芸員の学校・学費

大学へ進むのが一番の近道か

学芸員になるのは大学卒、大学院卒がほとんどです。

特定のジャンルへの深い知識が求められるため、これまで何を学んできたかが重視されます。

自分の学びたい専攻があり、なおかつ学芸員資格が取得できる大学に進むのがよいでしょう。

大学に行かない場合は、学芸員補をめざしてみるという手もあります。

学芸員補は、高卒および高認、中卒でも取得できますし、実績を積むと無試験認定でも評価対象となります。

学芸員の資格・試験の難易度

難しくはないが採用は激戦

資格を得る方法として、一番多いのは大学での単位取得です。

通常の講義と並行して履修していかなければならないため、その分の負担は覚悟しなければなりません。

しかし、履修すれば認められるという点で難易度が高いとはいえないでしょう。

試験認定の場合はどうかといえば、こちらは半数以上が合格しているため、試験自体の難易度が高いわけではありません。

いずれにせよ資格をとれても、正規採用がほとんどなく、頑張りが報われるかどうかわからないのがつらいところです。

学芸員の給料・年収

採用される場所によって異なる

学芸員の年収は採用される場所によって開きがあります。

公立であれば公務員と同じ扱いになるため、相応の待遇が期待できます。

私立であればその施設の規模や方針によって変わってくるでしょう。

学芸員は正規雇用が非常に少なく、非正規雇用が多くを占めています。

そのため平均年収は低くなりがちです。

学芸員は専門性と知識が求められるにも関わらず、給与はあまり高く設定されていません。

正規でも年収250万から400万が一般的なラインでしょう。

求人では全体の二割程度が年収400万でした。

学芸員自体は人気の職種ですが、給与に納得がいかない場合は、専門性を活かせる他の職種を探したほうがよいといえます。

学芸員のやりがい、楽しさ

好きを突き詰めていくことができる

学芸員の魅力はなんといっても、自分の専門を突き詰めていけることでしょう。

好きなことを仕事にできる人間はごく一握りです。

そういった意味で、学芸員の仕事にはやりがいがあります。

最新の研究に触れながら調査研究を進め、刺激を得ることができる喜びは、なにものにも代えがたいものです。

あこがれていた人たちと直に接する機会に恵まれることもあります。

また、自分の企画した展示を楽しんでもらえるのは、大きな喜びにつながります。

学芸員のつらいこと、大変なこと

つらいことの最たるものは待遇の悪さ

公立館もしくは大企業の施設などに勤務しない限り、ずっと低い給与に甘んじなければなりません。

その割に残業は多く、時給換算するとアルバイトレベルということもあります。

また、専門性が求められるだけではなく、必要とあればなんでもやらねばなりません。

そのため、学芸員はよく「雑芸員」を自称します。

専門性に優れ知識を持っているのにもかかわらず、正規雇用されることは少なく、されたとしても待遇に恵まれないことが多いため、生活のための仕事としては厳しいことが多いです。

学芸員に向いている人・適性

専門性だけでは難しい

学芸員は専門性を突き詰める仕事である一方、展示や保管に関するあらゆる雑務を引き受けなければならないケースが多いです。

向学心はもちろんのこと、なんでもできる器用さ、コミュニケーション能力なども求められます。

自分の管理が至らず展示物をいためてしまっては一大事なので、責任感も必要です。

加えて、展示前の残業は多く、施設によっては泊まり込みになるところもあります。

バイタリティがなければやっていけないでしょう。

学芸員志望動機・目指すきっかけ

自分が好きな場所で働きたいという思い

博物館や美術館をはじめ、特定の施設に足しげく通っている人間にとって、学芸員は憧れの職業です。

好きなものに触れられる環境に身を置きたいという思いから、志望する人は多くいます。

また、通っている大学で学芸員の資格をとれることを知って初めて、職業として意識するケースもあります。

ただし正規採用の枠は狭く、安定した待遇のものとなるとさらに絞られるため、余程の情熱がなければ、採用されるところまではつながらないでしょう。

学芸員の雇用形態・働き方

非正規が多く安定しない

学芸員は非正規雇用が多くを占め、正規雇用は減少傾向にあります。

その上、公立館や一部の大企業経営の施設を除いて、給与がとても低いため、学芸員の仕事だけで生活基盤を作るのは非常に難しいです。

芸術や文化を愛好する人口が限られていることが、理由のひとつとして挙げられます。

待遇のよい施設に採用してもらうか、生活をしていく上での収入減を他に確保しなければ続けていくことは難しいといえるでしょう。

時期によって残業も多く、プライベートとの両立が難しい仕事です。

学芸員の勤務時間・休日・生活

激務のため公私の区別はつけにくい

施設によって程度の差はありますが、学芸員は残業が多く激務になりがちです。

残業が発生する理由として、主に二点挙げられます。

ひとつは学芸員が雑務までも一手に引き受けている点、もうひとつは展示会が定期的に行われている点です。

展示会ごとに準備に追われなければならず、休みを確保するのがとても難しくなります。

また土日も開館しているところが多いため、一般的な休みに合わせたい人には向いていないでしょう。

泊まり込みが発生するケースさえありますから、公私の区別はつけにくいといえます。

学芸員の求人・就職状況・需要

正規はほとんど募集していない

公立私立問わず、学芸員の雇用は非正規にシフトしています。

そのため、正規雇用の採用は高倍率なのが現状です。

特に安定が約束された公立の学芸員を目指すとなると、難易度は非常に高いといえるでしょう。

国公立の施設で働く場合には学芸員の資格に加えて、自治体の採用試験に受からねばなりません。

今後の採用枠がどうなるかは国の予算と密接に関わっているため、注視していく必要があります。

現状としては予算が割かれず、人員補充に対して消極的なところが多いです。

学芸員の転職状況・未経験採用

倍率の高さを勝ち抜くためのアピールポイント

新卒採用にしろ転職にしろ、枠が少ないため高倍率になります。非正規雇用であればまだ可能性はありますが、正規雇用となると激戦を勝ち抜けるだけのアピールポイントが必要です。

前職での経験、あるいは大学での勉強が活かせるなど、抜きんでた要素が求められます。

新卒採用で学芸員になった人間は、スキルに開きがあるのが現状です。

転職や未経験で採用されるのですから、自分に活躍できるだけの能力があることを説明できねばなりません。

学芸員の現状と将来性・今後の見通し

文化を愛好できる環境が必要

文化的な施設に収益があるかどうかは、それを愛好する人間がどれだけいるかによって変わってきます。

文化を愛好する土壌があるかどうかは、政府がどれだけ予算を回すか、人々が生活以外のことにもお金を割けるだけのゆとりがあるか、などいろいろな要素で決まるものです。

そのため、政府の方針や経済状況に影響される部分は少なからずあります。

前向きな動きはなく、むしろ非正規雇用への切り替えが進んでいるのが現状です。

今後どうなっていくかは注視せねばなりません。