「研究者」の仕事とは

研究者の仕事内容

人類の新たな発見を求めて研究

大学や国立研究所などの研究機関や医薬品メーカーのような民間企業など、所属に関わらず研究職に就いている人のことを「研究者」と呼びます。

病気やケガを治療することができる優れた医薬品と医療技術、安全な乗り物を実現するための運転制御システム、美味しい食品を作り出すための食品加工技術などは今や当たり前の存在となり、私たち人間が便利で豊かな暮らしを送るうえで欠かせないものといえるでしょう。

また、災害大国である日本においては、地震や噴火という自然災害に立ち向かうための研究も、人々の命を守る上で必要不可欠だといわれています。

このような幅広い分野において新たな発見を求めて研究を行うのが、研究者の仕事です。

研究者の就職先・活躍の場

研究所から大学、民間企業まで

研究者の就職先はさまざまです。

国立の研究所であれば、「理研」という名称でおなじみの「理化学研究所」が有名で、他にも「国立国語研究所」や「経済産業研究所」などがあります。

また、国立大学や私立大学など各大学にも研究室があり、文系・理系・芸術系と幅広い分野で研究が行われています。

この他には民間企業の食品メーカーや化粧品メーカー、医療器具メーカーや製薬メーカー、自動車メーカーや化学メーカーなどでも研究者が働いています。

研究者1日

研究機関によってさまざまな働き方

研究者の1日のタイムスケジュールは、勤めている研究機関や企業によって大きく異なります。

大学の教授や准教授として勤めている研究者の場合、学生の時間割に合わせて講義や実験、論文執筆の指導を行います。

大学が休校となる夏休みや冬休みの間は自分の研究に没頭できるというパターンが多いようです。

一方、国立の研究所や民間企業に勤めている研究者の場合は、基本的に一日研究所にこもって自分の研究をすることになります。

研究者になるには

優秀な人材だけが辿り着ける世界

研究者は数ある職業の中でも非常に専門性が高く頭脳明晰で探究心の強い人間が適任であることで知られています。

採用試験においては応募の段階で大学卒業以上の学歴が必要とされるのが一般的です。

大学や国立の研究所などの研究機関の場合は特に、国内トップクラスの大学の学生であったり、大学院の修士や博士課程で専門的に学んでいたり、海外の大学に留学経験があったりするような優秀な人材を欲しているところが多いようです。

研究者の学校・学費

大学や高等専門学校で勉強を

研究者の採用試験では大卒以上の学歴を必要とされることが多く、多額の学費を投じて大学院まで進学する人も少なくありません。

しかし研究機関によっては大卒の学歴が必要がないケースもあります。

たとえば、技術開発を行う機械メーカーの場合は「高専」と呼ばれる高等専門学校でロボット制作などの技術を磨いた人材が重宝され、食品開発を行う食品メーカーの場合は栄養士の専門学校で資格を取得した人材が求められることもあります。

研究者の資格・試験の難易度

語学力の資格が武器に

研究者に必要とされる資格やスキルは分野によって異なりますが、共通しているのは「高い語学力」ではないでしょうか。

グローバルな規模の学術誌での発表をめざすため、理系にしても文系にしても、英語で論文を書くのが当たり前になっている時代なのです。

また、海外の論文や資料を読めなければリサーチが深まらないということもあるので、学生時代にTOEICや英検などの試験にチャレンジして結果を残しておくと役に立つでしょう。

研究者の給料・年収

専門性の高い研究職は高収入に

研究者は、その仕事の専門性の高さから給料が高いことで知られています。

大学の研究者の場合、勤めている大学の規模、国立か私立か、本人の実績や年齢などによって給料の金額は異なるものの、年収800万円〜1000万円ほどになることが多いようです。

書籍の印税やシンポジウムの講演料、あるいはメディアの出演費の副収入が入ることもあります。

民間企業の場合、研究者の年収は他の職種の社員とそれほど変わらないのが一般的です。

研究者のやりがい、楽しさ

人々の夢の実現をサポート

研究者にとって研究の一番大事な目的とは「自分の研究の成果で誰かを幸せにすること」といっても過言ではないでしょう。

実際に今まで多くの研究者のおかげで、新薬の開発で不治の病が治るようになったり、安全なブレーキ技術の開発で自動車事故が激減したり、冷凍技術の開発で食材の輸出のコストが大幅に下がったり…ということが実現されてきました。

人々の大きな夢の実現をサポートできるのが研究者の仕事の魅力なのです。

研究者のつらいこと、大変なこと

不屈の精神で続ける研究

研究者にとって何よりも大変なのは、誰も知らない答えを自らの手で見つけ出さなければいけないことです。

何万回もの調査や分析を繰り返し、失敗をするたびに実験や調査の計画を見直し予算の調整を行いながら、何年も何十年も研究を続けることは決して珍しくありません。

それでも絶対に諦めない強い精神力があり、自分が決めたテーマに徹底的に向き合い続けることができる人でなければ、この分野で成果を出すのは難しいでしょう。

研究者に向いている人・適性

論理的な思考ができる人が適任

研究者の仕事にはインスピレーションが大切ですが、実験や調査においては論理的な思考能力が必要不可欠です。

仮説を立てたり、その仮説を裏付けるために必要な要素を洗い出したり、当初の仮説とは違う結果が出たときに新しい仮説を立てたりする。

このプロセスをたどることで、研究はもちろん論文やプレゼンテーションが成立するのです。

筋道を立てて物事を考えることが得意な人でなければ、研究者としての成功は難しいでしょう。

研究者志望動機・目指すきっかけ

強い探求心こそが研究の原動力に

研究者の仕事に必要なのは強い探究心です。

探究心とは物事の本質や意義についてより深く掘りさげて見極めようとする気持ちのことであり、研究のテーマを決めたり実験の方法を考えたりするうえで、この気持ちこそが大きな原動力となります。

子どもの頃から身の回りのことに対して「どうしてこうなるんだろう」「もっと調べてみたい」という疑問や意欲を持つことが多かった人はこの職業を目指してみるとよいのではないでしょうか。

研究者の雇用形態・働き方

研究職や教授として採用

研究者の雇用にあたっては勤める研究機関によって職業名が異なります。

国立の研究所の場合は「研究職」として採用することが多いようですが、大学の場合は「教授」「准教授」として採用されることになります。

ただし、このポジションに空きがない場合は「講師」や「助手」として雇われて、教授たちの手伝いをしながら自分の研究をすることもあります。

民間企業の場合は「研究職」「技術職」「開発職」などの名称で採用しています。

研究者の勤務時間・休日・生活

研究機関によって異なる勤務時間

研究者の就職先を大きく分けると「大学」や「研究所」のような研究機関と「民間企業」があげられるでしょう。

大学で働く研究者の場合は開校時間に合わせて出勤し土日に休みを取ることになり、学生が夏休みや春休みなどの長期休暇に入れば比較的自由に勤務時間や休日を調整できるようになります。

研究所や民間企業の研究者の場合は勤め先の勤務時間に合わせて働くことになりますが、最近ではフレックス制を導入している企業もあります。

研究者の求人・就職状況・需要

採用は少なく狭き門に

研究者として働くためのチャンスを掴むことは、決して簡単なことではありません。

もともと一握りの優秀な人材しか採用されない業界ではありますが、大学などは特に採用人数が少なく、「教授」や「准教授」は欠員が出ない限り人員募集がかからないという状況も多いのです。

民間企業の場合、大手企業では毎年新卒学生を募集していますが、これも採用人数が若干名となっていることもあり狭き門であることには間違いないでしょう。

研究者の転職状況・未経験採用

転職や再就職が盛んな業界

研究者は、転職や再就職が多いことで知られています。

大学や研究所では特定の専攻分野における人材交換がよく行われており、最初の就職から定年退職までひとつの研究機関に勤め続けるわけではありません。

海外の大学や研究所への留学が必要な場合は、一度仕事を辞めて海外で数年間勉強をし帰国してから再就職するパターンもあります。

民間企業でも、他の業界で活躍している研究者を中途採用で受け入れることは珍しくありません。

研究者の現状と将来性・今後の見通し

未来にも欠かせない研究者の仕事

あらゆる産業で機械化が進む現代社会では、将来的にはロボットに奪われてしまうかもしれないと危惧されている仕事がたくさんあります。

単純な業務ほどその傾向は強く、逆に高い知能や思考能力を必要とする業務ではその実現が半永久的に難しいといわれています。

研究者の仕事はまさに後者にあたり、人間ならではの着眼点や柔軟な発想がなければ成立しないものです。

これからの時代にもますます必要とされる職業といえるでしょう。