「心理学者」の仕事とは

心理学者の仕事内容

メカニズムの解明および現場での実践

心理学者とは、大学や病院、研究機関、民間企業や公的機関の専門部署で心理学を研究している人を指します。

意識や行動のメカニズムを探るのが文学部系、カウンセリングや臨床心理など実践的分野を扱うのが教育学部系です。

研究よりも実践に重きを置いている人たちは心理士と呼ばれることが多いです。

大学に勤務している心理学者は自分の研究だけでなく、学生に講義を行うことも重要な業務です。

要請があれば解説者やコメンテーターとしてメディア出演することもあります。

民間企業や官公庁の中で「心理職」として常駐している心理学者の場合、心理学のプロフェッショナルとして組織における諸問題やあらゆる企画に専門的な意見を述べることが求められています。

心理学者の就職先・活躍の場

大学、研究所だけではない

心理学者の就職先は大学の心理学科や研究所などが挙げられます。

私立であれ公立であれ、心理学科のある大学は多いです。

研究所に関しても、国立研究所、独立行政法人研究所、民間研究所などさまざまあります。

大学に勤めているのは、大学教授、准教授、講師、助教、助手、それから客員研究員、博士研究員などの研究職の人たちがいます。

応用心理学分野の人たちは研究機関外で実践的に活動する場合が多いです。

企業に所属し、自らの研究を活かした市場分析や商品開発を行う人たちもいます。

心理学者1日

大学に勤めている場合

8:50出勤
大学に出勤し、自分の研究室に行き、用意しておいた講義の資料を回収します

9:00講義
教室に移動し、1限目の講義を行います

10:40査読
学術論文の査読を行います

12:10昼食
昼ご飯を食べて午後に備えます。

13:00講義
教室に移動し、3限目の講義を行います

14:45学生への指導
研究室を訪ねてきた学生への指導を行います

15:50研究
ようやく手が空き、自分の研究を進めます

17:30教授会
教授会に出席し、議題について話し合います。

18:50帰宅
教授会を終えて帰路につきます。

心理学者になるには

まずは大学院まで進む

心理学者を目指すのであれば、心理学を専門に学べる学部学科のある大学に進学しましょう。

心理学者として生計を立てようと思ったら博士課程まで進むことは必須です。

修士号取得時に「臨床心理士」の資格試験を受けておくと、後々カウンセラーとしての道も拓けます。

大学院で研究を深化させ、あらゆる場所で発表し、評価を受けながら実績を積んでいきます。

実力があっても研究者として安定した収入を得るには 長い時間がかかります。

まずはポスドクとして任期付きの研究員の募集を探しましょう。

場合によっては中高の非常勤講師等で収入を得ながらの研究生活になる覚悟も必要です。

心理学者の学校・学費

できるだけハイレベルな大学の博士課程をめざす

心理学者を目指すのであれば、大学院に進み博士課程まで修めることが大切です。

大学院ならばどこでもよいというわけではありません。

心理学に限らず、大学の研究者はハイレベルな大学を卒業したほうが有利になります。

なぜならば、卒業した大学よりレベルの高い大学では、だいたい採用されないからです。

だからといって難関ではない大学を出た人は絶対に採用されない、というわけでもありません。

母校に採用されたり、地方の大学に採用されたりというケースもあります。

心理学者の給料・年収

専門性が評価される

大学勤務の場合、国立と私立、立地や職階によって差がありますが、平均で言うと年収で1000万円前後、月収で60万円前後の収入になります。

研究機関勤務の場合、大手の場合は30代でも年収1000万円以上の好条件で勤務することが可能です。

本業の他に著書の出版や講演、メディア出演など収入を伸ばすチャンスもある職業です。

民間企業や公的機関の心理職に従事する場合、規定の基本給に加えて専門職手当がつくこともあります。

非常勤雇用の場合、給与は時給制であることもあり、金額は1時間2000円程度にとどまります。

勤務時間が短かったり、勤務日数が少なかったりと思うように収入を得られないことも珍しくありません。

心理学者のやりがい、楽しさ

社会をより豊かに

心理学は人間の生き方に直接的に関わってくる領域です。

そのため、心理学を活かすことは他の誰かの生き方をよい方向にもっていくことにつながります。

人が抱えている問題に焦点を当てることで、社会をより豊かにすることができるのです。

また大学に勤める研究者であれば自由度の高さも魅力といえます。

小中高の教員のように拘束されることも少なく、講義のない日の活動は人それぞれ異なります。

自分で決めたテーマを突き詰めていける、専門性に特化した仕事です。

心理学者のつらいこと、大変なこと

アップデートし続けることが必要

研究者は、立場を確立するまでに時間がかかるという難しさがあります。

そのため実家のバックアップがなければ目指すことさえ難しいのが現状です。

また、研究は日進月歩で進んでいきますから取り残されないよう、常に知識のアップデートを行う必要性があります。

慣れたら安定する仕事とは異なり、進化していくことが常に求められるのです。

もちろんそれこそが研究者のやりがいでもありますが、大きなプレッシャーも常についてまわるでしょう。

心理学者に向いている人・適性

向学心を基盤にして、さまざまな能力が必要となる

心理学者に向いている人は、向学心のある人です。

専門性に特化した仕事なので、常に学んでいく姿勢が求められます。

大学勤めの心理学者の場合、一人で研究をしていればよいというわけにもいきません。

生徒の論文を指導したり、講義を行ったりと、人と接する場面がたくさんあります。

学会でも発表がついて回ります。

人前でも臆さず話せて、コミュニケーションに長けていることが望ましいです。

また、生徒の成長に寄り添えること、わかりやすく伝えられることなどが大事です。

心理学者の雇用形態・働き方

大学で働く場合、安定するまでが大変

企業の研究機関で働く場合は企業ごとの基準に合わせるかたちです。

大学に勤めるのであれば、大学教授、准教授、講師、助教、助手、それから客員研究員、博士研究員などの役職で働くこととなります。

講師は専任講師と非常勤講師があり、非常勤だとかけもちで働かなければ生活が立ちゆきません。

社会保険に関しても、自分で国民年金と国民健康保険に入るしかなく、学会への出張費、研究費などすべて自己負担です。

しかし、専任になれれば共済年金や社会保険に加入可能、研究費も出ます。

心理学者の勤務時間・休日・生活

大学の研究者は自由度が高い

大学に勤めた場合、講義や会議の時間を除けば、自分の裁量で仕事を進められます。

もちろん学生の指導に査読に自身の研究に、とやることは山積みですが、自由度が高いことは間違いないでしょう。

副業も認められているため、講演会や執筆などをしても咎められません。

人気があればテレビのコメンテーターとして呼ばれることもあります。

また夏休みとして一週間ぐらいの休みをとることもできます。

企業の研究機関に勤めている場合は、企業のルールに準じます。

心理学者の求人・就職状況・需要

人員は減少傾向に

まず大学への就職は厳しい状況が続いています。

少子化の煽りを受けて大学間の競争は激化していますし、政府からの補助金も年々減額されているためです。

そのため学費の値上げと人員削減で、大学は収支をなんとかしようと必死になっています。

多いのが、定年退職者が出たあとに後任を採用しないといったやり方です。

採用が減らされることで若い研究者たちが煽りを受けています。

学会を通して知り合いを増やし、人脈を広げておかないと、採用されるのはかなり難しい状況です。

民間の研究職も退職者が少なく募集枠は多くありません。

心理学者の転職状況・未経験採用

長い期間を要するだけに難しい

研究者は立場が確立されるまでに時間を要するものです。

そのため、転職や未経験者というのはイチからキャリアを積み上げていく必要性があります。

大学院の博士課程を終え、なんとかポスドクになれたとしても、そこから先がまた長く、専任での就職先が見つけられない可能性さえあります。

それを念頭に置き、長い期間とリスクに耐えられるだけの資本があれば挑戦する価値はあるでしょう。

企業で採用されるにしても、せめて修士課程、できれば博士課程を修めておきたいところです。

心理学者の現状と将来性・今後の見通し

ポスドクが溢れかえっているのはどの研究分野にもいえることです。

長期戦を覚悟し、努力を重ねれば未来は開けますが、厳しい道であることを強調しておきます。

一方でカウンセラーの需要は年々高まってきています。

メンタルケアの重要性が叫ばれている現代社会において、心理学とはまるで関係のない企業や機関でも「心理職」を設置し、カウンセラーを常駐させ、社員のケアを測っています。

研究職を目指す過程でこのような道に進むのも悪い選択ではないでしょう。

「臨床心理士」の資格は必ず取得しておきたいものです。