学芸員資格認定の難易度はどれくらい? 受験資格や合格率を解説
学芸員の資格を取得するためには、大学で専門課程を履修する方法や、試験を受験する方法、そして実績や学識を示す審査認定を受ける方法があります。
この記事では、学芸員を目指すための道のりや、資格試験の内容と難易度、合格率などのを詳しく解説します。
学芸員採用までの流れ
学芸員は、日本の博物館や文化機関において重要な専門職であり、文化財や資料の保護、研究、展示、普及活動を担当します。
学芸員の資格を取得するためには、以下の3つの方法があります。
- 大学で博物館に関する科目の単位を修得し、学士の学位を取得すること
- 大学に2年以上在学し、博物館関連科目を含む62単位以上を修得し、3年以上の学芸員経験(学芸員補)がある場合
- 文部科学省が年1回実施する「学芸員資格認定」に合格すること
最も一般的な方法は、大学で博物館関連科目を学んで卒業し、学士の学位を取得する方法です。
学芸員を目指すほとんどの人がこのルートで資格を取得しています。
このほか、「学芸員資格認定」に合格する方法でも、学芸員を目指すことができます。
資格の認定は「試験を受ける方法(学芸員試験認定)」と「試験なしで審査に通過する方法(学芸員審査認定)」の2通りがあります。
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学芸員資格認定について
ここからは、学芸員資格認定の内容や受験資格を詳しく見ていきましょう。
学芸員試験認定とは
学芸員試験認定とは、学芸員となる資格を有していることを認定するために、試験や審査を行うものを指します。
試験認定や審査認定の合格者は、学芸員となる資格を有するとみなされます。
認定試験では、学芸員として必要な知識やスキルに関連した問題が出題されます。
学芸員資格認定試験は、令和6年度以降は2年に1回実施され、下記のいずれかの条件を満たしていれば受験することができます。
- 学士の学位を有する者
- 大学に二年以上在学して六十二単位以上を修得した者で二年以上学芸員補の職にあった者
- 教育職員の普通免許状を有し、二年以上教育職員の職にあった者
- 四年以上学芸員補の職にあった者
試験は必修科目8科目と、選択科目2科目の筆記試験です。
なお、学芸員試験認定に合格後、1年間「学芸員補」として働くことで、「学芸員」の資格を取得することができます。
学芸員審査認定とは
学芸員資格認定の審査は、試験を受験せずに、実務経験や業績などを提出して審査に通過することで、学芸員の資格が認定されるものです。
試験を受験することが難しい場合や、すでに実務経験が豊富な人に適しています。
下記のいずれかの条件を満たしていれば、学芸員資格審査を受けることができます。
2.大学において博物館に関する科目(生涯学習概論を除く。)に関し二年以上教授、准教授、助教又は講師の職にあった者であって、二年以上学芸員補の職にあった者
3.次のいずれかに該当する者であって都道府県の教育委員会の推薦する者
(1)学士の学位を有する者であって、四年以上学芸員補の職にあった者
(2)大学に二年以上在学し、六十二単位以上を修得した者であって、六年以上学芸員補の職にあった者
(3)大学に入学することのできる者であって、八年以上学芸員補の職にあった者
(4)その他十一年以上学芸員補の職にあった者
4.その他文部科学大臣が前各号に掲げる者と同等以上の資格を有すると認めた者
審査内容は書類審査と面接です。
学芸員の難易度・合格率
ここでは、学芸員資格認定についての難易度や合格率を紹介します。
資格認定試験
学芸員の資格認定試験は、社会に出てから受験することが多く、そのためには十分な復習と専門知識の習得が必要です。
学芸員の資格認定試験は、専門知識とスキルを要求する難易度の高い試験とされています。
また、受験者は多くの場合、社会に出てから数年経過しており、学生時代の知識の復習が必要です。
まったく学習をせずに気軽に受験できるようなものではなく、合格には多くの時間を割かなければ難しいとされています。
2023年度の学芸員の資格認定試験の合格率は54.8%であり、受験者数104人、合格者数57人という数字から見ると合格者数が受験者数の約半数を占めていることがわかります。
試験合格後は「学芸員補」として1年間の経験を積む必要があります。
この期間中に実務経験を通じて学芸員としてのスキルをさらに磨く機会が提供されます。
資格認定審査
学芸員審査認定は、試験を受験しない方法で学芸員の資格を取得するためのプロセスです。
学芸員審査認定を受けるには、修士または博士号を取得していることが一般的な要件であり、学芸員資格者と同等以上の学力と経験が求められるため、合格は決して簡単なものではありません。
審査内容は、主に資料の提出と面接です。
受験者は、過去の業績や学識に関する資料(おもに博物館や関連分野における著書、論文、報告など)を提出します。
提出された資料は審査の対象となり、学芸員職にふさわしい学識と経験があるかが評価されます。
また審査認定の一部として、面接が行われることがあります。
面接では受験者の人物や専門知識、職務への適性などが評価されます。
2023年度の学芸員審査認定の合格率は71.4%、受験者数63名のうち、合格したのは45人です。
試験認定試験に比べて合格率が低い傾向にありますが、審査認定は実務経験や学識を重視するため、すでに一定の実績のある人にとっては有利となるでしょう。
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認定試験実施体制の変更
学芸員の資格を認定する試験は、令和6年度(2024年度)以降、隔年実施に減ることが決まりました。
これにより、筆記試験と審査を年ごとに交互に実施することになっています。
試験実施回数や科目の変更によって、これから学芸員を目指したい人は、準備や受験計画に大きな影響がある可能性があります。
最新の試験情報については、文部科学省の公式情報や受験案内をよく確認してください。
「学芸員の資格認定」まとめ
学芸員の資格を取得する人の多くは、大学時代に博物館関連科目を学んで卒業し、学士の学位を取得することで、学芸員資格を取得しています。
ただ、それ以外に「試験認定」と「審査認定」のどちらかを受けることによっても、学芸員を目指せます。
いずれの認定方法においても、合格すると学芸員資格が与えられ、文化機関や博物館などの専門職としてのキャリアを築くことができます。
なお、2024年度からは試験の実施頻度や科目が変更になる可能性があるため、受験の際には最新の情報を収集・確認するようにしましょう。
令和6年度 学芸員資格認定の概要
試験日 | 令和6年12月12日(木)、12月13日(金) |
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試験地 | TKP新橋カンファレンスセンター(東京都千代田区内幸町1-3-1 幸ビルディング16階) |
受験資格 | 下記のいずれかに該当すれば試験認定を受けることができます。 1.大学院に入学することができる者 2.大学に二年以上在学して六十二単位以上を修得した者で、二年以上博物館における博物館資料の収集、保管、展示及び調査研究その他これと関連する事業に関する実務を行った経験を有するもの 3.大学に入学することのできる者であって、四年以上博物館資料関係実務を行った経験を有するもの 4.教育職員免許法第二条第一項に規定する教育職員の普通免許状を有し、二年以上教育職員の職にあった者 5.その他文部科学大臣が前各号に掲げる者と同等以上の資格を有すると認めた者 |
試験科目 | ・生涯学習概論 ・博物館概論 ・博物館経営論 ・博物館資料論 ・博物館資料保存論 ・博物館展示論 ・博物館教育論 ・博物館情報・メディア論 ※大学における単位修得によって、免除規定があります。 |
合格発表 | 令和7年2月下旬 |
合格率 | 54.8%(令和5年度) |
受験料 | 1科目の受験につき1,300円 |
詳細情報 | 文部科学省 学芸員の資格認定について |