税理士の年収・給料はどれくらい? 初任給やボーナス、統計データも解説

税理士になるためには、税務や会計などの勉強を続け、国家資格を取得した人だけがなれる職業です。

専門性の高い仕事だからこそ、どれくらいの収入が得られるのか気になる人も多いことでしょう。

この記事では、税理士の給料・年収や福利厚生の特徴などについて解説します。

税理士の平均年収・給料の統計データ

税理士になるには、非常に難易度の高い試験を突破して国家資格を取得しなければなりません。

そのぶん収入面は恵まれており、一般的な会計事務所に勤務している場合でも、年収は700万円前後が相場です。

さらに「BIG4」と呼ばれる大手税理士法人に勤めたり、独立・開業して自身の事務所を経営したりすれば、年収1000万円以上を稼ぐことも可能です。

ただし、近年は倒産や廃業が相次いで中小企業数が減少傾向にあり、その一方で公認会計士が税理士を兼任するケースが増えています。

このため、税理士の競争環境は徐々に厳しさを増しており、かつてほど高収入が得られるわけではないとの声も聞かれます。

税理士の平均年収・月収・ボーナス

賃金構造基本統計調査

税理士の平均年収_2023

厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、公認会計士・税理士の平均年収は、39.4歳で747万円となっています。

  • 平均年齢:39.4歳
  • 勤続年数:8.3年
  • 労働時間/月:167時間/月
  • 超過労働:12時間/月
  • 月額給与:506,400円
  • 年間賞与:1,390,500円
  • 平均年収:7,467,300円
  • 出典:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」

    税理士の年収の推移_r5

    ※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
    ※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。

    求人サービス各社の統計データ

    職業・出典 平均年収 年収詳細
    税理士
    マイナビ税理士)
    700万円 小規模税理士法人600万円
    大規模税理士法人900万円
    税理士
    会計求人TOPICS)
    700万円 30代勤務税理士400万円~500万円
    40代以降700万円
    税理士
    Indeed)
    5,025,210円 月給355,793万円
    時給1,353円
    税理士
    求人ボックス)
    498万円 月給42万円

    各社のデータをみると、税理士の年収は490万円〜700万円前後が実態であるようです。

    厚生労働省の統計よりも下回っているのは、大手税理士法人で役員を勤めている人や、独立して大きく成功している人など、一部の高所得者が全体の平均を押し上げているためと推察されます。

    税理士の手取りの平均月収・年収・ボーナスは

    賃金構造基本統計調査をみると、税理士のボーナスはおよそ月収3ヵ月分です。

    一般的な税理士の年収を700万円とすると、平均月収は約44万円、ボーナスは約130万円支給されていると考えられます。

    そこから所得税や住民税、社会保険料などを差し引くと、独身の場合の手取りは33万円~35万円前後の計算になり、夏と冬のボーナス時期にはそれぞれ月給と足して100万円近い収入が算出されます。

    税理士の初任給はどれくらい?

    税理士の初任給は、一般的な職業よりもかなり高く、月収30万円~40万円ほどが相場です。

    大手税理士法人であれば、1年目からいきなり年収500万円を超える場合もあり、税理士は、新人であっても経済的にはかなり恵まれています。

    ただし、税理士の資格を取得するためには、税や会計に関する全11科目のうち、5科目に合格する必要があり、数年間におよぶ長い努力をしなければいけません。

    1科目合格するために1年以上かかるケースもあり、税理士になって働き始める頃には、20代後半や30代を迎えている可能性も十分にあります。

    働き始める年齢を考えると、初任給が高いとはいえ、同年代と比べてそこまで突出した給料水準とはいえないかもしれません。

    税理士の勤務先の年齢別の年収(令和5年度)

    税理士の年収を年齢別に見ると、サンプルが少ないためかなりばらつきがありますが、総じて年収は高めです。最も年収が高い世代は、50~54歳の930万円です。

    全年代の平均年収は747万円となっています。

    税理士の年収(年齢別)_r5

    上記グラフの基タイトルは「公認会計士,税理士」で公認会計士など他職業を含むデータです。

    税理士勤務先の規模別平均年収(令和5年度)

    税理士の年収は、勤務先の事業所の規模によって大きく異なります

    10〜99人規模の事業所に勤める税理士の平均年収は706万円、100〜999人規模は719万円、1,000人以上の規模では922万円、10人以上規模の事業所平均は747万円となっています。

    税理士の年収(規模別)_r5

    上記グラフの基タイトルは「公認会計士,税理士」で公認会計士など他職業を含むデータです。

    賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。

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    税理士の福利厚生の特徴

    税理士の福利厚生で特徴的なのは、勤め先の企業とは別に、「日本税理士共済会」という組織が設けている各種制度の利用ができることです。

    同会には、生命保険や年金積立、医療保障など、税理士本人とその家族が利用できる制度が複数設けられており、多くの税理士が加入しています。

    とくに組織から離れて独立開業する場合は、共済会の各種制度を利用すると安心して事業を営めるでしょう。

    税理士の給料・年収の特徴

    ここからは、税理士の給料・年収の特徴を、さらに詳しく説明します。

    特徴1.仕事を続けると生涯年収が高くなりやすい

    税理士は、一般的な企業の会社員などとは異なり、基本的に定年退職制度がありません。

    このため、意欲があれば何歳でも働き続けられ、60代を過ぎても現役の税理士は大勢います。

    むしろ、それまでに培ってきた豊富な経験を生かして、税理士法人の役員となったり、企業の顧問になったりするケースも多くあり、税理士にとっては、年齢や経験を重ねた後こそ「稼ぎ時」といえるかもしれません。

    税理士の年収が高いのは上述の通りですが、生涯年収という観点からみると、一般の職業よりも相当高くなるでしょう。

    特徴2.独立・開業にはデメリットもある

    税理士は、大手税理士法人や外資系税理士法人に就職したり、独立開業すると、一般の人をはるかに超えて高収入を得られる職業です。

    しかし、大手や外資系の会社でシニアやマネージャーと呼ばれる管理職や、ディレクターやパートナーと呼ばれる役員になると、労働者ではなく経営層に近い待遇になります。

    裁量労働制となって残業代などは一切支給されなくなりますし、結果が出なければクビになる可能性も十分にあります。

    収入があがるにつれて、そのぶん雇用形態として見たときのリスクも大きく高まるため、高給を目指すなら、メリットとデメリットをよく把握しておくべきです。

    独立開業する場合も同じで、勤務時より稼げるチャンスがありますが、十分にクライアントを掴めなければ、勤務時代の収入を下回るどころか、生活資金にさえ困る場合もあります。

    特徴3.得意分野や強みを見つけると収入を上げやすい

    税理士業務は、個人向けの確定申告作業や、企業の決算処理、税務知識を生かしたアドバイザリー業務などもあります。

    近年は経済全体のグローバル化が進展している影響で、国際税務のニーズが高まっていますが、何かひとつでも「これだけはほかの税理士に絶対に負けない」という得意分野を持っていると、高収入を得やすいようです。

    就職してからの最初の5年間が、税理士としての得意分野を見つけるための重要な期間といわれているため、できる限りさまざまな案件に触れて、自分の強みを探してみるとよいでしょう。

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    税理士の業態別に見る給料・年収

    税理士の勤務先はいくつかの種類に分けることができます。

    ここでは、それぞれの場で勤めた場合の給料・年収の特徴を説明します。

    税理士法人

    税理士法人に勤める税理士の給料は、大手・中堅クラスで年収600万円~900万円、BIG4と呼ばれる4大税理士法人(PwC、デロイトトーマツ、KPMG、EY)で年収700万円~1000万円とされています。

    大規模事務所ほどブランド力が高く、大手クライアントを抱えており、また提供できるサービス領域も広いです。一人当たりの売上も大きくなるため、そのぶん給料も高くなります。

    また、大手では人事評価制度も確立されているため、ポジションが上がるにつれて、着実な収入アップが期待できます。

    なかでもBIG4のシニア層になると、年収1500万円程度を得ている人も珍しくないようです。

    個人事務所

    小規模な個人の税理士事務所に勤める場合、年収は500万円~700万円くらいが相場です。

    税理士法人と比べると給料水準は大きく見劣りしますが、将来的な独立を視野に入れている場合は、経営者である代表税理士の働きぶりを間近に見れる点は大きなメリットといえます。

    また、個人事務所のなかでも、クライアントを一部の業種を絞っているところや、コンサルティングのスポット収入が多いところなどでは、平均よりも高めの給与に設定されているケースもあります。

    近年では、資産税に特化した事務所は高給を得やすい傾向にあり、税理士法人と同程度の年収が得られることも多いようです。

    一般企業(経理部など)

    税理士は、税理士事務所などに所属して他者の税務を扱う以外に、一般企業に就職し、サラリーマンとして自社の税務や経理を手掛けるという働き方もあります。

    その場合の給料は勤め先次第ですが、税理士という国家資格があるぶん、一般の社員よりも高くなりやすく、年収600万円~800万円前後が相場とされています。

    メーカーなどの大手上場企業に勤めれば、中小の税理士法人や個人事務所で働くよりも、安定性という点では上回っているかもしれません。

    税理士が収入を上げるには

    税理士が収入を上げる方法は、なんといっても独立開業して事務所をもつことです。

    独立を成功させるためには、税理士としての知識や経験だけでなく、営業力やコネクションなど、経営者としての手腕が要求されますが、年収1000万円や、それ以上の稼ぎも不可能ではありません。

    医師弁護士、著名人といった富裕層を顧客にしたり、数多くの法人企業と顧問契約を締結したりすると、年収3000万円という大金を手にしている税理士も存在します。

    また、税理士資格に加えて、司法書士行政書士、社労士など、ほかの士業資格も取得するという方法も非常に有効です。

    ダブルライセンス・トリプルライセンスで事務所を経営すれば、それだけ手掛けられる仕事の幅が拡がりますので、収入増に直結させられます。

    「税理士の年収・給料」まとめ

    税理士は専門性の高い職業であるぶん、平均年収は一般的な会社員よりも高めです。

    また、経験を積むと独立して自分の事務所を立ち上げる人も増え、事業が軌道にのればさらに収入を増やすことも可能です。

    競争の厳しい仕事でもありますが、自分の強みを持ったり、他の専門資格と合わせて活動したりすることで、大きな成功を手にしている税理士もいます。