特別支援学校教諭の年収・給料はいくら? 男女別・年代別に解説
なお、特別支援学校は他の教師よりも専門性が求められるため、その分の手当などがつき、年収はさらに高くなります。
この記事では、特別支援教諭の収入・給料について、男女別や年齢別などさまざまな角度から解説します。
特別支援学校教諭の平均年収・給料の統計データ
特別支援学校教諭は、多くの人が公立の学校で働いており、その場合は地方公務員の身分になります。
地方公務員の給与は、各自治体が定める給料表に沿って支払われます。
特別支援学校教諭は、一般的な小・中・高等学校で働く教師よりも障害に対する高い専門性が求められるため、給料は高めに設定されています。
特別支援学校教諭の平均年収・月収・ボーナス
賃金構造基本統計調査
厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、特別支援学校教諭の平均年収は、45.1歳で483万円ほどとなっています。
出典:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」
※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。
特別支援学校教諭の手取りの平均月収・年収・ボーナスは
特別支援学校教諭の収入は、年代や家族構成などによって社会保険料や支払う税金の金額が異なるため、一概にはいえません。
ただ、上記のデータからおよその手取り額を計算すると、特別支援学校教諭の手取りの平均月収は約25~26万円、また同様に手取りの平均ボーナス額は約55~56万円と考えられます。
基本的には一般の教諭と変わりませんが、特別支援学校教諭は視覚障害や聴覚障害、知的障害などさまざまな障害をもった児童生徒が教育の対象となります。
そのため、多くの場合、仕事量は一般の教諭よりも多くなり、専門性も高くなることから、給与は高めに設定されています。
特別支援学校教諭の初任給はどれくらい?
特別支援学校教諭の初任給は、採用される自治体によっても異なりますが、22~28万円が相場です。
たとえば東京都で採用され、都内で勤務する場合、特別支援学校教諭の初任給は大学卒が約278,900円、短大卒が約257,500円となっています。(令和6年4月1日現在)
これは地方公務員の一般行政職(事務などを担当する職員)の初任給よりも高めであり、さらにこの基準額に地域手当、教職調整額、義務教育等教員特別手当などが上乗せされます。
さらに特別支援学校に勤務する教員には、条例に基づき、別途手当などが支給されるため、一般の小・中・高等学校教員と比べて、初任給が12,000円~13,000円程度高く設定されています。
特別支援学校教諭の勤務先の規模別の年収(令和5年度)
特別支援学校教諭の年収は、勤務先の規模が大きくなるとやや高くなる傾向があります。
10〜99人規模の事業所に勤める特別支援学校教諭の平均年収は435万円、100〜999人規模は505万円、1,000人以上の規模では582万円、10人以上規模の事業所平均は483万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「その他の教員」で予備校講師など他職業を含むデータです。
※賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。
特別支援学校教諭の勤務先の年齢別の年収(令和5年度)
特別支援学校教諭の年収を年齢別に見ると、年齢の上昇にしたがって、年収も上がっています。最も年収が高い世代は、55~59歳の587万円です。
全年代の平均年収は483万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「その他の教員」で予備校講師など他職業を含むデータです。
20代で正社員への就職・転職
特別支援学校教諭の福利厚生の特徴
特別支援学校はほとんどが公立学校なので、福利厚生サービスも一般的な公立学校の教職員と同じように受けられます。
内容は各自治体によって異なる可能性がありますが、たとえば健康保険、厚生年金などの給付、臨時的に資金が必要になった際の貸付事業、宿泊施設の割引利用、人間ドック等の福祉事業などが挙げられます。
また手当も充実しており、期末・勤勉手当、地域手当、扶養手当、住居手当、通勤手当、さらに義務教育等教員特別手当などが支給されます。
さらに特別支援学校教諭ならではの手当として、自治体によっては、障害のある幼児、児童及び生徒に対する授業または指導に従事した教職員に対し、特別支援教育手当などの「特殊勤務手当」を支給することもあります。
そのほか、産休を産前産後8週間取ることができ、その間も給与は全額支給されます。
1歳までは育児休業手当金が支給されますし、給与は出ませんが3歳までは育休として休暇を取ることができます。
特別支援学校教諭の給料・年収の特徴
ここからは、特別支援学校教諭の給料・年収の特徴をさらに詳しく紹介します。
特徴1.一般的な学校よりも高めの給料設定
特別支援学校では1クラスにつき児童生徒が6人程度と少人数ですが、子どもたちの障害の種類は多岐にわたり、程度や状態も一人ひとり違うので、教員には高い専門性が求められます。
そのため、具体的な金額は自治体によって異なりますが、特別支援学校教諭の給料は一般的な学校より少し高めに設定されています。
特別支援学校で勤務する教職員の給料には、教職調整額4%のほかに、職務の困難さや責任の度合いを考慮し、「給料の調整額」が給料の最大25%を限度に加算されます。
また自治体によっては「特殊勤務手当」がつくこともあります。
特徴2.勤続年数や学歴によって給料に違いがある
特別支援学校教諭の給料は勤続年数や学歴によって違いがあります。
新任教師と勤続経験のあるベテラン教師を比べると、数百万円の差額があることは珍しくありません。
また学歴による違いとして、大学卒のほうが管理職を任される可能性が高く、その分給料も高くなる傾向があると考えられます。
特徴3.残業代は支払われない
地方公務員のなかでも教師職の給料は高めに設定されていますが、その代わりに残業代や時間外手当は支払われません。
代わりに給与月額の4%を「教職調整額」として支給することが法律(給特法)で定められています。
特別支援学校の場合は、部活など放課後の指導がない場合が多く、中学校教諭・高校教諭に比べると残業は少なめであることが多いですが、それでも時間外に仕事をすることは多くあります。
特別支援学校に通う児童生徒はそれぞれ障害を抱えているため、さまざまな角度から支援を行わねばならず、そのための会議や研修も多く、割に合わないと感じる人も多いようです。
20代で正社員への就職・転職
男性教諭と女性教諭で年収に違いはある?
同じ立場で同じように勤続する男性教諭と女性教諭は基本的に年収に違いはありません。
ただし、実際には女性は結婚、出産などで休職する場合が多く、キャリアが中断してしまうことが多いため、その分給料が低くなってしまうことが多いです。
また、女性教諭は、家庭と両立するために経験を積んでも教頭や校長などの管理職にはならず、現場で働き続けることを望む人も多いようです。
そのため、生涯年収で考えるとどうしても女性のほうが低くなってしまうという現実があります。
特別支援学校教諭は年収1000万円を目指せる?
特別支援学校教諭が、ただ勤続しているだけで年収1,000万円を目指すのは難しいです。
地方公務員である特別支援学校教諭は、給与体系が各自治体によって定められているため、急激にアップすることはないからです。
年収1,000万円を目指すには、できるだけ早いうちから管理職を目指し、少しでも手当を増やしていくことが大切です。
ただし、校長になったとしても年収1000万円になることはまれであるため、高収入を目指す場合は勤務する自治体の給与体系をしっかり確認しておくことが大切です。
特別支援学校教諭が収入を上げるためには?
特別支援学校教諭がさらに収入アップしたいと考えた場合、どのような方法が考えられるのかを説明します。
基本的には年功序列で給料が上がる
特別支援学校教諭は一部の私立学校教諭を除いて、ほとんどが地方公務員の立場となり、給料は各自治体の給料表によって明確に定められています。
地方公務員の給料の支給額は、給料表における「級」と「号給」の組み合わせで決定されます。
「級」は職務の複雑さや困難さ、責任の重さなどに応じて区分されたもので、それぞれの「級」をさらに細分化して、職務経験年数による職務の習熟を反映させたものが「号給」です。
「級」によって支給額や昇給率は異なりますが、特に何もなければ、基本的に毎年4号給ずつ、金額にして数千円程度ずつ昇給していきます。
管理職になると給料がさらに上がる
管理職になるには専修免許状の取得が必要となる場合がありますが、給料はそれ以外の教諭に比べてかなり増えます。
多くの自治体では、教育職の「級」は1級から4級まで区分されており、その場合、管理職には3級以上、校長には4級の給与体系が適用されます。
「級」が上がれば、給料の支給額や昇給率、また調整額もそれに応じて上がります。
また管理職には給料の月額に「管理職手当」がつき、ボーナスにも「管理職加算額」が加えられます。
校長や教頭として勤務する場合は、月収が50万円~60万円、ボーナスを含めると年収が900万円~1,000万円になることもあります。
「特別支援学校教諭の給料・年収」まとめ
特別支援学校教諭は、他の教師職よりも高めの給与設定で、一般的な地方公務員の行政職よりも高収入を目指せる仕事です。
福利厚生なども充実している一方で、残業代は支払われず、どれだけ努力をしても自分で給与をアップさせられないという現実もあります。
日々の業務は通常学級以上にハードなものであることから、相応の覚悟と責任感が求められると考えておきましょう。