特別支援学校(養護学校)とは?

特別支援学校の定義

特別支援学校とは、心身に障害を持っていたり、大きな病気を患っていたりする児童・生徒が通う学校のことを意味します。

かつては、障害を持つ子どもたちが通う学校として「養護学校」「盲学校」「聾学校」の3つの種類の学校がありましたが、学校教育法の改正により、現在ではそれらを合わせて「特別支援学校」と呼びます。

特別支援学校の受け入れは、「視覚障害者」「聴覚障害者」「知的障害者」「肢体不自由者」「病弱者」を対象としていますが、学校ごとに受け入れる障害の種別が決まっており、それに該当しない場合は入学することができません。

また、特別支援学校は幼稚部、小学部、中学部、高等部があります。

生徒数は普通の学校のように多くなく、少人数教育が行われるのが特徴です。

知的障害児や肢体不自由児の学校にはスクールバスがあり、多くの児童・生徒はそれで通学します。

病弱児の学校は病院併設の所もあり、病院に入院しながら学校で学んでいる児童もいます。

特別支援学校の目的は?

生活上の自立を支援する

学校教育法では、特別支援学校に入学する発達障害の程度について、以下のように規定されています。

1.知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通が困難で日常生活を営むのに頻繁に援助を必要とする程度のもの

2.知的発達の遅滞の程度が前号に掲げる程度に達しないもののうち、社会生活への適応が著しく困難なもの

特別支援学校には、心身に何かしらの障害を持っていたり、病気の子どもたちが多数在籍しています。

そのため、通常の学校のような集団教育ではなく、一人ひとりの年齢や発達度合いに合った教育を行い、生活上の自立を図るための知識や能力を身につけさせ、成長を支援していくことが特別支援学校のおもな目的です。

特別支援学級との違いは?

特別支援学校と似た学校として「特別支援学級」があります。

特別支援学級とは、障害のある児童・生徒のために、通常の小学校や中学校内に置かれる学級のことです。

そこでは、通常学級での学習指導が難しい子どもたちに対して、少人数制のクラスで授業を行います。

基本的には学力に遅れがある場合に、特別支援学級へ通うことが一般的です。

一方、食事・着替え・排せつなど、日常生活上で必要なことが困難な場合には、特別支援学校へ入学するケースが多いとされています。

特別支援学校で学ぶことは?

一人ひとりに合わせた授業を行う

特別支援学校が普通の学校と大きく異なる点は、授業です。

病弱児以外の特別支援学校では多くの児童・生徒が教科書を使用した授業は難しいため、たいてい教師が独自に作成したプリントなどを作成して教えています。

レベル的には、児童・生徒によりかなり差がありますので、能力別のグループを作って勉強します。

また、登下校の時刻も普通の学校と違い、登校は9時ごろ、下校は15時ごろという学校が多いです。

「自立活動」が行われる

そして、特別支援教育の対象児には、通常の教育課程にはない「自立活動」という科目が定められています。

自立活動の内容は各児童・生徒によって異なりますが、子どもの発達を誘導し、社会の中でよりよく生きていくための時間枠となっています。

たとえば、聴覚障害のある子どもの中には、店で欲しい商品が見つからないときに場所を店員に尋ねたり、駅で乗り換えの方法を駅員に聞いたりといった行為を自分でしたことがない子どもも多くいます。

この生活経験の少なさが抵抗や恐怖に変わってしまうと、将来的に社会生活を自立して行うことは難しくなっていきます。

このような、おのおのの子どもの不得意なことや慣れていないことを克服していくために自立活動は行われており、障害のある子どもにとって大切な時間です。

自立活動を指導する教諭の存在

特別支援学校教諭であっても、中学と高校は基本的に教科担任制です。

この教科分けは、基礎となる他の幼小中高の免許状に則して行われます。

しかし、自立活動に関しては対応する幼小中高の免許状の科目はありません。

ですから、自立活動をおもに担当する教員として「特別支援学校自立活動教諭」があります。

「特別支援学校自立活動教諭免許状」を取得するためには、教員資格認定試験を通る以外の方法はありません。

教員資格認定試験は教員免許状を1つも持っていない人でも受験することは可能ですが、科目が多く、専門知識を多く要求されるため、受験生は科目免除があるなどで有利な現職の教員がほとんどです。

職業訓練を行う「自立教科」も

自立活動と似た教科として、高等部や専攻科には「自立教科」があります。自立教科の内容は、あん摩やパソコン、ピアノの調教などの職業訓練的要素があるものです。

自立教科を教えるには「特別支援学校自立教科教諭免許状」が必要となりますが、取得にはそれぞれの職業内容を十分に理解していないといけません。

そのため、「あん摩マッサージ指圧師」や「はり師」などの他の資格が受験要件となっていることがあります。

こうした資格は勤務し始めてからの取得は難しいので、たとえば東洋医学系の学校に通っている人が、就職先として特別支援学校を選ぶというケースが多いようです。

寄宿舎で過ごす子どもたちも

幅広い年代の児童・生徒が共に過ごす

特別支援学校はとても数が少なく、障害種別によっては県に1校しかないこともあります。

ほとんどの場合は通学用のバスも用意されていますが、バスを使ったとしても立地によっては通学するだけで時間も体力も使ってしまうことも考えられます。

ですから、特別支援学校には寄宿舎が併設されていることが多いです。

しかし、その様子は一般的に思うところの「寮生活」のイメージと大きく違うこともあります。

とくに視覚障害や聴覚障害の場合は大人になってから障害が発生した中途障害者の割合が高いので、高等部や専攻科に在籍する生徒の年齢幅がとても広く、最高齢が80代になることもあります。

一方、小学部の子どもも寄宿舎生活をしていることがあります。

親子、孫ほど年の離れた「同じ障害を持つ人」とともに日常生活を送ることで連帯感や安心感が生まれ、孤独感を感じにくいといいます。

寄宿舎の必要性は?

寄宿舎は障害を考慮して設計されており安全性は保証されています。

また、寄宿舎職員や宿直の教諭も常駐しています。

しかし、特別支援学校の寄宿舎は社会福祉施設とは異なり、教育機関のひとつとしての役目ももっています。

ですから、自力でできることはなるべく自分で行い、どうしても難しい場合のみ助けを借りるのが基本です。

これは、学校を卒業した後、実社会に出て自立して生活するための実地的な練習にもなっています。

このように特別支援学校の寄宿舎は、「同年代の子どもと毎日を一緒に過ごす」ことによる発達的メリットに加えた役目も担っています。