特別支援学校教諭の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「特別支援学校教諭」とは

特別支援学校教諭の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

特別支援学校に勤務する教員。障害のある子ども個々の教育的ニーズに応じた学校教育を行う

特別支援学校教諭は、障害のある幼児・児童・生徒を対象とする幼児・児童・生徒が通う「特別支援学校」で働く教員です。

特別支援学校は、「幼稚園、小学校、中学校または高等学校に準ずる教育を施すこと」「障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けること」を目的とした学校です。

最近は「総合支援学校」として、幅広い教育的ニーズに対応するため複数の障害種を対象とする学校も増えてきています。

特別支援学校では、そこに通う子どもたちの学びを支えるためのチームティーチングが欠かせません。

また、健康管理や日常生活場面でも支援が必要な子どもが多く通うため、安心・安全な学校生活を保障するためにも、一般校と比較し、教職員の人数が多めに配置されています。

そういったことからも、特別支援学校教諭には個に応じた教育を施すための高い専門性と、他者と協同しながら仕事を進めていく力が求められるといえるでしょう。

「特別支援学校教諭」の仕事紹介

特別支援学校教諭の仕事内容

困難を抱える子どもたちが自立して生きていくための力の養成を目指す

特別支援学校教諭の働き方や仕事内容は、自治体や学校、学部や学級によっても異なります。

主なものとして、以下が挙げられます。

個別の指導計画の作成

特別支援教育の対象となる子どもには、一人ひとりに「個別の指導計画」の作成が義務付けられています。

一人ひとりの教育的ニーズに応じたきめ細やかな指導を具体化するため、個別の指導計画の作成と活用は、特別支援学校教諭の重要な業務のひとつです。

各教科等の指導

特別指導学校では、基本的には、一般校に準じた教育を行うよう定められています。

しかし、個々の障害の状態や特性、発達段階などを考慮して、教育効果が望めるよう、個に応じた特別な教育課程を編成して指導を行うことが多いです。

自立活動の指導

特別支援教育が必要な児童や生徒の学習には、「自立活動」という領域が設定されています。

児童・生徒が在学中はもちろん、卒業後もよりよく生きていくための力を育むために、障害による困難を主体的に改善・克服し、自立を図るための指導を行います。

進路指導などの移行支援

特別支援学校教諭は、進学や福祉、就労など、子どものライフステージに応じて移行支援や指導を行います。

進路指導を主として担当する職員は、卒業後も関係機関と連携しフォローアップや職場開拓を行うなど、専門性の高い業務を担うこともあります。

センター的機能の発揮

地域における特別支援教育の専門家として、センター的機能を発揮することも、特別支援学校教諭の業務のひとつです。

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特別支援学校教諭になるには

免許状を取得し、採用試験に合格する必要がある

特別支援学校教諭になる一般的なルートは、大学等で必要な免許状を取得し、その後教員採用試験に合格することです。

採用試験の出願に際しては、原則として「特別支援学校教諭免許状」が必要ですが、採用後数年以内に同免許を取得することを条件に、出願が認められている自治体もあります。

特別支援学校教諭以外で採用となった場合にも、自治体によっては特別支援学校へ配属されることもあります。

このほか、大学等で教員養成課程を受講していない・教職員としての勤務経験がない場合に、「特別支援学校教員資格認定試験」を受験して特別支援学校自立活動教諭免許状を取得し、教員採用試験を受験する方法もあります。

ただし、特別支援学校自立活動教諭一種免許状を受験資格として認めている自治体は限られてくることや、特別支援学校自立活動教諭一種免許状は自立活動のみを担当することなど、通常の免許状と比較し制約があるため、注意が必要です。

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特別支援学校教諭の学校・学費

大学に進学して教諭免許状を取得する人が多い

特別支援学校教諭を目指す場合、基本的には、通常の教員免許状や特別支援学校教諭免許状の取得を目指すため、大学等に進む必要性があります。

最近では大学院に進学し、さらに専門性を高める人も増えてきています。

大学の学費は国公立か私立かによって大きく異なり、国公立の場合は4年間で250万前後、私立の場合は学校によって開きがあるものの多くの場合、1年あたり100万円以上は必要です。

日々の講義に必要な物品や教育実習に関わる諸経費も踏まえると、ばかにならない金額が必要になります。

保護者に援助してもらうことが難しい場合は、アルバイトをしたり奨学金制度を利用したりすることで賄うことが可能です。

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特別支援学校教諭の資格・試験の難易度

まずは、大学等で教員免許の取得を目指そう

特別支援学校で働きたいと考えている場合、「特別支援学校教諭免許状」の取得をおすすめします。

特別支援学校教諭免許状を取得するには、まず基礎免許状(幼稚園、小学校、中学校又は高等学校いずれかの教諭免許状)を取得し、その後必要な単位を取得する必要があります。

大学等で特別支援学校教諭免許状を取得しなかった場合でも、他校種で採用され一定の経験年数と所定単位を修得することで、特別支援学校教諭免許状を取得することができます。

なお、その他の特別支援学校関係の資格として、「特別支援学校自立教科教諭免許状」と「特別支援学校自立活動教諭免許状」があります。

これらは特別支援学校教諭免許状とは異なり、教えてよい対象や授業が限定されます。

受験資格として認めている自治体や学校も限られてくるため、取得にあたっては注意が必要です。

なお、自治体や学校によって、特別支援学校教諭の受験資格や区分はさまざまです。

採用試験を受験する場合は、受験予定の自治体や学校の募集要項を確認し、それに合わせて試験対策を進めていく必要があります。

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特別支援学校教諭の給料・年収

通常の学校の教員よりも高めの給与設定

特別支援学校教諭のほとんどが公立学校に勤務しており、この場合の身分は地方公務員となります。

このため、給与体系は各自治体の地方公務員給与規定に沿って支給されます。

基本的には年齢と勤続年数によって昇給し、管理職に就くと別の給与体系となります。

待遇や福利厚生は手厚い

特別支援学校教諭の給与水準は高めで、さらに地方公務員としての手厚い手当や福利厚生が用意されています。

特別支援学校教諭ならではの手当として、自治体によっては「特別支援教育手当」などの「特殊勤務手当」を支給することもあります。

基本的には年功序列で昇給が見込めますし、待遇面で心配する必要はないといえますが、日々の業務は通常学級以上にハードなものとなるため、相応の覚悟と責任感が求められます。

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特別支援学校教諭の現状と将来性・今後の見通し

障害に対する幅広い知識や覚悟をもつ人材が求められる

特別支援学校のなかでも、近年では、とくに知的障害児が通える学校のニーズが高まっています。

自治体によって差はあるものの、特別支援学校が新設されるケースも相次いでおり、まだまだ特別支援学校教諭の供給が追い付いていないのが現状です。

今後は、さらに特別支援学校教諭の採用人数を増やす自治体も出てくるかもしれません。

なお、特別支援学校教諭は障害に対する専門知識や理解が不可欠ですが、一人ひとりに適した指導や支援を行うために、なによりも研究熱心さや粘り強さが必要とされます。

通常学級にも軽度な障害を持った児童・生徒が在籍していることがあるため、特別支援学校教諭が通常学級の教員に対するアドバイスを行う機会も多く、地域の中で重要な責任を担っています。

需要は高まっているものの、決して簡単な仕事ではないため、特別支援教育を必要とする子どもたちと向き合う覚悟をもった人材が求められています。

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特別支援学校教諭の就職先・活躍の場

配属先は自治体による

特別支援学校教諭の枠で合格した後、どの校種に配属されるか、異動になるかは自治体によって異なります。

特別支援学校間での異動になるケース、特別支援学校と通常校を跨いでの異動になるケースなど、さまざまです。

通常校に配属になった場合には、通常の学級の担当になる場合があります。

しかし、特別支援学校にいたことや免許状を持っていることにより専門性があるとみなされ、特別支援学級や通級の担当になる場合がほとんどです。

特別支援学校教諭の1日

個々の児童・生徒に合わせた指導や支援をする

特別支援学校教諭の働き方や仕事の流れは、自治体や学校、学部、学級によって異なります。

就業時間や休憩時間なども異なるため、参考までに一例をご紹介します。

7:30 出勤
8:30 勤務開始、朝の打ち合わせ
9:00 登校してくる児童・生徒を迎える
9:30 朝の会終了後、授業開始
12:00 子どもをサポートしながら給食
14:30 授業終了
15:00 会議・打ち合わせ、教材準備などのデスクワーク
17:00 勤務終了 就業時間内にできなかった仕事をして帰宅

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特別支援学校教諭のやりがい、楽しさ

一人ひとりの子どもの自立や成長を支援する喜び

特別支援学校教諭は、さまざまな個性をもつ子どもたちが、これからの人生で自立して生きていけるよう、支援していくことができる仕事です。

特別支援学校に通う子どもたちの状態や障害の程度は個々で異なり、なかには着替えやトイレなど、日常生活上の困難を抱える子もいます。

しかし、教諭の指導や支援の結果、学校生活の時間を通して、できなかったことができるようになったり、新しい目標が生まれたりすると、非常に大きな喜びを味わえます。

自分の関わりが子どもたちの未来を拓くための一助になるという点で、大きな社会的意義も感じられるでしょう。

また、通常の学校や学級に比べると、特別支援学校は一人ひとりの子どもたちと密に接することが可能です。

少人数教育をするところにやりがいを感じている教諭も少なくありません。

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特別支援学校教諭のつらいこと、大変なこと

対応が難しいケースが多いこと

社会的に大きな意義のある仕事は、そのぶん大きな責任を背負うことが多いものです。

特別支援学校教諭も同様で、さまざまな困難を抱える子どもたちの成長に深く関われる一方、通常の学校の教諭以上に、一人ひとりの子どもたちを注意深く見守らなくてはなりません。

なかにはおとなしく座り続けるのが難しい子や、暴れてほかの子に危害を加えそうになったりする子もいるため、教諭の気苦労は非常に大きなものとなります。

障害に対する理解や専門知識も必要となり、対応に難しい子どもにどう接すればよいのか、頭を悩ませながら過ごす日々を送る教諭が多くいます。

業務量の多さや他の教諭との人間関係

特別支援学校では、いくら少人数教育で教員数が多く設置されているとはいえ、子ども一人ひとりにかけるべき時間が長いため、どうしても業務量が多くなりがちです。

通常業務の時間中にすべての仕事に手が回ることは少なく、サービス残業や持ち帰り仕事が恒常化しがちです。

また、特別支援学校では複数の教諭がペアを組んで担任を務めるため、相性の合わない教諭と働くことになると、人間関係で悩むことになりかねません。

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特別支援学校教諭に向いている人・適性

子どもの可能性を信じ続けることができる人

特別支援学校教諭に通う子どもたちは、一般的な学校の子どもとは異なる事情を抱えています。

着替えやトイレが一人でできなかったり、学習したことへの理解が非常に遅かったりする子が少なくありません。

少しうまくいかなかったときに、すぐにイライラしたり怒鳴ったりしてしまうような人では、とても特別支援学校教諭は務まらないでしょう。

同じことをゆっくりと、何度も何度も繰り返し伝えたり、支援したりすることになるため、子どもの可能性を信じて、ゆっくりと気長に待てる人に向いているといえます。

もちろん、子どもに対する愛情深さも欠かせません。

勉強熱心で最適な支援方法を考え続けられる人

特別支援学校教諭は、教育者ではありますが、障害に対する知識の習得や理解も不可欠であるため、勉強熱心な人に向いています。

子どもたちが抱える障害はさまざまですが、個性や感受性もさまざまで、同じ種類に分類できないケースが多々あります。

また、予測しえない事態が起こり、臨機応変な対応が求められる場面はしょっちゅうです。

いつでも目の前の子どもたちの様子を注意深く観察しながら、子どもたちに対しどう働きかけていくべきなのか、常に模索をしていける人に向いています。

深く悩みすぎないこと

特別支援学校教諭は対人援助職の一面もあるため、成果や「ここまでやったら終わり」が見えにくい仕事でもあります。

その業務特性上、深く悩みすぎない、もしくは悩んでも折り合いをつけることができたりストレスを発散したりことができるようになると長く続けることができるでしょう。

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特別支援学校教諭志望動機・目指すきっかけ

特別支援学校ならではの教育のあり方に共感して

特別支援学校教諭になる人の多くは、もともと「子どもと関わる仕事がしたい」「教育職に携わりたい」といった理由から教員を目指しますが、教員免許状を取得する勉強の過程で特別支援学校に進路を定めるケースがあります。

この場合、教育実習で特別支援学校を訪れたことがきっかけになることが多いようです。

特別支援学校ならではの、一人ひとりの子どもの個性や特性に目配りをした教育のありかたに共感を覚え、「こういう働き方がしたい」と考える志望者は決して少なくありません。

このほか、学生時代にボランティア活動をしたことがきっかけになる人や、もともと福祉領域にも関心が強く、最初から特別支援学校教諭を志望する人などもいます。

面接に向けて志望動機は十分に考えておく

特別支援学校教諭になるための教員採用試験では、面接も合否を大きく左右します。

志望動機を含め、特別支援学校の実態をきちんと理解しているかや、本気で特別支援教育を必要とする子どもと向き合う覚悟があるかなどを問われるため、十分に準備しておきましょう。

教員採用試験受験前に実際に学校を見に行く、特別支援に関する教習会を受けるなどを行っておくとよいでしょう。

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特別支援学校教諭の雇用形態・働き方

正規雇用のほか、非正規雇用で採用される人も

特別支援学校の教諭は、正規雇用されるほか、臨時教員として雇用されるケースがあります。

特別支援学校の臨時教員は、産休・病休などで休職する正規教員が出た場合に臨時的に採用されるものです。

「臨時」とは名がついていても、学級担任や授業担当として児童・生徒の指導や支援を行うとともに、各種校務にも携わる点は正規教員とほぼ同等です。

また、特別支援学校でずっと働いてきた教員以外に、小・中学校から内部試験を受けて着任する教員や、普通高校から異動してくる教員もいます。

逆に、もともと特別支援学校教諭として採用された人が、普通学校へ異動になることはほとんどないといわれています。

特別支援学校教諭の勤務時間・休日・生活

子どもがいる時間はつきっきりでサポートする

特別支援学校では、子どもたちが学校にいる時間は普通学校よりも短めです。

ただし、教諭は基本的につきっきりで子どものサポートをする必要があるため、日中に自分の事務的な業務はほとんどできません。

子どもたちが帰った後は教室の掃除や指導・支援計画の作成、今後の教材準備、職員会議などを行い、日によっては夜遅くまで働きます。

休日は基本的に土日祝日ですが、特別支援学校の日常はバタバタしているため、休みの日使って子どもの支援計画をじっくりと考える教諭もいます。

熱心な教諭ほど「自分の時間を犠牲にしてでも子どものために」と考えがちですが、それが行き過ぎると過労やストレスで離職してしまうケースも見られます。

特別支援学校では子どもの数に対して教諭の数が多く配置されるため、いかに他の先生たちと協力しながら、効率よく仕事を進めるかも重要になってくるでしょう。

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特別支援学校教諭の求人・就職状況・需要

募集数・採用数は増加傾向にある

近年、自治体によっては特別支援学校の新設が相次いでいるため、特別支援学校教諭の採用人数は増加傾向です。

少人数教育をおこなう特別支援学校では、一般的な学校に比べて多くの教員が求められるため、これからこの職を目指していく人にもチャンスは十分にあるといえるでしょう。

ただし、どれだけ需要があろうと、教員採用試験に合格しない限り特別支援学校で働くことはできません。

しっかりと教員採用試験にむけた勉強をして、合格を勝ち取る努力が不可欠です。

特別支援学校教諭になるための採用試験は、自治体によって「特別支援学校」の区分で実施される場合と、「普通学校」の教員と一括で採用する場合があります。

また、特別支援学校区分で採用試験を行う場合でも、受験資格として「特別支援学校教諭免許状」が必要になる自治体と、持たなくてもよい自治体があるため、よく確認しておきましょう。

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特別支援学校教諭の転職状況・未経験採用

ハードルは高いが異業種からの転職も目指せる

特別支援学校教諭は、転職によって目指すことも可能です。

特別支援学校教諭は、まだまだ人材が不足しているといわれますし、現場では体力を要する場面が多いため、とくに若い人材は歓迎される傾向です。

ただし、新卒者と同じように教員免許状を取得することと、自治体の教員採用採用試験に合格することが必要です。

大学などで教員養成課程を修了していない場合には、新たに免許状を取得する時間やお金の準備も必要ですし、ややハードルが高いといえます。

また、特別支援学校教諭は決して楽な仕事ではありませんし、体力的にも精神的にもハードです。

障害などを抱える子どもと触れ合う経験がなかった場合、これまでの常識や経験が通用しないこともあるかもしれません。

常に新しい知識を取り入れようとする研究熱心な姿勢が求められます。