出版社の現状と将来性

出版社の現状

1996年をピークに、書籍や雑誌などの出版物全体の販売高は減少を続け、2019年にはピーク時の半分以下にまで落ち込みました。

近年ではとくに月刊誌や週刊誌などの雑誌類の売上高減少が目立ちます。

これにはインターネットやスマートフォン、タブレット端末の普及による書籍離れに加えて、世界的な不況により広告出稿を控える企業が増えたことが影響していると考えられています。

書籍・雑誌の小売りとなる書店の数も激減し、2000年の全国の書店数は2万2千店舗以上でしたが、2019年には1万1千店舗ほどです。

紙の出版物の落ち込みは今後も続くと考えられるなか、その落ち込みを補うために電子書籍事業に力を入れる出版社が増えています。

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出版社の需要

出版社は、もともと少数精鋭の組織となっており、大手企業でも社員数は1000人にも満たない現状です。

他業種のトップ企業では、事業や組織をどんどん拡大させて、全国への拠点拡大や海外進出などを進めるケースが多々ありますが、出版業界では状況が異なります。

限られた人数で、すぐれたコンテンツをつくり届けることが出版社の特徴であり、新たに人材を採用するときの募集人数も決して多くありません。

大手企業の新卒採用でも10~20名程度、中小出版社になると2~3名ということは一般的で、就職試験はかなりの狭き門になっています。

「どうしても出版社で働きたい」という強い熱意をもっていないと、なかなか採用されるチャンスはめぐってこないと考えておくべきでしょう。

出版社の将来性

従来型の出版業界のあり方は、「メーカー」である出版社、「小売り」である書店、そして両者の間には「卸」の役割を担う取次が存在していました。

しかしネット通販アマゾンジャパンは、2020年2月には取次を介さずに直接同社へ本を卸す出版社が、3千社以上にまで増えていると発表しています。

古い業界のあり方を打破し、生き残りをかけようと出版各社が模索している現状があります。

もうひとつ、出版業界各社の昨今の傾向は、生き残りをかけた再編が加速していることです。

大手印刷会社「大日本印刷(DNP)」が大手書店数社を相次いで傘下に入れたり、中堅出版社と中堅書店が経営統合をして新たなグループを設立・業務提携を結んだりと、印刷・出版・書店各社が結束する形で勢力を拡大しています。

この先、出版業界の再編はさらに進んでいくと考えられ、新規事業にチャレンジしていく企業も増えていくでしょう。

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出版社社員の今後の活躍の場

出版業界の市場は縮小傾向にあり、厳しい競争にさらされているのは確かです。

出版物を中心とする事業から、通信教育、情報・チケット販売、地図データベース事業といった、ほかの領域へビジネスの比重をシフトしている出版社も目立っています。

しかし幅広く出版物を取り扱う大手出版社以外にも、新しい領域で活路を見いだそうとする元気な会社を見極めて選べば、将来性を確保できるでしょう。

また、紙の出版物の売上が落ち込んでいる一方、電子書籍市場は確実に拡大を続けています。

「よいコンテンツをつくること」は出版社の最大の使命ですし、出版物が一切なくなることは考えにくいです。

今後はさらに独自性のあるコンテンツ、社会全体に広く目を向けて世の中に新しい価値をつくりだすビジネスを生み出せる人材が、出版業界で求められていくものと考えられます。