石油会社社員の現状と将来性

加速する業界再編

近年、石油業界における一番のビッグニュースといえば、業界再編の勢いがますます加速していることだといえるでしょう。

2015年11月には、それまで「石油元売り」として業界2位であった出光興産と5位の昭和シェル石油が経営統合で基本合意し、さらに1位のJXホールディングスと3位の東燃ゼネラル石油も同年12月に統合に合意するなど、大手企業がこぞって経営統合を表明しています。

この背景には、国内の人口減少や燃費のよいエコカー普及などの理由によって、ガソリン需要が年々低下していることが挙げられます。

もともと石油は私たちの暮らしに不可欠なエネルギー源でしたが、時代の流れとともに、その需要はこれからさらに減少していくものと考えられています。

さらに、そこに追い打ちをかけるように原油安による経営の圧迫があり、石油会社は合併によって規模を大きくしながら生き残りを目指そうとしているのです。

なお、こうした再編の動きは、まもなく終焉を迎えるものと考えられています。

それによって、1980年代に20社近くあった大手の元売り会社は、4位のコスモエネルギーHDを加えた3グループに集約される見通しとなっています。

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新しい石油会社の形へ

ガソリン需要が低下する国内では、火力発電燃料が天然ガスへとシフトしています。

各社は経営の効率化を図ることで生き残りをかけていますが、さらに事業も多角化を進めており、電力販売や再生可能エネルギーといった領域にも手を伸ばし始めています。

ただし、海外ではまだ石油需要が大きいこともあり、海外での製油所事業など新しいプロジェクトを積極的に推進する傾向も強くなっているようです。

再編によって組織規模を大きくしている今後の大手石油会社は、石油ビジネスにとどまらず、よりダイナミックでグローバルな総合エネルギー会社としての勢いを強めていくものと考えられます。