公務員の役職・階級の一覧

公務員には明確な上下関係がある

「役職」と「階級」の違いは?

公務員として長く働いていくことを考えるとき、意識しなくてはならないのが「役職」や「階級」です。

民間企業でも、いわゆる平社員、係長、課長、部長…といった役職を設けているケースが多いですが、公務員の場合、組織によって階級が法律に基づき細かく定められていたり、それによって給料や業務内容、役割も変わってきたりといったルールがあります。

「役職」と「階級」は同じような意味で使われることもありますが、役職が業務上のポジションのことをいうのに対し、階級は給料を決める基準になります。

出世するとどうなるの?

出世する、つまり立場が上になればなるほど給料は上がります。

これは、おそらく皆さんが想像している通りでしょう。

ただし、階級は年齢や勤続年数で自動的に上がることもあれば、警察官や自衛官のように昇任試験の受験・合格が必要になることもあります。

そのほか、官僚のように「キャリア」と「ノンキャリア」で出世ルートが入庁時点からほぼ決まっており、キャリアでない限りは一定の役職までしか上がれないといったこともあります。

官僚の仕事

公務員は、基本的に年齢や勤続年数が上がるにつれて給料も上がっていきますが、自らがどの階級(役職)にあるかによって、同期入社であってもその伸びには人によって差が出てきます。

役職がつくことで役職手当も加算されるため、順当に出世していくと、50代以上になれば民間の平均年収を大きく超える人も出てきます。

警察官の場合

警察官の階級は、階級の低いほうから以下のようになっています。

巡査→巡査長→巡査部長→警部補→警部→警視→警視正→警視長→警視監→警視総監

警察官の制服には階級章がついており、階級が一目でわかるようになっています。

新人警察官の場合、学歴によって給料(初任給)が分けられていますが、実力等によって次第に昇任スピードには差が出てきます。

階級を上げるためには「昇任試験」か、勤務成績や年数などに基づいて昇任する「選抜・選考」を受ける必要があります。

なお、私たちにとって馴染み深い交番などに勤務する若手警察官はだいたい地方公務員ですが、階級が上がり「警視正」以上になると国家公務員の扱いとなります。

こうなると、同じ警察官といっても待遇等にはまた違いがあらわれます。

警察官の仕事

消防士の場合

消防官の階級制度も独自のものがあり、以下のように全部で10つに分かれています。

消防士→消防副士長→消防士長→消防司令補→消防司令→消防司令長→消防監→消防正監→消防司監→消防総監

ただし、日本各地のすべての自治体で10の階級に分かれているわけではなく、地方の消防本部では5つ程度の階級となっていることも珍しくありません。

消防士の階級は、勤務成績や昇任試験の結果によって上がっていきます。

消防士の仕事

自衛隊の場合

自衛隊の階級は、以下のようになっています。

士(2士→1士→士長)→曹(3曹→2曹→1曹→曹長)→准尉→尉官(3尉→2尉→1尉)→佐官(3佐→2佐→1佐)→将官(将補→将→幕僚長)

このうち、曹は士を直接指導しながら小部隊のリーダーとして活躍し、尉官以上になると「幹部」として扱われ、部隊の骨幹としての役割を担います。

警察官と同様、陸・海・空それぞれの自衛隊において、制服に独自の階級章がつけられており、昇任試験も存在します。

昇任試験は、大きく分けると士長から曹へ昇級するときと、曹長から幹部である3尉へと上がるときに実施されます。

士長のままで自衛隊に残れる期間は約3任期(約6年)という決まりがあるため、もし自衛隊に残ってずっと働きたいのであれば、この任期内に試験に通らなくてはなりません。

自衛隊の仕事

海上保安官の場合

海上保安官の階級は、以下のように13階級に分けられています。

三等海上保安士→二等海上保安士→一等海上保安士→三等海上保安正→二等海上保安正→一等海上保安正→三等海上保安監→二等海上保安監→一等海上保安監(乙)→一等海上保安監(甲)→海上保安監→次長→海上保安庁長官

海上保安官になるには、海上保安大学校もしくは海上保安学校に入学する必要があり、それぞれの学校で卒業時の階級が異なります。

幹部候補とされる「海上保安大学校」の卒業生は中型巡視艇船長になれる階級「三等海上保安正」として配属される一方、「海上保安学校」の卒業生は航海士補、機関士補、主計士補といった専門職として活躍できる「三等海上保安士」として配属されます。

海上保安官の仕事

地方公務員(行政職)の場合

地方公務員として役所で行政職として働く場合には、係員級からスタートし、主事→主任→係長→主幹→課長代理→課長→次長→部長といった呼称の役職の順に昇進していくのが一般的です。

各役職に就く目安の年齢は決まっていますが、必ずしもその通りにいくわけではありません。

入庁して数年程度は定型的な業務を任され、全員が同じスピードで経験を積んでいきますが、主任以降になると人によって能力や成果に差が出てくることが多いです。

自治体によっては昇任にあたって人事考課だけではなく、筆記試験への合格が昇任条件になる場合があります。

地方公務員の多くは、係長・班長クラスの役職にまでは達して定年を迎えます。

地方公務員の仕事

国家公務員の場合

中央官庁で働く国家公務員(いわゆる官僚)も、さまざまな役職が存在します。

役職の種類や名称に関しては省庁ごとに若干異なりますが、各省庁のトップにあるのが「大臣」という役職で、その下には「副大臣」「大臣政務官」と続き、ここまでは国会議員によって構成されます。

大臣政務官の次の役職が「事務次官」です。

ここから下は国家公務員で構成されるため、実質、国家公務員としてのトップは事務次官ということになります。

事務次官以下の役職は、おおむね以下の通りです。

事務次官→外局長官→官房長→局長→部長→局次長→課長→課長補佐→室長→企画官、専門官→係長→主任

役職の名称は、各自治体・官公庁によって異なっています。

基本的に、年齢や実績等によって昇進していきますが、総合職として採用されている「キャリア」は昇進スピードも速く、30代で課長補佐、40代で課長クラスにまでなるのが一般的とされています。

一方、「ノンキャリア」の場合、昇進できるのは中央省庁であれば課長補佐までとされており、そこまでの昇進スピードも総合職より遅めとなっています。

国家公務員の仕事