化学メーカーの現状と将来性
化学メーカーの需要と現状
資源に乏しい日本は技術力を生かし、モノづくり大国として発展してきました。
その一翼を担ってきたのが化学メーカー各社が生み出す最先端の技術です。
石油化学や無機化学、電子材料や肥料といったさまざまなものをあつかい、あらゆる業界の成長を見えないところで支え続けています。
自動車や電子機器といった日本の産業基盤ともいえる産業に素材を供給していることから、化学業界も日本を支えている産業といえ、今後もその事実が変わることはないでしょう。
化学業界の出荷額は約40兆円規模ともいわれており、国内産業の約14%を占めるほど巨大なマーケットを抱えています。
ここ数年は業界全体の出荷額は大きな変動はなく、ほぼ横ばいで推移しているようですが、人口の減少などから国内市場は縮小傾向にあると見られています。
また、化学業界は石油や天然ガスを原料にした製品も多く、原油価格の変動による影響を受けやすいため利益が出づらくなっています。
これまでのビジネスモデルの見直しを迫られ、日本のみならず世界的に見ても化学業界は転換期を迎えているようです。
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化学メーカーの将来性
化学業界全体として転換期を迎えている中、化学メーカー各社が持つ事業領域の高付加価値化が成長のカギを握っているといわれています。
高付加価値化について、先に紹介したように原油価格の変動によって収益が左右されるビジネスモデルからの脱却を図るため、高い技術力を生かした戦略が取られています。
例えば、新素材や高機能化学品、電子材料などを新たに開発し高収益の製品を育てる、または塩化ビニール樹脂といった特定領域に特化し、世界的な企業に肩を並べるなどの戦略を取っているメーカーもあります。
自動車業界や電子材料、ヘルスケアの分野は高付加価値製品を売り込む市場として注目されているようです。
また、M&A(企業の合併・買収)も昨今は活発化しています。
収益率の低い事業を譲渡し高収益事業に注力する、または買収によって今まで保有していなかった技術やノウハウを得て有望分野へ進出するといった戦略も取られています。
国内企業同士だけでなく、海外企業とのM&Aも積極的です。
特に自動車分野には注目が集まっており、技術やノウハウ、人材確保などの目的以外にも、海外における生産拠点の獲得や販路獲得といった目的も多く、M&Aによってグローバル化を進めているといえます。
化学メーカー社員の今後の活躍の場
ここまで紹介してきたように、化学メーカーは高付加価値製品の提供と海外進出が今後のキーポイントになってきます。
化学メーカー社員はそれらを実現するための意志やスキルが求められていくでしょう。
技術系の社員は新たな製品や改良した製品の開発が求められます。
総合職など事務系の社員はよりグローバルな環境が活躍の場となっていくでしょう。
海外企業とのM&Aプロジェクトを担える人、マーケティング戦略を練られる人の育成に力を入れられており、今後の活躍が期待されています。