栄養士学校で学ぶこと・授業内容
栄養士を志す人が必ず通うのが栄養士学校です。どのようなことを学ぶのか気になる人も多いでしょう。
本記事では、栄養士学校の授業内容を紹介します。
栄養士になるために学ぶことは?
栄養学
栄養士に欠かせない知識が栄養学です。
タンパク質、炭水化物、脂質、ビタミンなどがどのように体内で吸収されるのか、健康にどのような関わりがあるのかなどについて学びます。
栄養学は他の科目を勉強するうえでの基礎となり、妊婦・乳児・学童期・思春期・壮年期から老年期までの年齢別にどのような栄養が必要かなどを勉強します。
食生活論
衣食住の生活に密着したテーマの「食」にスポットを当てて、文化面という角度から勉強します。
気候・風土、宗教が食文化に与えた影響を学び、日本以外の外国の食文化にも着目します。
臨床栄養学
病院栄養士を目指す人がとくに現場で必要とするのが臨床栄養学です。以下のような病気に対する食事療法を学びます。
- 高血圧
- 糖尿病
- 腎臓病
- 胃かいよう
- アレルギー
実践的で仕事と直結する以下のような内容も含まれます。
- 食事箋の見方
- 献立作成
- 調理実習
- 食品管理
- 原価計算
- 伝票や帳簿類の記入方法
公衆栄養学
国民の健康を守り、意識を高めようとする分野です。
生活習慣病や運動不足になりやすい現代現代人の健康をどう改善していくかを学びます。
栄養指導論
正しい栄養学の知識・食事方法、その人に合った運動の取り入れ方、その他以下の内容を学びます。
- 適切なコミュニケーションの取り方
- 指導の流れ
- 心理学に基づいたカウンセリングの進め方
- 栄養所要量
- 献立作成の技術
食品・衛生
食品学
食品の安全性を調べたり、栄養成分を分析したりします。
具体的には、卵の鮮度を測定したり、タンパク質やアミノ酸を食品から分離させたりします。
食品中の成分が加熱や加工によってどう変化するのか、それが原因で何が起こるのかなどを実践し、栄養素を損なわない保存方法や加工方法を学びます。
食品加工学
普段食べているものがどのように加工されているかを学びます。
加工食品の加工の仕方や衛生について、包装のしくみや種類・貯蔵方法についても学習します。
食品衛生学
食中毒の原因となる細菌や、農薬などの化学的中毒・残留農薬などについて勉強します。
食品の衛生と安全を保つための加工(食品添加物)や調理器具の洗浄の仕方を学びます。
食料経済
食料の生産・流通、日本の自給率や世界の食料政策について学習します。
今後、国際的な食料問題や需給・流通問題などの分野では、問題解消の担い手として栄養士の活躍が期待されます。
公衆衛生学
栄養士として仕事をする上で欠かせないのが公衆衛生に関する知識です。
- 予防接種
- 伝染病や他の病気の予防
- 環境衛生・保険医療制度
- 学校保健
- 高齢者保健
- 社会福祉・社会保障
といった幅広い分野を勉強します。
給食運営
調理学
普段口にする料理について科学的に勉強します。
食材別の調理の仕方、調理器具の名前と使い方などの調理関係全般を勉強します。以下を体系的に学びます。
給食管理
- 給食管理
- 献立作成
- 栄養管理
- 食品管理
- 衛生管理
- 調理の作業手順やポイント
- 作業管理
- 原価計算
- 食品購入
校外実習では病院、学校、保健所などで現場仕事を体験します。
人体
解剖生理学
人体の構造と機能・消化器系・呼吸器系など器官ごとに学習します。
解剖というと医学部などのイメージが強いかもしれませんが、栄養学も医学の一分野なのです。
生化学
栄養素が人体でどのように吸収・作用するのか勉強します。
タンパク質・脂質・炭水化物の化学反応と代謝・酵素について学びます。
運動生理学
体の機能と健康とのかかわりを理論に基づいて勉強します。
日常の適度な運動は、肥満や生活習慣病の予防にもなり健康の維持には欠かせません。
20代で正社員への就職・転職
栄養士学校の入学から卒業までの流れ
オープンキャンパス
大学や専門学校ではオープンキャンパスが開催されています。
模擬授業に参加したり校内を見学したりできるほか、調理実習などを体験できる学校もあります。
校外実習
実習として、実際の調理場に入り校外実習をする学校も多くあります。
大半は2年次に行われますが、場合によっては数回行われることもあります。
飲食店、給食室、社食など数カ所から希望を募り、自分の進路に合ったものを選びます。
学校祭
ほかの学校と同じように学校祭を開催する栄養士学校もあります。
学校祭はこれまでの成果を地域の人に見てもらうよい機会です。調理室や大量調理機器を活用して栄養士課程の生徒が作るメニューを模擬店で提供することもあります。
就職活動・ガイダンス
最近は就職に力を入れている学校も多く、専門学校では1年次から就職支援をしている学校もあるようです。
就職課では、保育園や直営など一般の求人にはない求人も多くあるため、積極的に利用しましょう。
管理栄養士の国家試験
大学に進学し、管理栄養士過程を学んでいれば、在学中に試験を受けることができます。
受験は毎年3月下旬に行われます。
栄養士学校の実習
実習には、学校内で行われる「校内実習」と実際の職場で行われる「校外実習」があります。
校内実習
校内実習では、和洋中とバリエーション豊かなメニューから、少人数の班に分かれて調理技法やコツを学びます。
健康な人向けの通常の調理実習や妊産婦・児童・高齢者など、各ライフステージに合わせたメニューを自分たちで考え出し、調理する実習もあります。
校内の設備で実際に集団給食を作成することもあり、対象や季節などのテーマを決めて献立作成し、原価計算をします。
仕事で使う実践的な技術を身につけられるほか、実際の設定価格や栄養素を考えながら献立作りの難しさを学びます。
校外実習
校外実習は、学校によっていろいろな実習先があり、主に養成期間の後半に行われます。実践的なスキルを修得できるのが魅力です。
現場を見ることで、作業の流れがわかるだけでなく、先輩の栄養士から指導を受けたり体験談を聞いたりするなど貴重な体験ができます。
また、それぞれの施設にて「給食管理実習」が実施されます。
実際の働く現場を見て給食業務とはどんなものかを知り、献立作成・給食計画という実践的なスキルを学びます。
栄養士が働く環境を知ることができますので、自分が働いているイメージが描きやすくなるでしょう。
20代で正社員への就職・転職
栄養士学校の雰囲気・学生生活
栄養士学校の雰囲気は、大学か専門学校かによって異なります。
大学の場合はほかの学部・学科の学生との交流も多いため、栄養士になるための勉強以外のさまざまな刺激が多いでしょう。
専門学校の場合はクラス制が多く、コース別にクラスが決められていることも多いため、高校の延長のような生活を送ることが多いようです。
それぞれの学校の雰囲気をつかむには、学校開放やオープンキャンパス、文化祭などの行事に参加して実際に体験してみることが大切です。
栄養士学校の授業内容のまとめ
栄養士学校では、栄養のことだけを学ぶわけではありません。実際に栄養を吸収する人体のことや、清潔な調理場を維持するために必要不可欠な衛生のこと、給食運営のために必要な事務作業まで、実にさまざまな内容を学びます。
学校はそれぞれ特色があるので、オープンキャンパスなどで実際に訪れてから選ぶとよいでしょう。