棋士になるには

棋士になるまでの道のり

まずは奨励会に入会

棋士になる道として、まず必要なのは日本将棋連盟の「奨励会(しょうれいかい)」への入会です。

奨励会とは棋士になるための養成リーグのようなもので、下は6級から、上は三段まで構成されています。

奨励会は誰でも入れるわけではなく、試験でかなりの実力が求められますし、場合によってはプロ棋士の推薦も必要です。

受験資格には受験試験によって年齢制限が設けられており、中には該当する大会でベスト4に入ったことがあるなど一定のレベルが求められます。

だいたい小学校の高学年から中学生あたりの時期に、奨励会に入会する人が多いようです。

奨励会で勝ち抜く

無事に奨励会に入会できたら、ひとつひとつの対局を勝ち抜き、昇級、昇段を目指します。

リーグ戦は半年単位で行われ、最上位の三段リーグの上位2名のみがプロ棋士となる四段に昇級することができるのです。

26歳までに四段になれなかった場合は、退会となってしまう厳しい世界となっています。

例外中の例外でプロ編入

これまで2人しかいないためかなり異例のことではありますが、奨励会からではなく棋士になった人もいます。

ひとりは瀬川晶司棋士で、もともと奨励会に入会していましたが、惜しくも棋士になることができませんでした。

その後もアマチュアの大会で活躍し、プロアマ交流戦でプロ棋士相手にも17勝6敗の好成績をあげたことから2005年にプロになるための嘆願書を将棋連盟に提出し、特別にプロ編入試験が認められます。

その結果、プロ編入試験のプロ棋士たちとの対局に勝ち、61年ぶりの合格者として35歳で棋士になりました。

もうひとりは、1944年に花村元司さんがプロをしのぐ実力から推薦され、プロ棋士相手の編入試験を受け、みごとプロになった例があります。

このようにプロ編入試験を受けるまでには決まった基準もありませんし、それだけ周りを納得させるだけの圧倒的な実力と実績が必要です。

プロ編入は異例中の異例となるので、やはり棋士になるには、まずは奨励会への入会を目指しましょう。

棋士になるまでのルート

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棋士の資格・難易度

棋士になるために資格は必要ありません。

しかし日本将棋連盟に属し、6級から始まる奨励会員を経て勝ち進み、四段以上にならなければいけません。

奨励会への入会も簡単ではなく、なってから昇段するのも厳しい世界です。

棋士になるためのリーグ戦は半年に1回しか行われず、三段の中で上位2名のみが四段になることができるため、奨励会に入会できてもプロ棋士になる人は、ほんのわずかといわれています。

しかも26歳までに棋士になれなければ、奨励会を退会しなければいけず、棋士になる資格すら閉ざされてしまうのです。

「棋士になるのは、東大に入るより難しい」といわれるほど、難易度は高いので対局は真剣勝負が行われています。

棋士の資格・年齢制限はある?

棋士になるための学校の種類

棋士になるための学校はありません。

将棋の世界に学校は全く関係なく、将棋の強さだけがものをいう世界です。

たとえば永世名人の羽生善治棋士は東京都立上野高校卒業で、同じく永世名人の谷川浩司棋士は兵庫県の滝川高校出身で、高校進学したものの大学に進んでいません。

2人とも中学生の時にプロ棋士となっており、学歴に関係なく将棋の実力のみで大活躍しています。

むしろ将棋が強いと、中学生のころから将棋の勉強に没頭するため、受験勉強をするヒマがないというのが現実です。

高卒で棋士として活躍する人もいれば、大学進学している人もいるので、勉強したい分野がある人は進学するとよいでしょう。

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棋士に向いている人

棋士に向いている人は、何よりも負けん気の強い人です。

一見地味で静かな対局風景ですが「誰よりも勝ちたい!」という強い気持ちがあってこそ、勝ち続けることができるでしょう。

また将棋の戦いぶりは武士道にもたとえられる一対一の真剣勝負となるため、高い集中力がある人も向いています。

さらに大変奥深い競技で、考えて考えつくす精神力の強さや、新しい戦法を考える研究熱心さも必要です。

精神力・体力・頭脳を要求される激しい競技ともいわれるので、将棋が大好きで、地道な努力をし続けられる姿勢が大切でしょう。

棋士に向いている人・適性・必要なスキル

棋士のキャリアプラン・キャリアパス

トレーニングを行う

一人前のプロ棋士になるまでも、デビュー後も勝ち続けるためには、トレーニングが不可欠です。

とくに将棋では、頭の中に映像として盤面を保存できる能力を磨くことが大切とされていて、今も昔も、プロ棋士はたいてい目隠しをしたまま将棋が指せます。

定石はもちろん、自分の得意な戦法や好きな棋士の棋譜など、膨大な棋譜を覚えながら脳のシステムを作るトレーニングが大切でしょう。

地道な努力をし続ける

将棋は覚えたてのころには、どんどん上達しますが、ある一定のレベルに達すると、それまでのようには上達しにくくなります。

その段階に達したときにどれだけ地道に努力できるかが、将棋の実力をさらに伸ばす大きなポイントです。

まず自分の弱点を分析し、序盤が弱いのか、終盤に逆転されやすいのか、己を知ることから始めて弱点を克服していきます。

弱点の克服は、序盤に弱いなら序盤に強い棋士、終盤に弱いなら終盤に強い棋士の棋譜をできるだけ多く記憶することで、そのデータを実戦で使えるように訓練することが大切です。

ランキング上位・タイトル保持者を目指す

プロ棋士になると、各プロ棋戦に出場することができるのでランキング上位を目指します。

棋士の肩書きは名前の後ろに「七段」などと段位をつけるのが通常ですが、八大タイトル戦でタイトル保持者になると「竜王」「名人」などタイトル名を肩書きにつけることが可能です。

また竜王戦や順位戦にはランキングがあり、年に1回昇級や降級することもあるため、一戦一戦を大切に上位へのランクインを目指します。

その年の対局数、勝敗、勝率などがランキングされるのはもちろんですが、好成績を残せば歴代記録として、将棋界の歴史に名前を残すことも可能でしょう。

棋士を目指せる年齢は?

棋士になるにはほかにもいろいろな決まりがありますが、基本的には満19歳までに奨励会に入会し、26歳までにプロ棋士となる四段にならなければいけません。

奨励会で段位を上げていくには時間がかかるといわれているので、多くの人が小学校高学年から奨励会を目指しています。

中には特例で35歳でプロ編入を果たした瀬川棋士の例もありますが、一般的にはなるべく若いうちから目指した方が有利でしょう。

ちなみに棋士には定年という制度はないため、プロデビュー後に勝ち続けることができれば、年齢制限がなくいつまでも「プロ」として働くことができる仕事です。

棋士は高卒から目指せる?

棋士は高卒から目指すことができます。

ただし奨励会の入会は満19歳までが基本なので、高卒から目指すのでは遅いかもしれません。

多くの人が小中学生から目指して奨励会に入会しているので、高校卒業を待たずしてできるだけ早く棋士を目指すことをおすすめします。

棋士は女性でもなれる?

棋士は男女の区別がないため、女性でもなることができます。

男性棋士と同じように、奨励会に入会し、勝ち進むことで女性でも棋士になることが可能です。

ただし将棋が女性に普及しておらず、プロ棋士を目指す人がいても実力が及ばず勝ち抜くことができないため、今まで女性で棋士になった人はいません。

現在は女性のみがなることができる「女流棋士」という制度ができ、プロとして活動している女性棋士もいます。

女流棋士のキャリアパス・結婚後の生活