棋士の年収はいくら? 給料についてくわしく解説

将棋の世界では、対局料や賞金が主な収入源であり、大きなタイトル戦での勝利や活動の幅広さが収入を左右します。

年収1,000万円以上を稼ぐ棋士は一部に存在しますが、プロ棋士の中での割合は限られています。

この記事では、棋士の給料や収入の内訳について詳しく紹介します。

棋士の給料・年収の特徴

以前は給料制だった

以前は、日本将棋連盟に所属するすべての棋士は、対局料とは別に基本給をもらっていました。

将棋連盟は「会社」であり、所属する棋士は「社員」として扱われ、プロ棋士のランクによって給料が決まっていました。

しかし、2011年の公益法人改革により、日本将棋連盟の給料制度は廃止されました。

給料・年収は実力によって変動

現在では、将棋連盟に所属する棋士は、対局料や将棋の普及活動に対する報酬を受け取る形になっています。

これにより、実力がより求められる仕組みとなりました。

棋士は個人事業主として活動しており、自ら確定申告を行っています。

そのため、日本将棋連盟も正確な収入を把握することはできないようです。

トップ棋士は年収1億円以上

トップの棋士たちは、1年で1億円以上の収入を得ています。

例えば、2012年度の賞金と対局料のランキングで1位だった羽生善治棋士は、約1億円を獲得しました。

2019年の1位の豊島将之棋士も7157万円を稼いでいます。

プロの将棋界は厳しい競争の世界ですが、トップの棋士たちは長いキャリアを持っています。

そのため、長く活躍し続ければ、生涯の収入は10億円を超えることも夢ではありません。

参考:日本将棋連盟 2019年度獲得賞金・対局料ベスト10

副収入もある

トップの棋士になると、本を書いたり、CMやイベントに出演したり、講演するなど、さまざまな活動で副収入を得ることができます。

羽生棋士は将棋に興味のない人でも知られるほど有名なため、副収入が時には獲得賞金を上回るほどになることもあるといわれています。

棋士の初任給は対局料

棋士は給料制度がなく、初任給のようなものはありません。

代わりに、対局料で収入を得ています。

対局料によって収入が異なるため、勝ち進んで対局が増えると給料も上がります。

また、獲得賞金が多ければ年収もアップするというのが棋士の収入の特徴です。

棋士の福利厚生はない

2011年に日本将棋連盟が公益社団法人になったことで、棋士の福利厚生はなくなりました。

厚生年金や社会保険も廃止され、棋士は自分で国民年金と国民健康保険に加入しています。

かつては「氷代」「餅代」と呼ばれるボーナスが支給されていましたが、現在は廃止されているため、ボーナスはありません。

棋士は会社員のように保護された立場ではありませんが、自分で休む期間などを決める自由な働き方ができるメリットはあります。

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棋士の収入源

対局料・賞金

プロ棋士は、日本将棋連盟に所属し、リーグ戦や各タイトル戦、トーナメント戦などで対局を行い、収入の大部分は、その対局料や賞金が占めています。

これは、各棋戦に新聞社テレビ局などのスポンサーがついているからです。

対局料は、対局するだけでもらえるお金です。

具体的な対局料は公表されていませんが、名人戦は1,050万円、挑戦者は450万円程度の対局料が支払われるといわれています。

一方で、賞金は対局に勝つことでもらえるお金です。

将棋には大きく8つのタイトルがあり、そのタイトル戦を勝ち抜くと高額な賞金がもらえます。

竜王戦の賞金は4400万円とされています。

また、名人戦の場合勝者には1,200万円の賞金が与えられ、敗者は300万円が受け取れます。

勝利すれば、1,000万円以上の対局料と賞金を手にすることができますが、そのような高額な収入を得られるのは棋士の中でもごく一部、上位10%程度だと言われています。

一方で、勝てない場合は対局数も少なく、賞金も少額になる厳しい世界です。

将棋教室などの指導料

対局料や賞金だけでは十分な収入を得ることができない棋士は、将棋教室を開いて収入を得る場合もあります。

将棋教室の収入は、教室の規模によって異なりますが、月におよそ10万円程度が一般的なようです。

ただし、教室を運営するためには家賃や生徒の募集にかかる広告費など、その他の経費もかかることがあります。

こうした点から、近年ではオンラインでの将棋指導を行う人もいます。

将棋イベントなどの出演料

将棋指導をするイベントでは、通常は1回あたり2万円から3万円の出演料が一般的な相場とされています。

さらに、有名な棋士になれば、講演会やテレビ番組などにも多く呼ばれる機会が増えるでしょう。

これらの活動によっても収入を得ることができます。

その他の仕事

そのほかには、日本将棋連盟の役職に対する報酬、タイトル戦などの立会に対する手当で収入を得る方法があります。

またほかの棋士の対局を解説したりするなどのテレビ番組・インターネット番組への出演、著書を執筆したり、新聞や雑誌に対局の解説を書いたりする方法があります。

近年ではYouTubeなどで将棋に関する動画をつくり配信している人もいます。

棋士が収入を上げる方法はタイトル戦で優勝すること

棋士が収入を増やすためには、大きなタイトル戦での優勝が重要です。

竜王戦が最も賞金が高く、優勝すると4,400万円の賞金がもらえます。

7番勝負の敗者でも1,650万円の賞金がもらえます。

他にも名人戦、王位戦、王座戦、棋王戦、王将戦、棋聖戦など、すべてのタイトルを獲得すれば、約9,000万円の収入になると言われています。

これによって大幅な収入アップが可能です。

対局で勝ち続けると対局料も増え、賞金ももらえるため、年収1,000万円以上も夢ではありません。

ただし、年収1,000万円以上を稼ぐ棋士は、約160人いるプロ棋士の中で15〜16人ほどしかいないと言われています。

そのため、努力と精進が求められます。

参考:日本将棋連盟 竜王ランキング・決勝トーナメントについて

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棋士の年収はいくら?のまとめ

将棋界では、棋士の給料や年収は実力によって大きく変動します。

トップの棋士たちは年収1億円以上を稼ぎ、タイトル戦の勝利や活動の幅広さが収入を左右しますが、年収1,000万円以上を稼ぐ棋士は少数です。

厳しい競争の世界ではありますが、トップ棋士たちは長いキャリアを持ち、生涯の収入は10億円を超えることもあります。