囲碁棋士の仕事内容、なるには、資格、給料、求人

囲碁棋士の仕事内容

対局を行う、囲碁の普及に勤しむ

囲碁棋士とは、囲碁を打つ人の総称で、主にプロ棋士のことを指します。

対局を行うのが囲碁棋士の仕事ですが、囲碁の普及も重要な仕事です。

囲碁の入門教室や上級者、有段者向けの講座などで碁指導を行ったり、審判を務めることもあります。

全国で開催される囲碁イベントや、棋力の上達を目指す人たちが集う大会などで、囲碁棋士が直接対局指導を行うこともあります。

また、近年では海外に棋士派遣されたり、執筆活動や囲碁ドリルの問題作成、盤面作成、インターネット対局サービスの囲碁指導など幅広い活動を行っています。

対局のみで生活ができる棋士はほんの一握りで、囲碁棋士の多くは囲碁の普及活動に勤しみながら、収入を得るために囲碁に関わるさまざまな仕事をしています。

囲碁棋士になるには

日本棋院・関西棋院の院生になる

プロの囲碁棋士になるには、2つのルートがあります。

「日本棋院」または「関西棋院」に入院して研修を重ねた後、採用試験を受ける方法と、院生ではない人たちが外来予選を受ける方法があります。

日本棋院

公益財団法人「日本棋院」では、東京本院・中部総本部・関西総本部で院生を募集しています。

夏季と冬季の年2回、本院と総本部で採用試験が行われます。

院生になるには年齢制限があり、申請時に14歳を迎える年度(※4月2日~翌年4月1日)までとし、棋力は六段位が必要とされます。

・東京本院夏季棋士採用試験(採用人数1名)
4月~6月期の院生研修リーグで総合第1位を獲得した人が東京本院で採用されます。

・東京本院冬季棋士採用試験(採用人数2名)
院生以外の23歳未満(※4月1日現在)の男女が外来予選・合同予選・本選の3リーグ戦を経て、上位2名が東京本院で採用されます。

・中部採用試験(採用人数1名、外来予選あり)
4月~11月期に、院生および外来受験者を含めた研修リーグで棋譜審査を行い、総合第1位を獲得した人が中部総本部で採用されます。

・関西採用試験(採用人数1名、外来予選あり)
2月~12月期に、院生および外来受験者を含めた合同予選リーグを行い、総合1位を獲得した人が関西総本部で採用されます。

・女流棋士特別採用試験(採用人数1名)
本院、総本部から推薦された院生12名がリーグを行い、女流合同予選通過者6名の中から上位1名が採用されます。

日本棋院

関西棋院

日本棋院から独立した一般財団法人「関西棋院」では、応募資格を男子13歳未満、女子15歳未満を原則としています。

ただし、15歳以上でも必要な棋力に達していれば採用される場合もあります。

土日のどちらかに「関西棋院」に来院し、院生師範による面接と研修手合いを行い審査されます。

男性は18歳の誕生日、女性は20歳の誕生日を持って院生資格が失効となります。

関西棋院

外来棋士採用試験

関西棋院では、棋戦での活躍が期待できる人に対し、外来棋士採用試験を実施しています。

<申請資格>
・男性
26歳未満(申請時)、世界アマチュア囲碁選手権戦優勝・世界アマチュア囲碁選手権日本代表決定戦・アマチュア本因坊戦・アマチュア囲碁名人戦の大会で5回以上の優勝が条件となります。

・女性
30歳未満(申請時)、全日本女流アマチュア囲碁選手権大会で3回優勝、または世界アマチュア囲碁選手権日本代表決定戦・アマチュア本因坊戦・アマチュア囲碁名人戦の大会でベスト4進出1回が条件となります。

囲碁棋士の給料・年収

対局料・獲得賞金で年収が決まる

囲碁棋士の主な収入源は、対局料・賞金がメインとなり、そのほか毎月支給される基本給を合わせた総額が囲碁棋士の年収になるようです。

基本給は、前年度の賞金ランキングを基にして少しづつ増額され、成績が落ちても減額されることはないようです。

タイトル戦などで獲得できる賞金は、準優勝者にも賞金があり、予選優勝でも支給されるケースがあります。

1年間にどれだけの成績を残したかによって年収が決定されることになり、囲碁棋士の年収は最終予選にたどり着けるレベルで、約1000万円程度といわれています。

囲碁棋士の勤務時間・休日・生活

研究、囲碁の普及、土日はイベント活動

プロタイトル戦を目指す囲碁棋士は、対局日以外の大半は研究会の参加、個人研究などの時間に費やしています。

囲碁の大きなタイトルは、「棋聖戦」「名人戦」「本因坊戦」「王座戦」「天元戦」「碁聖戦」「十段戦」の7タイトルですが、他の棋戦も含めすべてに参加資格はないですし、予選トーナメント1回戦で負けることもあります。

囲碁棋士の多くが、月1回~週2回程度の対局を行うのが一般的で、対局以外は、囲碁教室の講師や運営、テレビ番組などの囲碁解説など、さまざまな活動をしています。

週末は、囲碁イベントやファーンサービス、アマチュア大会の審判などでスケジュールが埋まることが多く、棋士の生活はそれぞれの活動内容によって異なります。

現状と将来性・今後の見通し

棋士のあり方を変えAIと共生するには

日本棋院では2019年度採用の人気の女性棋士を増員し、普及活動に参加させることで囲碁人口の増加を目指しているようです。

また、囲碁の世界でもAI(人工知能)の普及が注目されています。

米・Google DeepMind社が開発した「AlphaGo」というAI囲碁プログラムに、2017年、世界最強レベルの囲碁棋士が破れたことが世界中で話題になりました。

囲碁棋士が今後も生き残るためには、棋士から見るAI囲碁の研究や、AIと共生するためはどうするかが課題の一つになると思われます。

そのためには、さまざまな業界の専門家と情報交換を行うことが必要になるでしょう。

他分野の専門知識と人脈を広げ、これまでの囲碁棋士のあり方を変えることで、さらなる活躍が期待されるでしょう。