国立大学教授と私立大学教授の違い

国立大学教授と私立大学教授の仕事内容の違い

国立大学教授と私立大学教授のいずれも、大学内で自らの研究と学生の教育をおこなう職業なので、仕事内容にはほとんど違いはありません。

ただし、国立大学と私立大学では、所属の違いから身分や給与などで異なる部分があります。

国立大学とは国や政府によって設立・運営されている大学で、現在の国立大学は、国立大学法人という独立行政法人に運営されていることから、国立大学の教授は国立大学法人の職員ということになります。

国立大学法人は独立行政法人ですが、公共性の高い仕事に従事しているということで、みなし公務員として公務員に適用される法的な手続きや義務が課されるところがあります。

そのため公務員制度改革によって給与や年収、退職金が減額されるなど影響を受けています。

国立大学は、2014年時点で86校ありますが、これは日本の大学の4分の1程度です。

一般的に国立大学の方が私立大学に比べて社会的地位が高い傾向にありますが、大学教授の給与や年収などは、有名私立大学の方がよい状態です。

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国立大学教授と私立大学教授のなる方法・資格の違い

国立大学・私立大学ともに、教授になるために必ず取得しなければいけない資格はありません。

ただし、いずれの場合も博士号を取得している人がほとんどなので、学部の卒業後は大学院へ進学し、博士前期課程(修士課程)・後期課程を修了する必要があります。

文系や医歯学系以外の理系の場合、学部を4年で卒業した後、修士課程を2年、さらに博士後期課程を3年かけて修め、教授の研究室に所属する「助手」のポストを見つけるのが一般的です。

大学教授になるには、助手として採用されてから、助教、講師、准教授と昇進していかなければいけません。

任期のない助手のポストに就くことができれば、その後は地道に業績を上げて教授の推薦を受けるか、より上位の職階の公募へ応募するなどすれば、キャリアアップが期待できます。

しかし近年では、博士号取得者は増加しているものの、大学教員の需要が減っているという状況が続いており、任期なしの助手や助教として就職先を見つけるのが難しくなっています。

そのため、博士課程の修了後すぐにポストが見つからず、ポスドク(研究員)や非常勤講師として、アルバイトほどの給料で生活している人も少なくありません。

国立大学教授と私立大学教授の必要なスキルの違い

国立大学教授と私立大学教授は、いずれも専門分野の研究と学生の教育、大学の運営へ携わる職業だという点で、必要なスキルにほとんど差はありません。

ひと昔前までは、全体の仕事内容において「大学運営」や「企業との共同研究」といった業務が占める割合は、私立大学のほうが大きい傾向にありました。

しかし、平成16年に国立大学が法人化してからは、国立大学の教授にも、研究と教育以外にも大学運営や企業との連携が求められるようになっています。

教授として十分な業績を上げられる研究能力と、学生への指導スキル、会議などへ参加して運営に携わるコミュニケーション力など、教授に必要とされるスキルは国立・私立大学問わず同じだといえるでしょう。

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国立大学教授と私立大学教授になるための学校・学費の違い

国立大学教授・私立大学教授として働く人のほとんどは、博士号を取得しています。

まれに実業家やスポーツ選手など、博士課程を修了していない人が教授になるケースがありますが、一般的には大学・大学院へ進学する必要があります。

国立大学教授になる人は必ず国立大学を修了しているかといえばそうではなく、国立大学で博士号を取得した人が私立大学の教授になることもありますし、その逆もあり得ます。

国立大学に進学する場合、学費は年間50〜70万円ほどとなります。

私立大学の学費は学校によってばらつきがありますが、文系・理系の場合で年間80〜150万円、私立の医学部では6年間の総額が2,000〜4,000万円ほどとなるのが一般的です。

基本的に博士後期課程は3年制ですが、実際は博士論文の審査が1度で通過することはあまりなく、留年した分の学費がかかります。

国立大学教授と私立大学教授の給料・待遇の違い

給料は私立大学のほうが良い

一般的に、給与や年収、退職金に関しては、私立大学のほうが国立大学の教授よりも良い場合が多いです。

みなし公務員とされる国立大学教授の給与は公務員制度の影響を受けていますからなおさらでしょう。

さらに、私立大学の場合、国立大学よりも教授の定年が遅いところが多いです。

国立大学の定年は60〜65歳ですが、私立大学の場合、65〜70歳です。

そのため、定年を迎えた国立大学教授が私立大学の教授に移籍するといったこともあるようです。

待遇はどちらが良い?

給与や定年については私立大学の方がよいところがありますが、待遇や勤務状態となると、国立大学教授と私立大学教授のどちらがいいとは優劣をつけるのが難しいところがあります。

たしかに私立大学の方が給与はよいのですが、授業数が多いため、研究時間のやりくりが難しいという問題があります。

また研究費についても国立大学の方がよいため、研究のことを考えた場合、国立大学の方がいいということになります。

しかし、私立大学の中には週休3日といった待遇のところもあり、明確に「どちらが良い」と言い切れない部分が多々あります。

国立大学教授と私立大学教授はどっちがおすすめ?

給与面をみると、国立大学教授よりも私立大学教授のほうがよい場合が多いため、給与を重視する場合は私立大学のほうがおすすめだといえます。

実際に、私立大学のほうが給与もよく定年が遅いため、60歳近くまで国立大学教授として働いた後、私立大学へ移籍する人もいます。

一方で、国立大学のほうが研究予算に恵まれている点や、私立大学の授業負担コマ数が国立大学より多い点を考えると、研究面を重視するのであれば国立大学教授のほうがいいと言えるかもしれません。

とはいえ、国立大学が独立行政法人化してからは私立大学との差も小さくなっています。

教員として就職する大学を選ぶ際は、国立か私立かといった基準ではなく、自分の専門領域に強いかどうかや、大学の理念・方針に共感できるかといった点が重要となるでしょう。