大学教授になるには? 難易度は高い?
大学教授になるまでの道のり
好きな研究を続けることができ、そのうえ社会的に地位が高く尊敬される職種の大学教授ですが、いったいどのようにしてなれるのでしょうか?
大学教授になるために必要な資格はとくにありませんが、一般的には大学院博士課程を修了し、博士号を取得していることが必要です。
その博士号を取得するには、まず自分が興味のある、勉強したいと思う学部がある大学に入学するのが第一歩となります。
大学教授になるためには、自分が研究をする分野について高度かつ専門的な知識が必要なため、まずその分野を選択しなければならないのです。
そして大学3年の後半に研究室を選びます。
研究室とはゼミのようなもので、研究室の長はたいてい大学教授です。
研究室へ正式に入ることになるのは4年生になってからで、研究室に入ってからは、大学教授と定期的に打ち合わせをしたりするほか、研究テーマを持って、そのテーマについて研究漬けになります。
4年生の最後に卒業論文を書き上げるか卒業研究発表をおこない、教授に認められると大学卒業の学位を取得することができます。
博士号を取得するには、さらに2年間の博士前期(修士)課程と、3年間の博士後期課程を修了する必要があります。
博士論文が審査に通り、晴れて博士号を取得した後は、大学教員のポスト(助手・助教)に応募し、さらにそこから講師・准教授を経て、大学教授になる道が一般的です。
大学教授の資格・難易度
博士号を取得するには
大学を卒業すると「学士」を取得することができますが、学士を持っているだけでは博士号を取ることはできません。
博士号を取得するには大学院に進まなくてはならないのです。
大学院前期(修士)課程に入学するわけですが、ここでは2年間、さらに高度な研究を行って修士論文を制作し、論文を発表します。
大学院では勉強期間が終わることを卒業とはいわず「修了」といいますが、大学院前期課程を修了すると、「修士」という学位を取得することができます。
この後、大学院後期課程に進み、3年の間さらに研究をおこない、博士論文に合格してようやく博士号を取得できます。
博士号の取得は学部卒業のようにはスムーズにいかないことが多く、規定の3年で審査に合格せず、さらに1〜2年の期間を費やして修了できるケースも珍しくありません。
大学教授になるには就職活動が必要
取得が難しい博士号を持っていても、就職先が自動的に決まるというわけではありません。
大学教授になるためには、大学教員の求人を探して就職活動をする必要があります。
大学教員にはいろいろな職階がありますが、まずは助手として採用されるところからスタートします。
就職先の大学が決まってもいきなり大学教授になることはできず、優れた研究を続け、論文を書き、学会などで成果が認められれば、助手からステップアップすることができます。
そして教授の推薦を受けて、助教、講師、准教授、教授へと長い時間をかけて進みます。
定員は少なく、非常に狭き門となります。
大学教授になるための学校の種類
大学教授になるためには、ほとんどの場合、博士号の取得が必須となります。
まれに、スポーツ選手や実業家など、博士号を持っていない人が教授として大学に呼ばれるケースがありますが、研究者として大学教授の職を得たいのであれば、博士課程を修了して大学教員のポストに就くのが近道でしょう。
大学教授を目指すのであれば、高校を卒業した後、4年制大学へ進学し、さらに博士前期(修士)課程と後期課程を合わせて5年かけて修了する必要があります。
医歯薬系の場合は、学士課程が6年、博士課程が4年となります。
大学には大きく分けて国・公立大学と私立大学がありますが、国立と私立のどちらに進学するのが有利かというよりは、「どの教授の研究室に所属するか」が重要となります。
専門分野の第一線で活躍する教授や、学会の有力者がいる大学に進むと、最先端の研究ができるとともに、人脈を築くこともできるのでおすすめです。
学部と大学院の研究科が同じ所属になっている大学であれば、そのまま院へ進学する人も多いですが、より専門性の高い研究をするために、大学院受験をして別の大学の研究室へ所属するケースもあります。
大学教授に向いている人
忍耐力がある人
大学教授は研究職であり、成果が求められます。
ある特定の分野に強い関心があり、研究することが苦でないタイプでないと大学教授になることは難しいでしょう。
当然ながら学術に秀でていることが必要です。
研究はすぐに成果がでるものとは限らないため、忍耐力があり、粘り強い性格が向いているといえます。
教えるのが好きな人
大学教授の仕事は、専門分野の研究だけではありません。
大学の役割は学術研究で成果を上げる以外に、高等教育という面もあります。
講義やゼミを受け持ち、自らの専門分野の知識や技能を伝えることで、学生の教養や専門性、社会的素養を高める役割を果たさなければいけません。
いかにわかりやすく教えるか、どうすれば学生の興味を引く授業ができるかなど、教えることへの意欲も求められる職業です。
コミュニケーション能力
大学教授のイメージとして、研究室にこもり黙々と本を読んで論文を書き上げ、講義では資料を配って学生の前でしゃべるだけ、といった印象を持つ人も多いかもしれません。
しかし、今では大学教授も一般企業で働く人と同じように、学生や他の教職員とのコミュニケーションが重要となっています。
少子化が進む近年では、どの大学も学生を取り込もうといろんな施策をおこなっており、ただ一方通行の講義をしているだけでは、学生も集まりにくいのが現状です。
また、近年では大学の運営に携わることも教授の役割のひとつなので、会議などで他の教職員とスムーズにやりとりができなければいけません。
研究者気質を持ちながらも、他者とのコミュニケーションがうまく取れる人は大学教授に向いているといえます。
大学教授のキャリアプラン・キャリアパス
大学教授は、一度その職に就いてしまえば、よほどのことがない限り定年まで教授として働き続けることができます。
教授は大学教員のなかでもっとも高い職階にあたるので、その後のキャリアアップを目指すというよりは、自分の研究を深めて業績を上げるか、書籍を執筆したり企業の相談役になったりなど、仕事の幅を広げるキャリアパスをたどる人が多いでしょう。
ただし、私立大学のほうが給与水準もよく、定年が高く設定されていることが多いので、国立大学に所属する教授のなかには、より長く働くために私立大学へ移籍する人もいます。
大学教授を目指せる年齢は?
大学教授を目指せる年齢に制限はありません。
大学や大学院への進学に年齢制限が設けられることはまずないため、大学教授になるのに必要とされる博士号も、年齢に関係なく取得できます。
しかし、大学教授になるまでの道のりは非常に長く、運よく博士号の取得後すぐに助教になれたとしても、そこからさらに講師、准教授とステップアップしていく必要があります。
博士課程を修了してから大学教員として順調に昇進できたとしても、教授になるのは40〜50歳だといわれています。
実際には、博士論文の審査に通らず博士課程に1〜2年長くいたり、専任の大学教員のポストになかなか就けず、博士号取得後に「ポスドク」といわれる任期制の研究者の立場や、非常勤講師として何年もつないだりするケースも多いため、教授までの道のりは長いです。
社会人から大学院に進学する人もいるため一概にはいえませんが、大学教授を目指すならできるだけ早いうちに院へ進むほうがよいといえるでしょう。
大学教授の現状と今後の見通し
少子化の影響により、大学の運営は苦しくなってきています。
大学教授のポストが増えていくとは考えにくく、欠員補充が中心になるため、大学教授になることは非常に難しくなっています。
企業と大学との共同研究が進みつつあり、大学の役割は変化しつつあります。
学問と実践を結ぶ大学教授の仕事は、今後いっそう重要なものとなるでしょう。