大学教授になるには? 難易度は高い? 【教授になる方法を詳しく解説】
ただし、一般的には大学院の研究室に最低でも5年間在籍し、博士号を取得する必要があります。
また、優れた実績のある社会人が教授として招かれる例もあります。
この記事では、大学教授になる方法や、目指すにあたって知っておきたい情報を詳しく解説します。
大学教授になるには
大学の教授には、小・中・高校教師に求められる「教員免許状」は不要です。
とくに必要な資格はないものの、一般的には大学院博士課程を修了し、「博士号」の取得が求められます。
博士号を取得する第一歩は、自身が学びたい思う分野の学部・学科がある大学へ入学することです。
この章では、大学教授になるまでの道のりを解説します。
大学教授になるまでの道のり【難易度は高い】
以下の図は、大学入学から、大学教授になるまでの大まかなルートを表しています。
まずは、自身が学びたい分野、専門性を深めたい分野について学べる大学に進学します。
大学教授になるためには、自分が研究をする分野について高度かつ専門的な知識が必要なため、まずその分野を選択しなければならないのです。
大学進学後の教授までの道のりは以下の通りです。
- 大学3年後半:研究室決定
- 大学4年:研究室に入り研究を行い、卒業論文を執筆
- 博士課程:2年間の前期課程・3年間の後期課程を修了して博士号を取得
- 就職活動:大学教員のポストに応募
- 大学教員としてステップアップ:助手→助教→講師→准教授→教授
大学3年の後半に研究室を選びます。研究室とはゼミのようなもので、研究室の長はたいてい大学教授です。
研究室へ正式に入ることになるのは4年生になってから。研究室に入ってからは、大学教授と定期的に打ち合わせをし、自身が決めたテーマについて研究漬けの日々を送ります。
4年生の最後に卒業論文を書き上げる、もしくは卒業研究発表を行い、教授に認められると大学卒業の学位を取得することができます。
博士号を取得するには、さらに2年間の博士前期(修士)課程と、3年間の博士後期課程を修了する必要があります。
博士論文が審査に通り、晴れて博士号を取得した後は、大学教員のポスト(助手・助教)に応募し、ステップアップして大学教授になる道が一般的です。
✅ 大学教員の種類
教授 | 研究・教育・実務上特に優れた能力・実績のある人 |
---|---|
准教授 | 教授に次ぐ職階 |
講師 | 教授、准教授に次ぐ職階。専任・非常勤がある |
助教 | 講師に次ぐ職階。研究室・講義を受け持てる |
助手 | 助教に次ぐ職階。研究などの補助を行う |
名誉教授 | 大学に勤務して優れた功績のあった人におくられる称号 |
客員教授 | 非常勤で研究・講義を受け持つ |
特任教授 | 特定のプロジェクトのために任期付きで採用される教授など |
大学教授のポストは欠員が出た際に公募されるため、非常に狭き門になっています。
教授なる年齢は早くても40代で、50代になってからという人も多いです。
大学教授になるには就職活動が必要
取得が難しい博士号を持っていても、就職先が自動的に決まるわけではありません。
大学教授になるためには、大学教員の求人を探して就職活動をする必要があります。
大学教員にはいろいろな職階がありますが、まずは「助手」として採用されるところからスタートします。
就職先の大学が決まってもいきなり大学教授になることはできず、優れた研究を続け、論文を書き、学会などで成果が認められれば、助手からステップアップすることができます。
そして教授の推薦を受けて、「助教」「講師」「准教授」「教授」へと長い時間をかけて進みます。
定員は少なく、非常に狭き門となります。
博士号を取る難易度【4年制大学を卒業して最低5年かかる】
大学教授を目指すのであれば、高校を卒業した後、4年制大学へ進学し、さらに博士前期(修士)課程と後期課程を合わせて5年かけて修了する必要があります。
大学・大学院の修了で得られる学位は次の通りです。
4年制大学を卒業して大学院前期(修士)課程に進学し、2年間をかけてさらに高度な研究を行って修士論文を制作し、論文を発表します。
大学院では、勉強期間が終わることを卒業とはいわず「修了」といいます。大学院前期課程を修了すると、「修士」という学位を取得することができます。
この後、大学院後期課程に進み、3年の間さらに研究を続け、博士論文に合格してようやく博士号を取得できます。
博士号の取得は学部卒業のようにはスムーズにいかないことが多く、規定の3年で審査に合格せず、さらに1〜2年の期間を費やして修了できるケースも珍しくありません。
なお、医歯薬系の場合は、学士課程が6年、博士課程が4年となります。
社会人から大学教授になる方法もある
大学教授になるためには、ほとんどの場合、博士号の取得が必須となります。
ただし、博士号を取得していない優れた実績のある人が「特任教授・客員教授」として大学に呼ばれるケースがあります。
上記は一例で、ほかにも芸術家やスポーツ選手、実業家など、その道の第一人者として受賞歴がある人、優れた功績を残した人が、大学側からのスカウトなどで教授として講義を行うことがあります。
ただし、社会人から教授として呼ばれるようになる人はほんの一握り。研究者として大学教授の職を得たいのであれば、博士課程を修了して大学教員のポストに就くのが近道でしょう。
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大学教授を目指す人の大学の選び方
大学には大きく分けて国公立大学と私立大学がありますが、大学教授を目指すにあたり、どちらに進学するほうが有利ということはありません。
大学教授になるのなら、国公立か私立か、文系か理系かではなく、「どの教授の研究室に所属するか」が重要となります。
専門分野の第一線で活躍する教授や、学会の有力者がいる大学に進むと、最先端の研究ができるとともに人脈を築くこともできるのでおすすめです。
学部と大学院の研究科が同じ所属になっている大学では、そのまま院へ進学する人も多いです。
一方、より専門性の高い研究をするために別の大学の大学院を受験して研究室に所属する人もいます。
大学教授を志しているのであれば、自分が専門分野にしたい研究室について調べておくとよいでしょう。
大学教授を目指すのに年齢制限はある?
大学教授は、何歳でも目指すことが可能です。
大学や大学院への進学にも年齢制限が設けられることはまずなく、大学教授になるのに必要とされる博士号も、年齢に関係なく取得可能です。
しかし、大学教授になるまでの道のりは非常に長く、博士号の取得後すぐに助教になれたとしても、そこからさらに講師、准教授とステップアップしていく必要があります。
博士課程の修了後、大学教員として順調に昇進できたとしても、教授になるのは40〜50歳くらいにはなるでしょう。
実際には、博士論文の審査に通らず博士課程に1〜2年長くいたり、専任の大学教員のポストになかなか就けず、博士号取得後に「ポスドク」といわれる任期制の研究者の立場や、非常勤講師として何年もつないだりするケースも多いです。
教授までの道のりは非常に長いです。
社会人から大学院に進学する人もいるため一概にはいえませんが、大学教授を目指すなら、できるだけ早いうちに大学院へ進むほうがよいといえるでしょう。
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大学教授を目指す人が知っておきたい3つのこと
ここからは、大学教授を目指したい人が知っておきたい3つのことを紹介します。
大学教授になった後の仕事・キャリアパス
大学教授の仕事や役割は、大きく2つに分けられます。
- 自身の研究活動
- 学生の指導
大学は、高度な教育を学生に提供する役割をもつ教育機関です。
この場において、大学教授は自身の専門分野に関する研究活動を続けながら、学生に向けて講義を行ったり、研究室の学生たちに論文指導をしたりします。
自身の研究結果を論文にまとめ、学会で発表し、成果を残すことも重要な役割です。
なお、教授は、大学教員のなかで最も高い職階にあたります。
そのため、教授になってからはキャリアアップを目指すというよりは、自分の研究を深めて業績を上げるか、書籍を執筆したり企業の相談役になったりなど、仕事の幅を広げるキャリアパスをたどる人が多いでしょう。
大学教授に一度その職に就いてしまえば、よほどのことがない限り定年まで教授として働き続けることができます。
ただし、私立大学のほうが給与水準もよく、定年が高く設定されていることが多いため、国立大学に所属する教授は、より長く働くために私立大学へ移籍する人もいます。
大学教授の年収【平均年収は1000万円以上】
- 大学教授:1075万円
- 大学准教授:862万円
- 大学講師:692万円
※出典:厚生労働省「令和5年度賃金構造基本統計調査」
上記のように、大学教授の平均年収は1000万円を超えるため、高収入が得られる職業といえるでしょう。
なかでも国立大学法人の大学教授は、「みなし公務員」として手厚い待遇・福利厚生がうけられます。
一方で、私立大学は大学ごとに給与や待遇などが異なります。
地方の小規模な大学で働く教授の年収は500万円前後、首都圏の有名私立大学では1500万円ほどといったように、大学によって大きな差がつくこともあります。
なお、一般会社員の平均年収が450万円程度と考えると大学教授の年収は高めですが、たいていは大学教授になる年齢が40代~50代でであることも知っておきましょう。
大学での仕事以外に、メディア出演や書籍執筆、講演会なども積極的に行って、平均年収以上の収入を得ている教授もいます。
大学教授の将来性【少子化で大学数が減少】
近年の日本では、少子化の影響により、大学の運営が苦しくなってきています。
そのため、今後も大学教授のポストが増えていくとは考えにくいです。
欠員補充が中心となると、大学教授になることは非常に難易度が高いといえるでしょう。
博士号を取得してからも研究室に残っている「ポスドク(博士研究員)」と呼ばれる人は約1.6万人いるとされており、大学教授の道の厳しさを表しているといえます。
※参考:文部科学省「大学等における研究活動の動向について」
なお、最近では「産学連携」と呼ばれる企業と大学との共同研究が進みつつあり、大学の役割は変化しつつあります。
学問と実践を結ぶ大学教授にも、それに対応することが求められてきています。
大学教授に向いている人の特徴3つ
大学教授に向いている人の特徴は次の3つです。
- 忍耐力がある人
- 教えるのが好きな人
- コミュニケーション能力の高い人
忍耐力がある人
大学教授は研究職であり、確実な成果が求められます。
しかし、研究活動は即成果が出るものでもないため、ある特定の分野に強い関心があり、地道に研究を続けることが苦でないタイプでないと、大学教授になることは難しいでしょう。
向学心を持っていることはもちろん、忍耐力があり、粘り強い性格の人に向いているといえます。
教えるのが好きな人
大学という教育機関の役割は、学術研究で成果を上げること以外に、高等教育も含まれています。
そのため、教員のトップである大学教授は講義やゼミを受け持ち、自らの専門分野の知識や技能を伝えることで学生の教養や専門性、社会的素養を高める役割を果たすことが求められます。
学生の将来を見据えて、教育にも情熱を傾けられる人に向いています。
いかにわかりやすく教えるか、どうすれば学生の興味を引く講義ができるかなど、教えることへの意欲を持ち続けることが欠かせません。
コミュニケーション能力
大学教授に対して、研究室にこもり黙々と本を読んで論文を書き上げ、講義では資料を配って学生の前でしゃべるだけ、といったイメージを持つ人もいます。
しかしながら、大学教授も一般企業で働く人と同じように、学生や他の教職員とのコミュニケーションが重要です。
とくに少子化が進む近年では、どの大学も学生を取り込もうといろんな施策を行っており、ただ一方通行の講義をしているだけでは学生が集まりにくいのが現状です。
また、大学運営に携わることも教授の役割のひとつであるため、会議などで他の教職員とスムーズにやりとりができなければいけません。
物事を突き詰める研究者気質を持ちながらも、他者とのコミュニケーションを苦にしない人は、大学教授に向いているといえます。
「大学教授になるには」まとめ
- 「博士号」を取得し、助手からステップアップしていく道が一般的
- 優れた実績のある社会人が特任教授などになることもある
- 教授のポストは限られているため非常に狭き門
大学教授への道のりは非常に険しく、長いものとなります。
しかしながら、自身の専門性を深めて研究活動を続けることができ、そのうえ社会的に地位が高く、尊敬される職種でもあります。
大変な面も大きい分、自身の研究成果が認められたときのやりがいは相当大きなものとなるでしょう。
いずれにせよ、教授を目指すのであれば、長期間の研究活動を地道に続けていく根気よさや情熱が欠かせません。