大学教授、大学准教授、大学講師の年収・給料はいくら? 国立・私立大学の年収の違いも解説

大学教授の平均年収は1000万円を超え、一般的な会社員よりもかなり高い水準です。

都心部の大規模な私立大学の教授の年収は1200万~1500万円ほどになることもありますが、勤務する大学によっても大きな差が出るのが実情です。

この記事では、大学教授の年収・給料事情、また待遇や福利厚生などについて、統計データも含めて詳しくまとめています。

大学教授、大学准教授、大学講師の平均年収・給料の統計データ

大学教授、大学准教授、大学講師の平均年収・月収・ボーナス

大学教授の平均年収は、1000万円を超えています。

ただし、すべての教授が1000万円ほどの収入を得られるわけではありません。

大学のおもな収入源は学生からの授業料であり、学生数によって大学の収益は変動します。

そのため、大学教授の給料は勤める大学ごとに異なります。国立大学と私立大学で比べると、私立大学のほうが給与水準が高めになることが特徴です。

ただし、同じ私立大学でも大学ごとに差があり、地方と都市部では、後者のほうが給与が高く設定されていることが多いです。

なお、国公立大学の大学教授は「みなし公務員」の身分となり、公務員に近い待遇で、安定した働き方ができます。

ただし、どのような大学に勤務する場合も、教授になれる人はごくわずかです。

その下のポジションである「講師」や「准教授」を長年続けていても、すべての人が教授になれるとは限りません。

賃金構造基本統計調査

大学教授の平均年収_2023

厚生労働省の「令和5年度 賃金構造基本統計調査」によると、大学教育職の平均給与は以下のとおりです。

<大学教授>

  • 平均年齢: 58.1歳
  • 勤続年数: 17.4年
  • 労働時間/月: 168時間/月
  • 超過労働: 0時間/月
  • 月額給与: 666,300円
  • 年間賞与: 2,751,500円
  • 平均年収: 10,747,100円

  • 大学准教授の平均年収_2023

    <大学准教授>

  • 平均年齢: 49歳
  • 勤続年数: 11.5年
  • 労働時間/月: 169時間/月
  • 超過労働: 1時間/月
  • 月額給与: 547,200円
  • 年間賞与: 2,055,000円
  • 平均年収: 8,621,400円

  • 大学講師・助教の平均年収_2023

    <大学講師・助教>

  • 平均年齢: 41.6歳
  • 勤続年数: 6.3年
  • 労働時間/月: 167時間/月
  • 超過労働: 3時間/月
  • 月額給与: 486,500円
  • 年間賞与: 1,084,400円
  • 平均年収: 6,922,400円
  • ※出典:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」

    大学教授の年収の推移_r5
    大学准教授の年収の推移_r5
    大学講師・助教の年収の推移_r5

    ※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
    ※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。

    大学教授の手取りの平均月収・年収・ボーナスは

    大学教授の年収は人によって違いますが、年収1000万円の人の場合、税金や社会保険料などを差し引いた手取り年収は750万円~800万円ほどと推定できます。

    ボーナスが250万円出る場合には、手取り月収は50万円前後と考えられます。

    ただし、実際の金額は扶養家族の有無などによっても異なるため、あくまでも参考としてとらえてください。

    人によっては年収1500万円以上の年収を得ている人もいますが、日本では収入が増えるほど税金の割合も大きくなり、年収1800万円だと手取りは1150万円ほどになると考えられます。

    大学教授の初任給はどれくらい?

    大学教授になるのは、それまでに助教授や講師、准教授などの立場で経験を積んできた人が中心です。

    したがって、大学教授に就任する際には、すでに教育職としてさまざまな経験と豊富な研究活動実績を残している人がほとんどです。

    ある程度規模が大きめの大学であれば、教授としてのキャリアのスタート時点で年収700万円~800万円以上になることが多いでしょう。

    ただし、具体的な年収は勤務先の大学や、経験、年齢によっても変わってくるため、人によって大きな差が出ます。

    大学教授の勤務先の規模別の年収(令和5年度)

    大学教授の年収は、勤務先の規模が大きくなるとやや高くなる傾向があります。

    10〜99人規模の事業所に勤める大学教授の平均年収は880万円、100〜999人規模は957万円、1,000人以上の規模では1,155万円、10人以上規模の事業所平均は1,075万円となっています。

    大学教授の年収(規模別)_r5

    大学准教授の勤務先の規模別の年収(令和5年度)

    大学准教授の年収は、勤務先の規模が大きくなるとやや高くなる傾向があります。

    10〜99人規模の事業所に勤める大学准教授の平均年収は726万円、100〜999人規模は793万円、1,000人以上の規模では912万円、10人以上規模の事業所平均は862万円となっています。

    大学准教授の年収(規模別)_r5

    大学講師・助教の勤務先の規模別の年収(令和5年度)

    大学講師・助教の年収は、勤務先の規模が大きくなるとやや高くなる傾向があります。

    10〜99人規模の事業所に勤める大学講師・助教の平均年収は540万円、100〜999人規模は609万円、1,000人以上の規模では723万円、10人以上規模の事業所平均は692万円となっています。

    大学講師・助教の年収(規模別)_r5

    賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。

    大学教授の勤務先の年齢別の年収(令和5年度)

    大学教授の平均年収は、40代で1000万円を超えています。最も年収が高い年代は、60~64歳の1,114万円です。

    全年代の平均年収は1,075万円となっています。

    大学教授の年収(年齢別)_r5

    大学准教授の勤務先の年齢別の年収(令和5年度)

    大学准教授の年収を年齢別に見ると、年齢の上昇にしたがって、年収も上がっています。最も年収が高い世代は、50~54歳の915万円です。

    全年代の平均年収は862万円となっています。

    大学准教授の年収(年齢別)_r5

    大学講師・助教の勤務先の年齢別の年収(令和5年度)

    大学講師・助教の年収を年齢別に見ると、年齢の上昇にしたがって、年収も上がっています。最も年収が高い世代は、55~59歳の827万円です。

    全年代の平均年収は692万円となっています。

    大学講師・助教の年収(年齢別)_r5

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    大学教授の福利厚生の特徴は?

    大学教授の福利厚生や待遇は、大学ごとに異なります。

    各大学で共通しているのは、大学教授には個別の部屋(研究室)が割り当てられることです。

    申請によって研究補助金(研究活動に必要なお金)も出ますが、その額は大学ごとに異なり、十分な金額が出ないという声も聞かれます。

    なお、国立大学法人で働く教員は「みなし公務員」となり、一般の公務員と同等の福利厚生が適用されることが多いです。

    手当に関しては通勤手当、扶養手当、住居手当、超過勤務手当などの諸手当があるほか、大学教授ならではのものとして、入試業務手当や教員免許状更新講習業務手当などが支給されることもあります。

    私立大学の福利厚生は大学ごとにまちまちで、国立大学と同等の手厚い内容を整えている大学もあれば、それほど待遇がよくない場合もあるようです。

    また裁量労働制で働く場合には、いくら長時間働いても残業手当は出ないことがあります。

    大学教授の勤務先別の給料・年収

    ここからは、大学教授の勤務先別の給料・年収の特徴を説明します。

    私立大学の教授の給料・年収

    日本にある大学のなかで最も数が多いのが私立大学です。

    旺文社教育情報センター「2023年度 日本の大学データ」によれば、日本全国の全793大学のうち、私立大学の数は590大学で、全体の約7.5割を占めます。

    したがって大学教授の主要な勤務先も私立大学になりますが、そこでの給料・年収は、学校ごとの差が大きいことが特徴です。

    全体的な傾向でいうと、最も大学教授の給料・年収が高水準なのは首都圏の著名な私立大学で、平均年収1200万円~1500万円ほどとなる大学もあります。

    一方、地方の小さな私立大学では年収500万円ほどにとどまるところもあるとされ、同じ大学教授のポジションでも、人によって相当な差があるのが実情です。

    また、大学によって年功序列の要素が強かったり、年齢よりも実力主義の傾向だったりと、査定基準もまちまちです。

    国立大学の教授の給料・年収

    国立大学の大学教授は「みなし公務員」といい、公務員に準ずる身分です。

    給料については大学法人ごとに異なりますが、福利厚生や待遇は一般の公務員と同等のものが適用されます。

    なお、国立大学法人の教員の給料・年収に関しては、文部科学省が毎年発表する「文部科学省所管独立行政法人、国立大学法人等及び特殊法人の役員の報酬等及び職員の給与の水準」によって確認できます。

    大学法人や年度によっても異なりますが、大学教授の平均年収は800万円~1500万円ほどがボリュームゾーンと考えられます。

    ここでは、いくつかの大学法人における大学教授の年収を紹介します。

    東京大学

    • 平均年齢:55.9歳
    • 平均年収:約1190万円
    • 最高年収:約1946万円
    • 最低年収:約862万円

    京都大学

    • 平均年齢:54.8歳
    • 平均年収:約1089万円
    • 最高年収:約1618万円
    • 最低年収:約779万円

    北海道大学

    • 平均年齢:54.1歳
    • 平均年収:約1019万円
    • 最高年収:約1379万円
    • 最低年収:約748万円

    九州大学

    • 平均年齢:56.5歳
    • 平均年収:約1101万円
    • 最高年収:約1510万円
    • 最低年収:約920万円

    お茶の水女子大学

    • 平均年齢:58.1歳
    • 平均年収:約1120万円
    • 最高年収:約1433万円
    • 最低年収:約927万円

    このように、大学法人によってややバラつきが見られます。また、同じ教授職でも、年齢・経験・評価などによって最低年収と最高年収で500万円以上の差が出るケースも多いです。

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    大学教授になるまでの年収は?

    大学教授は、他の職業とは異なり、研究を続け経験や功績を積みながら徐々にポジションを上げていかなくてはなりません。

    昇進の末に、50代後半~60代になってやっと大学教授の立場となる人も多いです。

    大学教授になることができれば高収入を得ることができますが、辿り着くまでの年収は決して十分とはいえません。

    大学で研究者として就職するには、博士号の取得が必要ですが、最短でも27歳ごろとなります。

    27歳までまったく無収入であることは厳しいため、文部科学省は上位10~20%の学生を対象に、日本学術振興会特別研究員(DC1、DC2)という制度を定めています。

    これは、博士後期課程の学生に対し、月額約20万円と年間最高150万円の研究費を支給するものです。

    また、各大学は独自に給与制度を設けており、博士後期課程の学生に対し、約15~20万円程度支払われるところもあります。

    その後、日本学術振興会特別研究員(PD)として採用されると、月収は約36万2000円です。

    キャリアとしては研究員を経て、助教、専任講師、准教授と昇進していくことが一般的で、役職が上になるにつれて、徐々に収入が上がっていきます。

    年収は大学によって変わる?年収の高い大学はどこ?

    「独立行政法人、国立大学法人等及び特殊法人の役員の報酬等及び職員の給与の水準(令和3年度)」によると、大学教授の平均年収で最も高額だったのは、東京大学の1193万円です。

    続いて、政策研究大学院大学の1155万円東京工業大学の1150万円と続きます。

    上位はどれも首都圏にある大学で、日本でも最高レベルの学術機関であることがわかります。

    大学によっては、基本給に加え、教員が研究で功績を上げるなどした場合に、給与上のインセンティブを設けるなどの取り組みをしています。

    ※出典:独立行政法人、国立大学法人等及び特殊法人の役員の報酬等及び職員の給与の水準(令和3年度)

    大学教授の年収はなぜ高い?

    ここでは、大学教授の平均年収が、一般的な会社員の平均年収よりもだいぶ高くなっているおもな理由を、3つに分けて説明します。

    理由1.専門性が高く年齢層も高いため

    大学教授は専門的な知識を持たなくてはならないため、なるまでに時間がかかり、必然的に年齢層が高くなる職業です。

    大学教授にふさわしい専門性を持つには、大学院へ進んで「博士号」を取得するほか、大学等で研究を続けて一定の成果を上げていなくてはなりません。

    誰もがいきなり大学教授になることはできないため、教授職に就いた際には早くても40歳以上となっていることがほとんどで、50歳を超えることもあります。

    地道に積み重ねてきた専門性や、年齢の高さから、教授の年収を高めに設定する大学が多いです。

    理由2.長く働き続けることができるため

    大学教授の定年は大学によってさまざまですが、基本的には長く働き続けることができる仕事です。

    多くの大学では65歳を定年としているものの、再雇用制度によって70歳まで働けたり、非常勤講師などとして定年を過ぎても長く働いたりすることができます。

    一般的には国立大学よりも私立大学のほうが定年を長く設定するケースが多く、国立大学で定年まで勤めた後に私立大学へ移籍する教授もいます。

    長く働き続けられるだけでなく、万一退職後も、自分の専門を生かして再就職先を見つけられるため、定年後の選択肢の幅が広く収入も得やすいといえるでしょう。

    理由3.大学特有のビジネスモデルがあるため

    大学教授の平均年収が高い理由に、大学特有のビジネスモデルがあります。

    大学生1人あたりの1年間の学費は国公立で50万円〜70万円、私立では100万円〜120万円ほどです。

    有名な大学になると1年間で数千人の学生が入学するため、学費だけでも数十億円の収入があり、受験料をプラスすると一年間で50億円近い収入があります。

    大学は景気に左右されることもなく毎年安定して学生が入学するため、市場規模が大きく、大学教授に支払われる年収も高めとなるのです。

    大学教授は年収1000万円を目指せる?

    大学教授は年収1000万円を超える人は珍しくなく、順当にキャリアを積んでいけば、その額まで到達する人は多くいます。

    また、メディア出演や本の執筆などにより、基本給にプラスして多くの副収入を得ている教授もいます。

    しかしながら、博士課程を修了してから大学教員として昇進できたとしても、教授になるのは40〜50歳となるのが一般的です。

    実際には教授までの道のりは長く、研究者や非常勤講師として働く間は不安定な雇用となり、年収が低いことに悩まされることもあることを知っておきましょう。

    大学教授が収入を上げるためには?

    大学教授としてさらに収入を上げるためには、どのような方法があるのかを説明します。

    首都圏の私立大学に就職する

    大学教授は高収入を得やすい職業ですが、先述した通り、勤務する大学によって年収数百万円単位の差が出てくることがあります。

    したがって、できるだけ収入アップを望むのであれば、首都圏の有名な私立大学に勤務するのがよいといえるでしょう。

    さらに第一線で活躍できる時間が長い大学で働くことで、生涯年収を高めることが可能です。

    ただし、私立大学では大学ごとに待遇も大きく異なり、給料以外の面でも、働きやすさや満足度が変わることがある点には注意しておいたほうがよいでしょう。

    専門分野で功績を上げ活躍する

    大学教授になると、各分野の専門家として注目されることも増えてきます。

    大学での仕事とは別で、テレビの報道・情報番組のコメンテーターとして出演したり、書籍や雑誌記事の執筆を手掛けたり、セミナーを開いたりすることによって副収入を得て、結果的に高収入を実現させている人もいます。

    なお、「みなし公務員」にあたる国公立大学勤務の場合は、基本的に副業は禁止されています。

    しかしながら、副収入を得ることは問題ないとされているため、専門書の執筆や講演を行って収入を増やしている人は少なくないようです。

    大学教授の年収・給料のまとめ

    大学教授は、一般的な会社員の平均年収よりも、非常に高い収入が見込める職業です。

    大学教授全体の平均年収は1000万円強ですが、首都圏の著名な私立大学で教授のポストに就くと、年収は1200万円~1500万円ほどに達することもあります。

    また、テレビの報道・情報番組のコメンテーター、書籍や雑誌記事の執筆、講演活動など学外での活動を行うことで、副収入を得ている人も少なくありません。