鉄鋼メーカー社員の現状と将来性
大型再編が相次ぐ鉄鋼業界
固くて強く、加工が自由といった優れた特性を持つことから、古くから人々の暮らしに欠かせない金属として用いられてきた鉄。
新興国向けの建設や自動車需要など、世界経済の拡大とともに鉄鋼業界は長らく成長を続けてきました。
その後、世界同時不況による鉄需要の急降下により事態は一変したものの、再び建設や自動車需要が大きくなり、さらには円安などの背景によって、低迷していた鉄鋼業界はまた伸びを見せつつあります。
そのようななか、近年の鉄鋼業界では世界的な大型再編が相次いでいます。大きな話題を集めたのは、2006年7月に鉄鋼世界首位のミタル・スチール(オランダ)がアルセロール(ルクセンブルク)を買収し、世界最大の鉄鋼メーカー「アルセロール・ミタル」が生まれたことです。
また、日本では2012年10月に、国内鉄鋼首位の新日本製鐵が3位の住友金属工業を吸収合併し、新日鐵住金が発足。
粗鋼生産量でアルセロール・ミタルに次ぐ、世界2位(当時)の鉄鋼会社が誕生しました。
さらに、同年10月には日新製鋼が日本金属工業と経営統合を果たすなど、大きな動きが続いています。
鉄鋼業界ではスケールメリットが優先されており、今後もこのような再編は続くと見られます。
これから鉄鋼業界を目指す人は、業界の動きによく注目しておいたほうがよいでしょう。
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日本の鉄鋼業界の将来性
現在、あらゆる産業が「環境問題」について深く考えるようになっていますが、日本の鉄鋼業界は、世界でも先駆けて省エネ・環境対策に向き合っており、世界で最もエネルギー効率が高いと評価されています。
鉄は100パーセントリサイクルが可能な資源として注目を集めており、需用も世界的に見るといまだ伸びています。
これからも日本の鉄鋼業界は技術力で世界を主導していくとともに、あらゆる産業の基盤となる鉄という重要な資源を扱う立場として、今後も安定して利益を上げていくものと考えられます。
まだまだ可能性を秘めた業界として、将来性にも期待できるでしょう。