専門商社の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介
総合商社と専門商社の違い
商社には主に総合商社と専門商社の2種類があります。
どちらも商品やサービスの輸出入と卸売を基本としていますが、総合商社がさまざまな商品やサービスを手広く扱うのに対して、専門商社は特定分野の商品・サービスのみを専門に扱います。
目安としては、特定分野の商品・サービスから生じる収益が全体収益の50%を超えると、専門商社と見なされます。
また、総合商社が輸出入関連の卸売と投資を歳入の2本柱としているのに対し、専門商社では投資への依存度が低く、卸売を主な事業としていることも特徴のひとつです。
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専門商社のビジネスモデル
専門商社には、特定分野の商品を海外業者から輸入して国内業者に卸売する輸入事業のビジネスモデルと、国内業者の商品を海外業者に卸売する輸出事業のビジネスモデルがあります。
両ケースとも基本的には、仲介業から発生する中間利益を歳入源としています。
昔は輸入事業の専門商社の数が圧倒的でしたが、近年では日本国内の食品やファッション・工芸関連商品、ソフトウェアなどのIT関連商品など、日本から世界に発信する輸出業務のビジネスモデルも増えています。
専門商社での業務
専門商社も他の企業と同様に、多くの部門で構成されています。営業、企画、経理、法務・貿易、人事総務、広告宣伝など、配属される部門によって担当する業務は異なります。
営業であれば、製品知識をしっかり身に付け、サプライヤーや顧客との信頼関係を築いた上で仕事をすることになるでしょう。
法務は貿易法に基づいた輸出入プロセスのチェックや関税システムの処理、広告宣伝は各種メディアを通した広告やウェブサイト管理、イベントなどを担当することになります。
小企業であれば、部門の境目が曖昧で、社員それぞれが何種類かの業務を担当することになるかもしれません。
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総合職か一般職か
総合職として専門商社に入社した場合、営業職なら取引先との交渉、企画職であれば輸出入商品やサービスの企画立案、広告宣伝職では宣伝業務に当たるでしょう。
またはそれらの職種を経たのちに、管理職として各部門のマネジメントに当たる道もあります。
一般職の場合は法務・貿易、人事総務、経理部門で事務を担当する可能性が高いですが、その他の部門で総合職のアシスタント業務に当たる可能性もあります。
専門商社に特有の職種
プロダクトマネージャー
専門商社におけるプロダクトマネージャーは、メーカーに置き換えればマーケティングにあたります。
自社の取扱い商品や、担当を任された商品についての市場調査を重ね、ビジネス戦略を練ります。
具体的には顧客プロファイル、類似商品や競合他社、広告宣伝、広報などのプランをまとめ、営業部門と連動して商品販売を促進します。
各種メディアへの露出を手配したり、ウェブやカタログなどの販促資材を用意することも仕事のひとつです。
海外営業
海外のサプライヤーや顧客とのやりとりを任される営業職です。
英語力が必須で、かつ取引先の国の言語能力も求められることがあります。
海外の大学に留学経験があったり、日本の大学に留学している外国人学生を好んで採用するのはこの職種でしょう。
語学力に加えて、顧客に商品の詳細を説明したり、サプライヤーと交渉をするための専門的な商品知識が必須になります。
技術営業
IT、機械、化学製品などを扱う専門商社に特有なのが、技術営業です。
取扱い商品のエキスパートとして、顧客に営業を行うだけでなく、専門的な立場からアドバイスをする立場です。
一般的な営業と比べ、専門分野が細分化されている傾向があります。
多くの場合営業アシスタントが付き、事務処理を担当して技術営業が専門的な業務に専念できるようサポートします。
職種全体を通しての共通事項
こうした職種全体を通して求められるのは、語学力です。
海外市場に商品を販売する場合、プロダクトマネジメント担当は海外市場調査や海外での販促を行う可能性がありますし、国内がターゲットの場合でも、海外の情報を収集する必要があります。
また企業の取扱い分野にはよりますが、営業でも高い語学力を求められるのが専門商社の特徴です。
理系のバックグラウンドを必要とする分野でも語学を求められるので、語学ができる理系出身者は引く手あまたといえるでしょう。
専門商社の種類
エネルギー、鉄鋼、機械部品を扱う専門商社
専門商社の中でも大手・有名企業が多いのがこの分野です。
こうした分野は川上産業(最終的な消費者から遠いビジネス)と呼ばれ、いわゆるBtoB(法人相手のビジネス)を展開しているため、資本金や取引金額が大きいのが特徴です。
大企業では仕事が忙しく労働時間が長くなりがちですが、その分年収も高いのが魅力です。
医薬品、化学製品を扱う専門商社
中堅企業が多いのがこの分野の専門商社です。こちらもBtoBが主流です。
サプライヤーや卸先が固定されている傾向があり、商品の専門的な知識さえ身につけてしまえば、アップダウンが少ないルーティーンワークに専念できるようです。
あまりに忙しい職場は避けたいが、安定した収入が欲しいという人には、狙い目の分野といえるかもしれません。
アパレル・ファッションを扱う専門商社
この分野では大手専門商社は少なく、資本金が小額の少人数体制の専門商社が多数です。
BtoC(自社店舗などで消費者に直接販売するビジネス)のビジネス形態をとる企業も一定数存在します。
少人数ですべてをこなさなければいけないため一人当たりの業務量が多く、ヨーロッパやアメリカのサプライヤーと取引する企業では時差の問題もあり残業が多くなりがちです。
また、小企業が多いため一部の大企業を除いては年収はそれほど高くはないでしょう。
食品を扱う専門商社
食料品関係もアパレル・ファッション関連の専門商社と同じく、小規模な企業が乱立しています。
大手総合商社が大量の商品を動かすのに比べ、食料品を扱う専門商社は小規模なレストランや飲食系企業に特殊な商品を卸すニッチなビジネスを展開するケースが多く見られます。
また自社店舗やオンラインショップなどでBtoCの形態をとる小企業も多数存在します。