日本の有名な科学者【2020年版】

日本にも多い有名な科学者

科学分野には自然科学や社会科学、形式科学などがあり、諸分野で体系化された学問を研究する人が科学者です。

日本でどのような科学者が有名かを考える際に、真っ先に思いつくのが「ノーベル賞授賞者」ではないでしょうか。

ノーベル賞は物理学化学、生理学・医学文学、平和および経済学の6部門で構成されています(経済学は含めないケースもあります)。

日本初のノーベル賞受賞者は1949年に物理学賞を受賞した湯川秀樹さんで、2019年までの歴代受賞者数は、外国籍をもつ日本出身者を含めて28人です。

2020年10月5日から発表されるノーベル賞にも、細野秀雄さんや藤嶋昭さん、松村保広さんなど、各分野の日本人科学者が候補に挙がっています。

現代の有名な日本人科学者たち

2000年から2019年にノーベル賞を受賞した、日本の有名な科学者たちを20人紹介します。

ノーベル賞の部門ごとにみていきましょう。

ノーベル化学賞を受賞した日本の有名な科学者

ノーベル化学賞は、化学分野における重要な発見や発明・改良などの功績が認められた人物に贈られる賞です。

吉野 彰(よしの あきら)

吉野彰さんは、携帯電話やパソコンなどに用いられるリチウムイオン二次電池の発明により、2019年に「ノーベル化学賞」を受賞したエンジニア・研究者です。

京都大学工学部・石油化学科を卒業後は、「製品として世の中の役に立ちたい」と、旭化成工業(現:旭化成株式会社)に入社しました。

九州大学エネルギー基盤技術国際教育研究センターの客員教授、旭化成株式会社の名誉フェローなどを務めています。

鈴木 章(すずき あきら)

鈴木章さんは、有機合成においてパラジウム触媒を用いた画期的なクロスカップリング技術に成功し、2010年に「ノーベル化学賞」を受賞した化学者です。

北海道大学理学部化学科を卒業後、同大学大学院理学研究科化学専攻博士課程を修了し、母校の助手や教授を務めました。

カップリング技術の特許をあえて申請せず、ドイツの殺菌剤の材料や日本チッソの液晶画面、有機ELのポリマー材料製造など、多数の製品が世界中で実用化されています。

根岸 英一(ねぎし えいいち)

根岸英一さんは、有機合成におけるパラジウムを触媒としたクロスカップリングの発見により、鈴木章さんとともに2010年に「ノーベル化学賞」を受賞した化学者です。

東京大学工学部を卒業後は帝人に入社し、1963年にペンシルバニア大学で博士号を取得しています。

ノーベル賞受賞にあたり、「50年間思い続けていれば夢はかなう。日本の若い研究者たちは海外に出て活躍してほしい」と発言しました。

下村 脩(しもむら おさむ)

下村脩さんは、「緑色蛍光タンパク質(GFP)」の発見により、2008年に「ノーベル化学賞」を受賞した有機化学者・海洋生物学者です。

旧制長崎医科大学附属薬学専門部(現・長崎大学薬学部)卒業後は、同大学助手、名古屋大学理学部研究生を務め、「ウミホタルのルシフェリンの結晶化」に成功しました。

1965年から1982年までプリンストン大学上席研究員、1982年から2001年までウッズホール海洋生物学研究所上席研究員を務め、2001年にはボストン大学名誉教授に就任しています。

田中 耕一(たなか こういち)

田中耕一さんは、それまで不可能とされていた「タンパク質を壊さずにイオン化すること」に成功し、2002年に「ノーベル化学賞」を受賞した化学者・エンジニアです。

東北大学工学部電気工学科卒業後、株式会社島津製作所に入社し、技術研究本部中央研究所にて化学分野の研究に従事しました。

ノーベル賞を受賞する日本人の多くは博士や学位をもっていますが、現役会社員、修士号さえもたない研究者が受賞したと話題となりました。

その後、東北大学名誉博士の称号が与えられています。

野依 良治(のより りょうじ)

野依良治さんは、「キラル触媒による不斉水素化反応」の研究・開発により、2001年に「ノーベル化学賞」を受賞した化学者です。

京都大学工学部卒業、同大学院工学研究科修了後、名古屋大学理学部助教授を経て、ハーバード大学博士研究員として不斉合成反応の研究に打ち込みました。

名古屋大学大学院理学研究科教授、同大学物質科学国際研究センター長、独立行政法人理化学研究所理事長などに就任しています。

白川 英樹(しらかわ ひでき)

白川英樹さんは、電気を通すプラスティックのポリアセチレンを発見し、2000年に「ノーベル化学賞」を受賞した化学者です。

東京工業大学理工学部、同大学院を卒業し、資源化学研究所(現・化学生命科学研究所)にてポリアセチレンの重合の仕組みにかんする研究をはじめました。

ペンシルバニア大学研究員、筑波大学教授を経て、東京工業大学工学博士や筑波大学名誉教授などに就任しています。

ノーベル物理学賞を受賞した日本の有名な科学者

ノーベル物理学賞は、物理分野おける重要な発見や発明・改良などの功績が認められた人物に贈られる賞です。

梶田 隆章(かじた たかあき)

梶田隆章さんは、素粒子「ニュートリノ」が質量をもつことを発見し、2015年に「ノーベル物理学賞」を受賞した物理学者・天文学者です。

埼玉大学理学部を卒業後、東京大学大学院理学系研究科に進み、宇宙線の研究をはじめました。

1986年、東大理学部附属素粒子物理国際研究センター助手時代にニュートリノ研究に着手します。

1996年より岐阜県飛騨市神岡の「カミオカンデ」で観測しはじめ、ニュートリノに質量があることを確認しました。

赤崎 勇(あかさき いさむ)

赤崎勇さんは、明るく省エネな白色光源を実現した、効率のよい「青色発光ダイオード(青色LED)」の発明により、2014年に「ノーベル物理学賞」を受賞した半導体工学者です。

京都大学理学部化学科を卒業後、神戸工業(現・デンソーテン)に入社し、テレビの国産ブラウン管の開発に携わりました。

赤色・黄緑色LEDの開発にも尽力し、1979年には日本初となる赤色レーザーダイオードの発振にも成功しています。

名古屋大学有住研究室、松下電器東京研究所を経て、松下技研株式会社半導体部長などを歴任しました。

天野 浩(あまの ひろし)

天野浩さんは、赤崎勇さんとともに「青色発光ダイオード」の高品質結晶創製技術の発明が評価され、2014年に「ノーベル物理学賞」を受賞した電子工学者です。

名古屋大学大学院工学研究科修士課程修了後、指導教官の赤崎勇教授にオールマイティな能力を評価され、博士課程に進みました。

赤崎研究室が名城大学に移転したのを機に、名古屋大学工学部助手を退官します。

名城大学理工学部教授を経て、名古屋大学大学院工学研究科教授、名古屋大学大学院工学研究科赤﨑記念研究センター長などを務めています。

中村 修二(なかむら しゅうじ)

中村修二さん(愛媛県出身/アメリカ国籍)は、青色LEDの実用化成功により、2014年に「ノーベル物理学賞」を受賞した電子工学者です。

徳島大工学部電子工学科卒業、徳島大大学院修士課程修了後は日亜化学工業に入社。

配属部署の開発課でガラスの曲げ方を習得し、のちの発明につながるCVD実験装置の改造に役立たせました。

日亜化学工業在籍中、赤崎グループの論文により青色発光ダイオードの研究・製品化に成功しましたが、発明の対価は2万円の報奨金だったと話題になりました。

南部 陽一郎(なんぶ よういちろう)

南部陽一郎さん(東京都出身/アメリカ国籍)は、素粒子物理学における「自発的対称性の破れ」の発見により、2008年に「ノーベル物理学賞」を受賞した理論物理学者です。

高校3年のころに理論物理学者の湯川秀樹さんに影響を受け、東京帝国大学(現・東京大学)に進学しました。

「南部理論」は、真空には何もないとした従来の概念をくつがえし、東大や理化学研究所などで引き続き研究され続けています。

小林 誠(こばやし まこと)

小林誠さんは、「CP対称性の破れの起源」の発見により、2008年に「ノーベル物理学賞」を受賞した理論物理学者です。

名古屋大学理学部物理学科を卒業、名古屋大学大学院理学研究科を修了しています。

同時受賞した益川敏英さんとの共同研究により、「クォークが少なくとも6つ存在すればCP対称性の破れが起きる」ことを発見しました。

京都大学理学部助手、高エネルギー物理学研究所教授、独立行政法人日本学術振興会理事などに就任しています。

益川 敏英(ますかわ としひで)

益川敏英さんは、小林誠さんとの共同研究により「CP対称性の破れの起源」を発見し、2008年に「ノーベル物理学賞」を受賞した理論物理学者です。

名古屋大学理学部物理学科卒業後、京都大学理学部にて名古屋大学の4年後輩にあたる小林誠さんと「小林・益川行列(CKM matrix)」を導入しました。

名古屋大学素粒子宇宙起源研究機構名誉機構長、京都大学・京都産業大学の名誉教授などに就任しています。

小柴 昌俊(こしば まさとし)

小柴昌俊さんは、世界初となる「太陽系外におけるニュートリノの観測」に成功し、2002年に「ノーベル物理学賞」を受賞した物理学者・天文学者です。

1987年、岐阜県飛騨市神岡の地下に建設された「カミオカンデ」により、大マゼラン雲の超新星1987Aからニュートリノを検出しました。

東京大学理学部卒業、ロチェスター大学大学院修了。シカゴ大学研究員、東京大学原子核研究所助教授を経て、東海大学理学部教授に就任しています。

ノーベル生理学・医学賞を受賞した日本の有名な科学者

ノーベル生理学・医学賞は、生理学または医学分野における重要な発見や発明・改良などの功績が認められた人物に贈られる賞です。

本庶 佑(ほんじょ たすく)

本庶佑さんは、がんの免疫療法の開発により、2018年に「ノーベル生理学・医学賞」を受賞した医学者です。

京都大学医学部医学科を卒業後、同大学院医学研究科生理系専攻に進学し、修了後は同大学医学部・東京大学・大阪大学で教鞭をとりました。

京都大学名誉教授、高等研究院副研究院長、ふじのくに地域医療支援センター理事長などを歴任し、後継者の育成に尽力しています。

大隅 良典(おおすみ よしのり)

大隅良典さんは、細胞が不要なタンパク質などを分解する「オートファジーの仕組みの解明」により、2016年に「ノーベル生理学・医学賞」を受賞した生物学者です。

東京大学で基礎科学科を学び、東京大学大学院理学系研究科でタンパク質の研究に取りかかりました。

ロックフェラー大学の博士研究員、東京大学理学部助手・講師を経て、東京工業大学のフロンティア研究機構の特任教授を務めています。

大村 智(おおむら さとし)

大村智さんは、アベルメクチンの発見を含む線虫の寄生から起こる感染症治療法の発見により、2015年に「ノーベル生理学・医学賞」を受賞した化学者です。

山梨大学学芸学部卒業、東京理科大学大学院理学研究科修士課程を修了し、北里研究所技術補、北里大学薬学部助教授などを経て、現・北里大学メディカルセンターの設置に尽力しました。

およそ40年前にアベルメクチンを基に開発したイベルメクチンは、現在アフリカなどで年間3億人に使われており、コロナウイルスの治療薬としても注目を浴びています。

山中 伸弥(やまなか しんや)

山中伸弥さんは、皮膚などの体細胞から人体のあらゆる細胞に分化できる「iPS細胞」の作製に成功し、2012年に「ノーベル生理学・医学賞」を受賞した医学者です。

神戸大学医学部医学科卒業後は、国立大阪病院整形外科で臨床研修医として勤務していました。

担当した重症リウマチ患者を救えないかとの思いから、大阪市立大学大学院の薬理学教室にて研究に着手します。

奈良先端科学技術大学院大学での研究時代の2006年、iPS細胞の開発に成功し、再生医療の実現や新薬開発などに大きな期待を与えています。

ノーベル文学賞を受賞した日本の有名な科学者

ノーベル文学賞は、文学の分野において優れた作品を創作した人物に贈られる賞です。

カズオ・イシグロ

カズオ・イシグロさん(石黒 一雄/長崎県出身・イギリス国籍)は、小説をとおして世界との結びつきに気づかせ、幻想的感覚の奥底を暴いたとして、2017年に「ノーベル文学賞」を受賞した小説家です。

幼少期まで長崎市で過ごしていましたが、海洋学者の父の仕事によりイングランドに移住しました。

ケント大学英文学科を卒業後、イースト・アングリア大学大学院創作学科に進学し、小説を書きはじめるようになります。

これまでに長編から短編まで数々の小説を生み出し、長編小説「日の名残り」でブッカー賞を受賞しています。