科学者の現状と将来性

「科学技術立国」をアピールする一方で

天然資源に乏しい日本では、長らく「科学技術立国」としての地位を築き上げてきましたが、ここ数年、その勢いが急速に落ちているといわれます。

研究には大規模な実験施設や莫大なお金がかかりますが、人口減少が進むなかで研究を行う人材の数も減っています。

また、大学などの研究現場では予算カットの傾向が進行し、多くの研究所において満足いく研究資金が得られていないという声も聞かれます。

しかし、資源のない国を繁栄させるには科学技術の発展が不可欠であり、失速した日本の科学研究の勢いをいかに取り戻すかは、国をあげての課題として議論され続けている現状です。

若手科学者が働く環境の厳しい現状

1990年代以降、大学院の定員が増えたことによって博士号を持つ人の数が急激に拡大し、大学では、博士課程を修了した人を任期付きで雇用する「ポスドク(博士研究員)」という立場の若手科学者が増加し続けてきました。

しかし、そこから超高倍率の大学職員に採用される人は一握りで、企業への就職先も思うように見つからないポスドクが大勢生まれてしまい、高学歴ながらも、収入や身分が不安定なまま働く人が増えている現状です。

こうしたままでは、若手科学者がこの世界で生き続けることが難しく、やむなくまったく別の仕事へ転職するようなケースも出ています。

こうしたポスドクの問題は現在も議論が続けられており、今後は状況が改善することも考えられます。

しかし、基本的に科学者として良いポジションを得るには研究での実績を残していくしかなく、安定した身分を確保するには、かなりの努力が求められるといえるでしょう。

女性科学者の活躍にも期待が集まる

日本では、欧米諸国に比べて、圧倒的に女性科学者の割合が小さいといわれています。

とくに待遇面の問題などから、出産や育児後の女性が家庭生活と研究を両立させることが難しく、若手女性科学者が早いうちに第一線を離れてしまう現状もあるようです。

いま、若手科学者が活躍できる場をつくるために、さまざまな人材育成策が練られていますが、その実現までにはもう少々時間がかかるかもしれません。