科学者の需要・現状と将来性

科学者の現状

科学技術立国の崩壊

天然資源に乏しい日本では、長らく「科学技術立国」としての地位を築き上げてきましたが、近年その勢いが急速に落ちているといわれます。

研究には大規模な実験施設をはじめとした莫大な費用がかかりますが、人口減少が進むなかで、研究を行う科学者の数も減っています。

また、大学などの研究現場では予算カットの傾向が進行し、多くの研究所において満足いく研究資金が得られていません。

しかし、資源のない国を繁栄させるには科学技術の発展が不可欠であり、失速した日本の科学研究の勢いをいかに取り戻すかは、国をあげての課題として議論され続けている現状です。

科学者の海外流出

海外には優秀な科学者が世界中から集うトップレベルの大学があります。

日本トップレベルといえば東京大学や京都大学が挙げられますが、世界の大学を研究の影響力や国際性などで順位付けした「世界大学ランキング」では上位30位内にもランクインしていません。

日本の科学分野の失速を受け、現在は多くの科学者が研究場所を海外に求めるようになってきており、日本の科学レベルはさらに低下することは避けられません。

こうした状況を踏まえ、国内の大学の研究環境を整えることや、能力のある人材を支援することが急務とされています。

科学者の需要

1990年代以降、大学院の定員が増えたことによって博士号を持つ人の数が急激に拡大しました。

大学では、博士課程を修了した人を任期付きで雇用する「ポスドク(博士研究員)」という立場の若手科学者が増加し続けてきました。

しかし、そこから超高倍率の大学職員に採用される人は一握りで、企業への就職先も思うように見つからないポスドクが大勢生まれるという問題が起きています。

大学院卒という高学歴ながらも、収入や身分が不安定なまま働く人が増えており、若手科学者がこの世界で生き続けることが難しく、やむなくまったく別の仕事へ転職するようなケースも出ています。

こうしたポスドクの問題は現在も議論が続けられており、今後は状況が改善することも考えられます。

しかし、基本的に科学者として良いポジションを得るには研究での実績を残していくしかなく、安定した身分を確保するには、かなりの努力が求められるといえるでしょう。

科学者の将来性

日本では、欧米諸国に比べて、圧倒的に女性科学者の割合が少ないといわれています。

とくに待遇面の問題などから、出産や育児後の女性が家庭生活と研究を両立させることが難しく、若手女性科学者が早いうちに第一線を離れてしまう現状は否めません。

近年、若手科学者が活躍できる場をつくるために、さまざまな人材育成策が練られていますが、女性科学者が台頭したり働きやすい環境が実現するまでにはもう少々時間がかかるでしょう。

科学者の今後の活躍の場

近年、AIの発達やロボットを使った研究も増え始めました。

科学者を目指す人の中には、こうしたものに仕事を奪われると危惧する人もいるかもしれませんが、科学の研究のように高い思考力や分析が必要な分野では、AIに頼るのは難しいといわれています。

人間ならではの柔軟な発想や着眼点は、機械には決してマネができないため、科学者という仕事は今後も必要であり続けるでしょう。