科学者の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「科学者」とは
大学や研究機関などで、おもに自然科学についての新たな知見を見つけて実験や研究を行う。
科学者とは、一般に、科学の研究を専門的に行っている人のことをいいます。
とくに物理学、化学、生物学、天文学といった自然科学の研究をする人が多く、新たな知見に関する研究内容を論文にまとめ、学会で発表することを続けていきます。
科学者の研究内容は基本的に理系分野となるため、大学は理工学系の学部へ進学し、さらに大学院の修士課程、博士課程と進んで、博士号を取得するのが一般的なルートです。
その後は職員として大学に所属する人もいれば、民間企業に就職して研究所などで働く人もいます。
社会の発展のために不可欠な存在ではありますが、誰もがよい待遇の下に働けるわけではなく、厳しい生活を続けながら研究に没頭する生活を送る人もいます。
この世界で成功するには研究実績を残していくことが最も重要であり、安定した身分を確保するには、相当な努力が求められるといえるでしょう。
「科学者」の仕事紹介
科学者の仕事内容
科学分野に関する研究を専門的に行う
科学者とは、大学や研究機関などで、おもに自然科学についての新たな知見を見つけて実験や研究を行う人のことをいいます。
とくに物理学、化学、生物学、天文学といった自然科学の研究をする人を指し、新たな知見に関する研究内容を論文にまとめ、学会で発表することを続けていきます。
科学者のほとんどが、理工学系の大学学部から大学院の修士課程、博士課程と進んで「博士号」を取得します。
その後の働き方は、人によって異なります。
たとえば大学に所属して、教鞭をとりながら研究活動を続ける人もいれば、民間企業に就職し、会社員の立場で研究所での仕事をしている人もいます。
研究論文の評価が重視される
科学者の世界では、どれだけ研究実績を残していけるかが成功のカギを握ります。
自身の研究結果は論文として「学術誌」といわれる専門誌に掲載されます。
権威のある学術誌に掲載され、国内はもちろん世界からも注目されるようになると、優秀な科学者として認識されます。
ここまでくれば安定した身分を確保できますが、必ずしもすぐに評価されるとは限らず、科学者として長年生きていくには相当な根気と忍耐が求められます。
科学者になるには
まずは大学から大学院へ進んで博士号を得る
科学者の研究内容は基本的に理系の分野となるため、大学は理工学系の学部へ進学し、専門分野についての学びを深めることが第一歩となります。
また、科学者は「学者」の一種であるため、大学卒業後は大学院へ進学しなくてはなりません。
大学院の研究室では、論文を書きながら修士課程、博士課程を修了して「博士号」を取得するのが科学者になる一般的なルートです。
博士号取得者の多くは、大学に「ポスドク」といった立場で所属するか、民間企業の研究所に就職し「研究職」として勤務しながら研究活動を続けます。
大学もしくは民間企業で研究を続ける
大学に所属する場合、通常は「ポスドク」と呼ばれる任期付きの雇用形態を経て、助教授や講師、准教授を経て教授へとステップアップしていきます。
比較的自由な研究活動ができる反面、大学はポストが空いていなければ所属するのが難しく、なかなか上のポストを狙えない場合があります。
企業で働く場合には、さまざまな種類の製造業が主要な就職先となります。
製造業では研究所をもつ企業が多く、事業の関連分野についての高い専門性を持つ人材は高い評価を受けやすいです。
ただ、企業では自社製品に関する研究開発が中心となり、コストや生産性といった面まで考えて研究をしなければならなりません。
科学者の学校・学費
大学から大学院まで、長い学生生活を送る
科学者といわれる人の研究分野は理系に分類されるため、高校卒業後、まずは理工学系の大学学部へ進学するのが科学者を目指す最初のステップとなります。
そして大学卒業後は、そのまま大学院の研究室へと進みます。
前期博士課程で「修士号」を取得後、さらに後期博士課程で「博士号」の取得を目指すのが一般的なルートです。
ここまで長い道のりとなりますが、必ずしも難関大学や大学院に通う必要はありません。
科学者の評価は、どの学校に通ったか以上に「どのような論文を書いたか」と「論文がどのような学術誌に掲載されたか」のほうが重視されるからです。
大学院在籍中に、いかに実績を残していけるかが、その後の科学者としてのキャリアに大きく影響をおよぼします。
計画的な学費の準備が必要
学費が一律の国公立大学と異なり、私大の理工学系学部・大学院は、文系よりも学費が高額である場合が多いです。
大学院での生活は非常に忙しく、研究に没頭する日々になるため、アルバイトと学業を両立することは簡単ではありません。
奨学金制度などもありますが、博士課程まで進むと1000万円以上必要になる場合もあるため、学費をどう賄うかはよく考えておくほうがよいでしょう。
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科学者の資格・試験の難易度
難関大学出身者が有利であることは確か
科学者として働くために、必須とされる資格はなく、必ずしも有名な大学に通わなくてはならないわけでもありません。
ただ、この仕事では専門分野における専門性や、研究実績、論文内容で評価が決まってきます。
もっとわかりやすくいくと「どのような論文を書いたか」「論文がどのような学術誌に掲載されたか」といったことが重要視されます。
学術誌にはランク付けのようなものがあり、著名なものに掲載されると、それだけ注目を集めることになります。
とはいえ、難関大学を卒業し、その分野で著名である大学院で学位を取り、研究をすることは周囲の環境としてプラスになることは多いです。
また、周りの研究者のレベルも高く、研究に必要な機器類がそろっている環境で研究を続けることは、科学者として研鑽を積んでいくうえでは役立つでしょう。
科学者の給料・年収
勤務先や雇用形態によって大きな差が出る
科学者の給料は、勤務先となる研究機関や雇用形態などによって大きな幅があります。
大学のポスドクになる場合には、平均年収は300万円〜500万円程度が相場といわれています。
大学では、非常勤などの非正規雇用と、常勤の講師や助教、教授などといった正規雇用とでは、待遇に大きな差があります。
研究分野で実績を積み、ポストを上げていけば、年収は1000万円以上得られる可能性も出てきますが、ポストが空かなければ、なかなか上のポストを狙えないのは大学ならではの厳しさです。
若手のうちは収入面で厳しい生活になることも覚悟しておいたほうがよいでしょう。
民間企業で働く場合
民間企業に就職する場合、博士号をもっている人は比較的よい待遇で採用されることが多いです。
大手企業であれば、昇進していくと年収800万円~1000万円以上に届くケースもあります。
ただし科学者が活躍する企業は中小企業も多く、若いうちから必ずしも高い給料が得られるとは限りません。
優秀な科学者はヘッドハンティングされ、よりよい待遇の職場で働けるチャンスを掴めます。
科学者の現状と将来性・今後の見通し
日本人科学者のさらなる活躍に期待が集まる
天然資源に乏しい日本では、長らく「科学技術立国」としての地位を築き上げてきましたが、人口減少や研究予算のカットなどの要因により、ここ数年、その勢いが急速に落ちているといわれます。
経済的にも研究環境的にも恵まれた欧米に、力ある科学者が流れて行ってしまっている現状も大きな問題となっており、国内で活躍する科学者の待遇改善の必要性が叫ばれています。
今後、科学者をとりまく今後の労働環境は少しずつ好転していくと考えられます。
しかしながら、この世界で成功するには、なによりも研究実績を残していくことが最も重要です。
安定した身分を確保するには、相当の努力はもちろん、忍耐力や継続力も求められるといえるでしょう。
科学者の就職先・活躍の場
「大学」か「民間企業」に所属するのが一般的
大学院で博士号を取得した科学者のキャリアは、大きく以下の2つに分かれます。
一つは、そのまま大学に残って職員として働きながら研究活動を続けるキャリアです。
大学は年功序列の要素が色濃いため、最初は「博士研究員」や「ポスドク」と呼ばれる非常勤、任期制の職に就くのが通常です。
その後、順調にキャリアを積めば、助教授や講師、准教授を経て教授へとステップアップしていきます。
もう一つのキャリアは、製造業など民間企業の「研究職」として働くことです。
こちらは、いわゆる会社員の身分になりますが、事業の関連分野の高い専門性を持つ人材は評価されやすくなっています。
食品、化学、化粧品、製薬など、高度な専門知識を有する研究職を募集する企業は多くあります。
そうした企業内の研究部門では基礎研究も行われていますが、基本的に「利益を生み出すこと」に焦点が置かれており、完全に自由な研究ができるわけではありません。
科学者の1日
大学では講義を行いながら研究活動も続ける
科学者の研究活動には莫大なお金がかかり、特別な設備も必要になることから、必ずどこかの研究施設を利用することになります。
その勤務スタイルは、大学に所属する人と、民間企業勤めをする人とでも変わってきます。
ここでは、大学で勤務する科学者のある1日を紹介します。
科学者のやりがい、楽しさ
興味のあることを徹底的に突き詰めていける
科学者にとって最大のやりがいは、自分が好きな分野や、興味のあることと徹底的に向き合って、とことん追究し続けることができる点です。
知的探求心旺盛な人にとって「これを解き明かしたい!」と思うことに没頭できるのは、何よりも充実した時間となるでしょう。
研究にはお金も時間もかかりますが、大学に勤めるにしても、企業の研究職に就くにしても、施設の設備やお金を利用して研究を続けられることは、大きなメリットとなります。
地道な研究を続けて発見し、蓄積した知見が世の中のためになることも、科学者にとっての大きな喜びであることは間違いありません。
科学者のつらいこと、大変なこと
評価されるまでに時間がかかる
科学者の苦労はいろいろとありますが、まず挙げられるのは、そもそも科学者になること自体が簡単ではないことです。
大学や大学院時代には遊ぶ時間も削って勉強と研究に打ち込む必要がありますし、いざ博士号を取得しても、大学に残る場合は、しばらく教授などの下について雑用中心で働くことが一般的です。
自分の研究室が持てるようになるまでの間、ほぼ無給に近い状態であることも珍しくありません。
すぐに活躍できないなかでも地道に実験や研究を続け、論文を書き、学会に参加しますが、お金がなくて厳しい生活を送る若手科学者は少なくありません。
また、科学者が所属する大学や企業では、すべての場所において満足いく研究資金や環境があるとは限りません。
思うような研究活動ができず、理想と現実のギャップに悩む科学者もなかにはいます。
科学者に向いている人・適性
感覚ではなく、論理的に物事を考えられる人
科学者にとって「人とは違うアイデアや突飛な発想が出ること」や「成績優秀であること」は、もちろん大事な要素の一つです。
しかし、それ以上に大切なのは「論理的思考力」といわれます。
科学者が実験や研究を行う際には、まず仮説を立て、論理体系をきちんと理解しなくてはなりません。
そして、その内容を他者に客観的に説明できる能力や、そこから外れたものに気づける力があるからこそ、新たな発見につながっていきます。
また、科学者は研究内容を論文にまとめることを繰り返しますが、そこではわかりやすく確実な論理で文章を書き上げる必要があります。
科学者として認めてもらうには、自分の研究内容を人に正しく伝えることが必須であるため、論理的にものを考え、表現できる人に向いているといえます。
科学者志望動機・目指すきっかけ
好奇心や探究心、使命感などが動機になる
科学者になるような人は、小さいころから好奇心が旺盛で、知らないことを知ろうとしたり、自主的に勉強したりすることが苦にならないタイプの人が多いです。
知りたい謎を解明するために、何時間も図鑑を眺めたり調べものをしたりする、そんな旺盛な知的好奇心をもった科学者も少なくありません。
また、研究の世界には向上心にあふれ、優秀な人が大勢います。
そうした人たちに囲まれる生活のなかで、また多くの刺激を得て、自分も新しい発見をしたいと考える科学者志望の若者も多くいます。
学生の頃に熱心に学んで研究していた分野を専門にして、結果的に、一生その分野に捧げることになる人もいます。
科学者の雇用形態・働き方
勤務先や雇用形態によって働き方はさまざま
科学者は優秀な人材が多いですが、雇用形態は必ずしも安定しているわけではありません。
大学に勤める場合、教授など上のポストに就けばしっかりとした身分が確保され、待遇面でも満足いくものを得られることが多いです。
しかし博士号を取ったばかりの大半の人は「ポスドク」といわれる非正規の立場で働き、不安定な雇用となります。
収入が不安定な人は、よそでアルバイトをしながら研究活動を続けるケースもあります。
一方、民間企業の研究職として働く場合、博士号があれば基本的には正社員として採用されるでしょう。
一部の大手企業は待遇もよく、安定した雇用が確保されていることが多いですが、民間の事情はさまざまです。
科学者の勤務時間・休日・生活
人によっては不規則な働き方をする
科学者の勤務時間や生活は、どのような働き方をするのかによって異なります。
大学で正規職員になれば、ある程度、生活サイクルは固定化されます。
ただし、よいポストはなかなか空かないこともあり、非正規雇用で不安定な身分のまま長く働くことになる人もいます。
その場合、大学の仕事だけでは生活もままならず、休みの日を使って外でアルバイトを掛け持ちする人もおり、忙しい日々となるでしょう。
民間企業に就職した場合は、その会社の就業規則に沿って働きます。
たいていの企業では朝8時から9時頃に出勤し、夕方もしくは夜にかけて働く勤務パターンになり、土日祝日にきっちりと休めます。
勤務する研究所によっては朝がやや早めになることもありますが、繁忙期でない限り、定時で上がれることも多いです。
科学者の求人・就職状況・需要
「科学者」としての求人は一般的でない
世間では「科学者」という名称で求人が出されることは一般的ではありません。
科学者は、あくまでも自然科学などの専門分野の研究を行う人のことを広く指しているため、職種として認識されることは多くないのです。
専門領域をもって博士号を取得した人の大半は、大学で研究を続けるか、民間企業へ就職する道を選択します。
大学の場合は「博士研究員」や「ポスドク」といった名称で呼ばれる立場となりますが、ポストが空かなければその席に入ることはできず、狭き門となっています。
民間企業では、製薬会社や化学メーカーなど、さまざまな企業で博士課程修了者を募集しています。
その場合は「研究職」として採用されることが多く、文系の学生や、学部卒の学生とは別枠で採用されるのが一般的です。
ただし、企業は営利目的で事業を営んでいくため、博士号保持者の専門分野や研究内容が、あまりに基礎研究的である場合には、採用されにくいこともあるようです。
科学者の転職状況・未経験採用
専門分野に関する実績があれば転職は可能
大学から一般企業へ、またその逆など、意外に科学者の転職はめずらしくありません。
官公庁や研究施設などでも、研究の内容や専門分野によっては相手方から引き抜きの話が来る場合もあり、科学者としてのキャリアパスは決して一つではありません。
なかには関連する海外の大学に研究室を構え、現地で教員になるパターンもあります。
しかし、これらはいずれも研究実績あってこそです。
学部卒業後、一般企業に就職し、事務職や営業職など研究とはまったく異なる職種で長らく仕事をしていた人が、ある日突然、思いつきで研究職に路線変更ができるわけではありません。
科学者の世界は、他の職業以上に専門性が重視されるため、その道で確かな実績を重ねてきた人でないと、なかなか大幅な路線変更は難しいのが実情です。
自然科学系研究者とは
自然科学分野に関する研究を専門とする人
自然科学研究者とは、自然科学分野に関する内容を専門とし、それに関する実験や研究を続ける人のことを指しています。
自然科学のわかりやすい例としては、化学、物理学、生物学、天文学などが挙げられます。
大学から大学院へ進んで自らの研究テーマをもち、それに関する知識・技術の発展のために研究を続けて論文を執筆していきます。
博士号の取得後には大学で教鞭をとりながら研究を続ける人もいれば、民間企業に就職して研究所などで勤務する人もいます。
他の科学者と同様、自身で課題や問題を見つけ、それを突き詰めていく姿勢が不可欠です。
企業勤務の場合であれば、自身のもつ研究の知識や技術を、自社製品の開発などに生かしていくことが求められます。
日本の有名な科学者
高い評価を受けた日本人科学者は多数いる
日本には、これまでに高い評価を得た科学者が多くいます。
有名な科学者の例を考えていく場合、世界的な賞の「ノーベル賞」受賞者がわかりやすいでしょう。
ノーベル賞は物理学、化学、生理学・医学、文学、平和および経済学の6部門で構成されています。(経済学は含めない場合もあります)
代表的な受賞者は以下の通りです。
<ノーベル化学賞>
・吉野 彰
・鈴木 章
・根岸 英一
・白川 英樹
<ノーベル物理学賞>
・梶田 隆章
・中村 修二
・南部 陽一郎
・小柴 昌俊
<ノーベル生理学・医学賞>
・山中 伸弥
・大村 智
・大隅 良典
・本庶 佑
上記はあくまでも一部の方々であり、このほかにも価値ある功績を残した科学者は多くいます。
興味のある人は、詳しく調べてみてください。