栄養士の需要・現状と将来性
栄養士になりたいと考えた時に気になるのは、仕事内容や収入のほか、需要があるのかという点でしょう。
本記事では、栄養士の現状から将来性、今後の活躍の場などを紹介します。
栄養士の現状
高齢化社会の到来や人々の健康に対する意識の高まりとともに、医療・福祉の現場では、介護予防や治療食の工夫、そして個々の利用者の立場を考え、より楽しみ、喜んでもらえる食事づくりのサービス向上が求められています。
とりわけ急速に市場が伸びている福祉分野では、病気の予防、そしてひとりひとりの利用者のニーズや価値観を尊重したサービスに力が注がれるようになりました。食事の提供についても然りです。
また、学校においては食についての教育を専門的に行う「栄養教諭」の導入が進み、栄養士の資格はここでも活かすことができます。
そのほか、ビジネスの分野でも、栄養関連のサービスを展開する企業は増加傾向にあります。
食の専門家として、栄養士が活躍できるフィールドは多岐に渡り、職業としてのニーズは今後もより高まっていくでしょう。
20代で正社員への就職・転職
栄養士の需要
栄養士の活躍の場
「一般社団法人 全国栄養士養成施設協会」の調べによれば、2017年度の栄養士養成施設卒業生の就職先内訳は、病院が最も多く24.3%、続いて工場事業所(産業給食施設)が18.3%、さらに児童福祉施設が18.9%、介護保健施設が17.3%となっています。
このほか、
- 官公庁
- 学校・幼稚園・保育園
- 食品メーカー
- スポーツクラブ
など、さまざまな場所で栄養士が必要とされています。
「食」は生きていくにあたり欠かせないもののひとつです。人間が活動するあらゆる場で栄養士が求められているといっても過言ではありません。
大量調理の現場での需要が大きい
栄養士の需要が最も高いのは、委託給食会社など大量調理を行う現場です。
栄養士として栄養計算などを行うこともありますが、調理スタッフとしての業務がメインになる場合もあるようです。
調理がおもな業務となる場合は、大量の食材・大きな調理機器を運んだり、長時間立ち歩いたりすることも少なくありません。体力に自信のない人には厳しいでしょう。
応募する前に仕事内容をよく確認しておく必要があります。
栄養士の将来性
栄養士も管理栄養士も、最近では有資格者が増えていることから飽和状態にあり、本来の専門知識を生かせる職場が少なくなっているのが現状です。
もちろん、その専門性を強く問われる職場もあります。
たとえば、介護施設で高齢者向けの栄養管理を行ったり、スポーツ分野でアスリートの健康管理に携わったりする栄養士もいます。
管理栄養士の配置が義務付けられている福祉施設や保健所といった施設もあります。
どうしても栄養学のスペシャリストとして専門的な仕事に携わりたい場合は、栄養士だけでなく、早いうちから管理栄養士の資格取得も視野に入れたほうが就職先の選択肢は広がるかもしれません。
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栄養士の今後の活躍の場
ダブルライセンスで働く
栄養士は管理栄養士を目指すのほか、ダブルライセンスでキャリアアップを狙うこともできます。
たとえば、医療分野では、特定の病気に特化した栄養指導が求められることから「栄養サポートチーム(NST)専門栄養士」や「日本糖尿病療養指導士」など、医療現場を担うための新たな資格が続々と誕生しています。
医療現場と並んでニーズが高い福祉の分野では、栄養士も「介護支援専門員(ケアマネージャー)」の資格を取得できるようになりました。
また、「フードコーディネーター」は、テレビなどのメディアだけでなく、飲食店のメニュー開発、食品会社の商品企画、料理教室の講師など、食にかかわるビジネスで活躍することができます。
栄養士になったあとも携わる分野について学び続ける姿勢がキャリアアップの早道といえるでしょう。
今後期待される栄養士像
今後、コミュニケーション能力の高い栄養士は重宝されます。
厨房で調理作業、事務室で栄養指導をするだけでなく、積極的に他職種とつながることで、見識を広げるチャンスを増やしましょう。
また、外国の栄養士の現場を見たり勉強したりすることも大切です。
最新の論文などは英語で発表されることが多いため、英語を身につけておくと役に立つこともあるでしょう。
栄養士の需要のまとめ
栄養士が活躍する業界は多岐にわたります。病院がもっとも多く、介護保険施設や官公庁、スポーツクラブなどさまざまな場所で必要とされる需要の高い職業です。
しかし、有資格者の増加で飽和状態にあることも事実です。管理栄養士の資格を取得したり、携わっている分野の専門資格を取得することで就職の幅を広げ、キャリアアップを狙いましょう。