電機メーカー社員の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「電機メーカー社員」とは
家電や重電製品、コンピュータ製品など、あらゆる電機製品の開発・生産・販売を行う。
電機とは「電気機械」の略で、テレビ・冷蔵庫・洗濯機といった私たちの暮らしに身近な「家電製品」をはじめ、発電機や電池などの「重電製品」、スマートフォンやパソコンといった「コンピュータ製品」あるいは「電子部品」などを指します。
これら電機製品の開発・生産・販売を行う会社が電機メーカーで、そこで働く人が電機メーカー社員です。
電機メーカー社員の職種は、大きく「技術系」と「事務系」の2種類に分けられ、前者はおもに研究開発を、後者は営業や企画、バックオフィス業務などを担当します。
電機は、わたしたちの豊かな日常生活やビジネスに必要不可欠であり、日本の電機製品は世界でもその高い品質が認められています。
電機業界としては大手企業が大きなシェアを持ち、その下請けや部品工場も多数存在しています。
現代の電機メーカーは海外市場の開拓が進み、「グローバル」をキーワードに事業を広げる企業が増えています。
「電機メーカー社員」の仕事紹介
電機メーカー社員の仕事内容
さまざまな電機製品の開発・生産・販売を行う
電機とは「電気機械」の略で、以下のようなものを指します。
・テレビや冷蔵庫などの「家電製品」
・パソコンやスマートフォンなどの「コンピュータ製品」
・各種製品で使用される「電子部品」
など
こうした電機製品の開発・生産・販売を事業として手掛ける会社を、電機メーカーといいます。
電機製品には幅広い分野があるため、企業によっては「音響機器」「工作機械」「照明器具」などに分野を絞り、専門性を高めた事業展開を行っています。
一方、さまざまな事業を複合的に手掛ける大きな企業もあります。
「国内大手電機メーカー」に分類されるのは、日立製作所、東芝、三菱電機、パナソニック、ソニー、シャープ、NEC、富士通の8社です。
なかでも、発電施設や工場、商業施設で用いられる設備などの「重電製品」を手掛ける企業は「総合電機メーカー」と呼ばれ、上記のうち日立、東芝、三菱の3社が該当します。
電機メーカー社員の職種と業務内容
電機メーカーは、さまざまな部門に分かれ、多様な役割をもつ社員が活躍しています。
電機メーカーに特有の部門や職種の一部を紹介します。
<技術系>
・研究開発
・機械、電気設計
・生産技術
・品質管理
<事務系>
・営業
・マーケティング
・資材調達
・法務/知的財産
など
このほか、他業界の企業と同じように、総務や人事、経理などの管理系職種、いわゆる「バックオフィス」として働く社員も多数います。
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電機メーカー社員になるには
各電機メーカーの採用試験を受ける
電機メーカー社員として働くには、各社が実施する採用試験を受ける必要があります。
中堅から大手の電機メーカーでは、定期的な新卒採用を実施する企業が多いです。
募集職種は「技術系」と「事務系」の2区分に分かれていることが多く、技術系は研究開発や設計、生産技術、品質管理などの技術的な業務を担います。
事務系は営業をはじめ、マーケティングや資材、経理、人事といった業務に配属される可能性があります。
技術系・事務系ともに新卒はたいてい「総合職」として一括採用され、入社後に本人の希望や適性、会社の人員計画などを踏まえて配属先が決定されます。
志望先によっては学歴や学部・学科が限定される
電機メーカー社員のなかでも、技術系職種に関しては、とくに理系要素の強い業務を担当します。
基本的には、工学部(電気・電子、情報、機械系)をはじめ「大学の理系学生」もしくは「高等専門学校の学生」を対象とした採用活動が行われており、研究開発職については「博士課程修了者」のみを対象とする企業もあります。
一方、事務系については、学部・学科を問われることはまずありません。
大手電機メーカーは知名度の高さもあって非常に人気があり、採用試験の倍率は高くなりがちです。
業界研究や企業研究を十分に行って就職活動に臨む必要があります。
電機メーカー社員の学校・学費
大手企業を志望するなら大卒や大学院卒の学歴が必要
大手電機メーカーの新卒採用試験においては、たいてい「大卒以上」の学歴が条件となっています。
事務系については、全学部・全学科を対象に広く採用されますが、技術系の場合、一般的に電気・電子系、機械系、情報・通信系の学部出身者が対象とされます。
大手電機メーカーを志望するなら、少なくとも大学には進学しておくことをおすすめします。
電機メーカーの仕事のなかでも、とくに高度な専門知識やスキルが求められる「研究職」については、大学院での研究経験があり、実験手技に精通した学生が採用の中心となっています。
大学によっては研究室と電機メーカーのパイプがあり、推薦によって就職が決まる可能性もあります。
電機メーカー社員の資格・試験の難易度
業務上必要な知識は研修などで入社後に習得
電機メーカーに新入社員として採用される際に、なんらかの資格が求められることはないと考えておいてよいでしょう。
技術職の場合、志望する職種に応じた技術分野が明確に示されていることはありますが、資格はほとんど求められません。
業務上必要な知識やスキルなどは、新人研修や現場配属後の指導を受けて身につけることが可能です。
とくに大手電機メーカーの研修制度は充実しており、新入社員のためのビジネスマナー研修をはじめ、リーダーや管理職へ昇進するなど、各キャリアの段階ごとに研修が用意されていることが多いです。
ただ、職種によってはIT系の資格、普通自動車免許、TOEICなど語学力を示せる資格があると、業務に役立つこともあるでしょう。
電機メーカー社員の給料・年収
平均年収は勤務先による差が出やすい
民間求人サービス各社のデータを見ていくと、電機メーカー社員の平均年収は500万円~550万円ほどになると考えられます。
ただし、電機メーカーは超大手といえる企業から中堅・小規模な企業まで事業規模はさまざまで、給与水準や待遇は企業ごとに異なります。
業界最大手の企業では、平均年収が800万円~900万円ほどに達しているところがある一方、小さな企業は平均以下のところもあります。
電機業界では、まず企業の規模によって収入差が開きやすいといえるでしょう。
また、一般的には部品よりも製品を作るメーカー、下請けよりも一次請けの企業で働くほうが給料がよくなります。
電機メーカーのなかでも、独自の技術分野を持つ企業ほど、競合が少なく売上や利益率も大きくなり、収入が上がりやすいです。
電機メーカー社員が収入を増やすには
経験が重視されやすい電機メーカーでは、どの企業に勤務する場合でも、勤続年数が増えれば確実に年収を上げていくことができるでしょう。
中長期的に人材育成に取り組む企業が多く、大手メーカーで順調に昇進すれば40代以上で1000万円以上を得ている人もいます。
また、専門的なスキルやノウハウを身につけていたり、積み上げてきた確かな実績があると、転職をきっかけにポジションを上げて収入を大幅に増やせる可能性があります。
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電機メーカー社員の現状と将来性・今後の見通し
大手メーカーの存在感は大きいが、国内市場は縮小傾向
国内において、電機メーカーは市場規模、就業者数ともに屈指の産業です。
人々の日常生活やビジネスのあらゆる場面で電機が活用されており、さまざまな電機製品を手掛けるメーカーが存在します。
現状でのニーズは旺盛といえますが、今後は人口減や産業構造の変化によって国内市場はさらに縮小するでしょう。
また、海外メーカーに押され気味の分野もあるため、これからは日本の電機メーカーが強みを出していける分野が、より絞り込まれていくと考えられています。
すでに各社はグローバル展開やIT・ネットワーク技術による独自の提案などにより、活路を見いだそうとしています。
就職先を探す際には、各社の経営方針や事業展開をよく調べておきましょう。
電機メーカー社員の就職先・活躍の場
さまざまな強みや特徴をもつ電機メーカーがある
「電機」が指す製品の種類はさまざまであり、各種機器の用途や、製品に使われている技術などは、それぞれに異なっています。
電機メーカーをさらに細かく分けると、以下のような企業があります。
・総合電機メーカー
・総合家電メーカー
・総合エレクトロニクスメーカー
・音響・映像系メーカー
・重電メーカー
・光学系メーカー
・精密電気機器メーカー
・照明器具メーカー
・電子部品メーカー
「総合電機メーカー」にあたるのは、日立製作所、東芝、三菱電機の3社です。
これらにパナソニック、ソニー、シャープ、NEC、富士通の5社を加えた8社が、一般的には「大手電機メーカー」と呼ばれます。
大手企業以外でも、特定の領域に強みがあり、専門性をもった中小の電機メーカーが多数存在しているのが業界の特徴です。
電機メーカー社員の1日
職種によって1日の流れはまったく異なる
電機メーカー社員のスケジュールは、企業ごとに、また所属部門や担当業務によっても大きく変わります。
終日オフィスワークをする社員もいれば、外回りで顧客との打ち合わせを中心にする社員、あるいは研究所で研究業務に没頭する社員などもいます。
ここでは一例として、総合電機メーカーで働く生産技術職の1日をご紹介します。
電機メーカー社員のやりがい、楽しさ
世界を意識した「ものづくり」ができる
日本は「技術立国」という言葉に端的に表されるように、卓越した工業技術をもとに経済を発展させてきました。
とくに大手電機メーカーは世界的なブランドを確立しているところが多く、そこで働く社員はグローバルを意識したビジネスに関わっていくことができます。
広い視野をもって多様な業務を経験しながら、ビジネスパーソンとして成長していける環境があることは、電機メーカー社員にとってのやりがいにつながるでしょう。
また、電機メーカーが生み出す製品は、人々の日常生活で頻繁に使われたり、あらゆる業界のビジネスを支えたりしています。
社会を支えるものづくりができることをやりがいに感じている社員も多いです。
電機メーカー社員のつらいこと、大変なこと
電機業界は激動の時代を迎えている
これまでの電機メーカーは、誰もが知る名だたる大企業をはじめとして、業界全体で安定しているイメージが強く、就職できれば終身雇用は半ば約束されているような側面もありました。
しかし、現代では電機業界の移り変わりも早くなり、新興国メーカーが大きくシェアを伸ばしてくると、価格面で世界競争力を失った国内メーカーは急激な業績悪化につながっているケースも見られます。
たとえ電機メーカーに就職しても生涯安泰というわけではなく、先行きに不安を感じる人も出てくるでしょう。
業界内でも、大手メーカーは比較的安定しており待遇もよいですが、とにかく従業員数が多いために個性はやや発揮しづらいといえます。
「個人の自由」を強く求めるような人にとっては、どうしても窮屈に感じるかもしれません。
電機メーカー社員に向いている人・適性
チーム内で自分の役割をまっとうできる責任感や協調性のある人
電機メーカーの仕事は、企画開発や営業、マーケティングなど、たくさんの部署の社員と協力して仕事を進めることになります。
とくに大手メーカーは非常に大所帯となるため、集団のなかで、各社員がそれぞれの役割をまっとうすることが非常に重要です。
また、電機メーカーは歴史ある企業が多いこともあり、従来のやり方を踏襲することや、チームの和を乱さないことが重視されるケースもめずらしくありません。
もちろん、自分の意見やアイデアを発信する「主体性」や「積極性」を求める企業も多くありますが、あくまでも組織の一員として、周囲と連携しながら確実に業務を進められるタイプの人に向いているといえます。
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電機メーカー社員志望動機・目指すきっかけ
「ものづくり」に深く関わる業界で働きたい人が多い
電機業界は、わたしたちの日常生活にも深く結びついており、また取り扱う製品をイメージしやすいことが特徴です。
新製品や新技術が日々開発されているというイメージも持ちやすいため、「ものづくり」に関係する仕事がしたいという思いから、電機メーカーを目指す若者は多くいます。
とくに家電製品を多く扱うメーカーを志望する場合には、「その会社の製品が好きだから」という理由を話す人も多いようです。
もちろん「好き」という気持ちも大切ですが、電機メーカーは、企業によって製品や事業規模、社風に違いがあります。
各社の事業展開や特色をよく調べて理解し、その会社でどのように貢献したいのか、具体的に話せるように心がけましょう。
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電機メーカー社員の雇用形態・働き方
正社員として安定的に雇用される社員は多い
電機メーカー社員は、正社員として雇用されるケースが多いです。
新卒採用によって入社した人は、はじめから正社員として研修・教育を受け、各配属先で実務に就きながらステップアップを目指せます。
なお、大手電機メーカーは日本各地に拠点があったり、グループ内に複数の子会社を抱えたりするところもあり、キャリアの途中で転勤や出向を命じられる可能性もゼロではありません。
中途採用でも、即戦力になれる人材が正社員として迎え入れられるケースはしばしば見られます。
営業職や事務職、企画職など、一部の職種では契約社員や派遣社員がやや多めに雇用されることもあります。
電機メーカー社員の勤務時間・休日・生活
配属部門や職種によって勤務体系が異なることも
電機メーカー社員の勤務時間は、配属部門や職種、担当業務などによって異なります。
本社勤務などオフィスワーク系職種の場合、平日の8:30~17:30など、一般的な「日勤」の働き方が中心です。
土日祝日は休みとなる企業が多いでしょう。
一部の職場では「フレックスタイム制度」が取り入れられていたり、出産・育児中の社員を対象とした「短時間勤務制度」が導入されていたりし、より柔軟な働き方が可能です。
ただ、電機メーカーでは本社勤務以外にも、全国各地の支社や研究施設、あるいは工場で勤務する社員がいます。
研究施設では朝がやや早めであったり、工場では状況によって夜間も含めたシフト制勤務となったりすることもあります。
電機メーカー社員の求人・就職状況・需要
大手企業では毎年数百人単位の採用を実施している
大手電機メーカーは事業規模が非常に大きいことから、毎年定期的に新卒者を迎え入れています。
最も採用人数が多いところでは「事務系・技術系」あわせて毎年500名~1000名程度に内定を出しており、かなり活発な採用活動が行われているといえるでしょう。
なお、電機メーカーでは「ものづくり」が事業の軸になることから、事務系職種に比べると、技術系職種のほうが2~3倍ほど多めに採用されるケースが一般的です。
技術系職種では、とくに大学・大学院での専攻内容や研究分野と、実務内容の「マッチング」が重視される傾向にあります。
自分が学んできたことをどう生かせるかという観点で、就職先を探していくとよいでしょう。
就職試験は簡単というわけではない
いくら電機メーカーの採用人数が多めだとはいっても、就職試験が楽というわけではありません。
むしろ、知名度があり待遇もよい大企業には、多くの学生が応募するため、数十倍以上の倍率になることも十分に考えられます。
志望者が多い企業ほど、応募直後の書類選考やエントリーシートで、いわゆる「足切り」を行う傾向です。
とくに大手志望の場合、気を抜かずに試験に臨まないと、なかなか内定を得るのは難しいと考えておくべきでしょう。
電機メーカー社員の転職状況・未経験採用
電機業界は転職市場での人気も高い
電機メーカーは有名な大手企業のほか、知名度はさほど高くないものの、経営状況や待遇のよい「隠れ優良企業」も多いといわれます。
企業数もたくさんあるため、転職によって電機メーカーに移ることは可能といえるでしょう。
ただし、中途採用は長期的な育成を前提とする新卒採用とは事情が異なり、欠員が生じた場合や業務拡大に合わせて必要となる職種を、ピンポイントで募集するケースがほとんどです。
このため、希望する職種・勤務地での求人がすぐに見つかるとは限りません。
特別な業界経験や技術がないと、なかなか応募できる企業が見つからなかったり、採用されなかったりすることもあるでしょう。
まずはさまざまな企業の求人内容をチェックして、アピールできるスキルや実績をまとめていくことが必要です。
大手の電機メーカーはどこ?
総合電機メーカーをはじめとする有名企業が中心
ひとことで「電機」といっても、それが指すものは、家電や音響・映像機械、精密機器、電子部品など多岐にわたります。
電機メーカーのなかには、総合的に企画や製造を行っているメーカーもあれば、各分野・製品群に特化したメーカーもあります。
一般的に電機業界で「大手メーカー」といわれるのは、まず「総合電機メーカー」に分類される「日立製作所」「東芝」「三菱電機」です。
加えて、「パナソニック」「ソニー」「シャープ」「NEC」「富士通」を合わせた計8社を指すことが多いです。
これらの大手メーカーの多くが、本社のほか、日本各地に支社や研究所などを置いています。
また、自社の生産業務や販売業務などを専門的に手掛けるグループ会社をいくつも持っていたり、グループ全体で数万人以上の従業員を抱えていたりと、規模の大きさが際立っています。