中学校教師採用試験の難易度は? 合格率や倍率の推移を紹介

中学校教師採用試験は、かつては厳しい競争の場でしたが、現在では倍率が下がる傾向となっています。

教員不足を訴える自治体もある中で、志望者にとってはチャンスともいえます。

この記事では、中学校教師採用試験の難易度、合格率、倍率について解説します。

中学校教師の採用までの流れ

中学校教師として採用されるためには、一般的には以下のステップに沿って進みます。

まず、大学や短大で教育課程を修了し、中学校教諭の免許状を取得します。

これには教育実習などの専門的な勉強が含まれます。

その後、公立中学校を志望する場合は、所属する自治体が実施する教員採用試験を受験します。

合格すれば採用されます。

ただし、中には高等学校の教諭免許状も必要とする自治体もあるため、注意が必要です。

私立中学校の教員を目指す場合も、各学校が独自に行う教員採用試験に合格する必要があります。

教育への情熱と専門的な知識が必要で、教育者としての使命感を持つことが大切です。

中学校教師になるには? 必要な資格や免許は?

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中学校教員採用試験の受験資格

教員採用試験は、自治体ごとに異なるルールと試験内容で行われています。

一般的に、受験資格には中学校の教員免許状と志望する教科の教員免許状が含まれます。

年齢制限は一部の自治体を除いて緩和されつつあり、中には59歳まで受験可能な場合もあります。

これにより、さまざまな経験やキャリアを持つ人々が教職に挑戦する機会が広がっています。

しかし、一般的な受験資格に加えて、以下のような欠格事項があります。

地方公務員法第16条の欠格事項
  • 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
  • 当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
  • 人事委員会又は公平委員会の委員の職にあって、同法第六十条から六十三条までに規定する罪を犯し刑に処せられた者
  • 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
学校教育法第9条の欠格事項
  • 禁錮以上の刑に処された者
  • 懲戒免職の処分を受け教員免許状が失効している人で、失効の日から3年を経過していない者
  • 法令違反や素行不良などにより教員免許状取り上げの処分を受けた人で、失効の日から3年を経過していない者
  • 日本国憲法またはその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党や団体を結成、またはこれに加入した者

詳細な受験資格については、各自治体の要項を確認しましょう。

中学校教員採用試験の合格難易度

教員採用試験はその年によって倍率が変動し、受験者にとっての難易度も大きく変わることがあります。

採用試験の倍率は教科や自治体によって異なり、特に需要の高い教科や人気のある自治体では競争が激化することがあります。

このため、受験者は志望する教科や勤務地を検討し、競争率を踏まえて準備をする必要があります。

また、一般選考以外の試験や特別選考制度がある自治体もあります。

社会人経験者向けの特別選考など、自身の経歴や特性に合わせた受験方法を検討することで、有利な条件で採用試験に臨むことができるかもしれません。

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中学校教員採用試験の合格率

教員採用試験は、各自治体によって生徒数・学校数が異なるため、採用数にもばらつきがあります。

しかし、全国的にみると公立学校教員の採用試験倍率は下がり続けています。

その主な理由の一つは、教員の退職者数の増加です。

過去に大量採用された教員世代が退職を迎え、その後継者を必要とする時期になっていることのほか、採用されても早期に退職する教員が増加しているのです。

こうした退職者の増加に対応するため、公立学校は多くの新たな教員を大量に採用する必要があり、これが採用試験の倍率低下につながっています。

一部の地域では競争率が3倍を切り、教員の質を維持することが難しい状態になっています。

また、より希望に合った自治体で働きたいと、複数の自治体の試験を受験する人も多くいます。

これにより、重複合格者が辞退する可能性もあり、とくに地方では実質的な倍率はさらに低下する可能性があるとされています。

実際、実家のある自治体や、教員免許を取得した短大・大学の所在地で中学校教員の採用数が少なく合格が難しそうであれば、他の都道府県市町村の試験を受けるという人もいます。

中学校教師採用試験の受験者数・合格率・倍率

中学校教師採用試験受験者数

中学校教員採用試験の受験者数は近年4万人前後で推移しています。2023年度の受験者数は41,048人でした。

中学校教師採用試験受験者数_2023

中学校教師採用試験採用者数

中学校教員採用試験の2023年度の採用者数は9,589人となりました。団塊世代の退職者が増え、教員を増員する必要があったためですが、採用増も一段落し、今後は横ばいとなっていくと予想されます。

中学校教師採用試験採用者数_2023

中学校教師採用試験採用倍率

採用倍率はかつては18倍ほどありましたが、採用増に伴い倍率は低下し、最近は5倍前後となっています。2023年度試験の採用倍率は4.3倍となりました。

中学校教師採用試験採用倍率_2023

中学校教師採用試験受験者男女比率

以前は女性の受験者比率が高かった中学校教諭採用試験ですが、2006年から男女比率が逆転しています。2022年度の受験者男女比率は男性73.3%、女性26.7%となりました。

中学校教師採用試験受験者数男女比率_2022

中学校教師採用試験採用者男女比率

採用者の男女比率の割合は、受験者数の比率と比べるとやや女性が多くなっています。2022年度の採用者男女比率は男性62.0%、女性38.0%となりました。

中学校教師採用試験採用者数男女比率_2022

2023年度 中学校教師採用試験受験者の新卒・既卒比率

2023年度の中学校教師採用試験の受験者の割合は新卒が37.7%、既卒が62.3%でした。臨時教員として働きながら、試験を受ける人が多いため、既卒の割合が多い傾向にあります。

中学校教師採用試験新規・既卒受験者の割合_2023

2023年度 中学校教師採用試験受験者の新卒・既卒採用率

採用率とは、「採用率(%)=採用者数/受験者数」で算出される数字です。中学校教師採用試験においては、新卒生のほうが、やや高い採用率となっています。2023年度は新卒23.5%、既卒22.2%、全体23.4%でした。

中学校教師採用試験新規・既卒採用率_2023

2023年度 中学校教師採用試験受験者の学歴別採用率

中学校教師採用試験の学歴別採用者数は一般大学が最も多く6,268人となっています。一般大学の採用率は19.8%、教員養成大学の採用率は42.0%となっています。なお、「教員養成大学・学部」とは、国立の教員養成大学・学部出身者のことを指します。

中学校教師採用試験学歴別採用者数_2023

中学校教師採用試験試験の概要

中学校教師の採用試験は、各都道府県で行われます。詳細については各都道府県のホームページをご確認ください。

試験日

一次選考は7月、二次選考は8月に実施。

受験資格

受験する教科(科目)の中学校教諭普通免許状
受験する教科(科目)の高等学校教諭普通免許状
◆中学校、高等学校の両方の免許状が必要です。 

試験内容

<第一次選考>
教職教養〔60分間〕
専門教養〔60分間〕
論文〔90分間〕

<第二次選考>
面接:集団面接、個人面接
実技:◆中高共通、小中共通、特別支援学校の音楽・美術・保健体育・英語の受験者が対象です。

※詳細および最新の情報は各都道府県の教員採用ホームページをご確認ください。
東京都教員採用選考の案内

まとめ

中学校教師採用試験は、各自治体で独自に行われています。

近年は退職者の増加や志望者の減少から倍率が下がりつつあり、自治体によっては教員を確保するのが困難な状況となっているところもあります。

一方で、教育委員会などが新たな対策を模索し、受験年齢制限の緩和や特別免許状の活用などの試みも行われています。

中学校教育の質を維持し、教員不足を解消するための努力が求められています。