中学校教師(中学校の先生)の年収・給料はいくら? 初任給や手取り額も解説
この記事では、中学校教師の給料の仕組みや実際の支給額について、詳しいデータも取り上げながら解説します。
初任給や手取り額、ボーナスなどについても紹介しているので、ぜひ将来の進路選択にお役立てください。
中学校教師の平均年収・給料の統計データ
まずは国が公表するデータを見ながら、中学校教師の平均年収・給料について解説します。
中学校教師の平均年収・月収・ボーナス
賃金構造基本統計調査
厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、中学校教師の平均年収は、41歳で661万円ほどとなっています。
※出典:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」
※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。
また、総務省の令和5年地方公務員給与実態調査結果等の概要によると、小・中学校教育職の平均給与月額は、41.6歳で408,593円となっています。
この金額は、平均給料月額350,661円に、諸手当57,932円を加算したものです。
中学校教師の手取りの平均月収は32~33万円
各種の調査データから、中学校教師の給料は、平均年収が700万円で、月に支給される給料は40万円ほどと考えられます。
税金などの各種控除を差し引くと、実際に手に入る年収は560万円ほどで、月の手取りは32~33万円程度と考えられます。
ただし、この数字は「小・中学校教育職」というカテゴリーに含まれる小学校教師や幼稚園教諭も含んでいるため、中学校教師だけに関する正確な数字ではありません。
また、公立学校で働く中学校の先生は地方公務員の身分となり、その給料は「各自治体が定める給料表」に基づいて支給されます。
したがって、勤務する地域によって給与額には違いが出ます。
各種手当も自治体の条例に基づいて支給されます。
一般的な公務員の手当としては、「扶養手当」「住居手当」「通勤手当」「期末・勤勉手当(ボーナス)」などがあり、ほとんどの場合、これらの手当を受けることができます。
中学校教師の初任給は22~26万円
中学校教師の初任給は、採用される自治体や学歴、勤務する学校の種類、年度などによって異なります。
全国的に見ると、22万円から26万円ほどが一般的な範囲とされています。
たとえば東京都では、新卒者が都内(島しょ地域を除く)の中学校に採用された場合の初任給(2024年4月1日現在)は、次のようになります。
- 大学卒:約265,100円
- 短大卒:約244,700円
初任給とは、月給に加えて教職調整額、地域手当、義務教育等教員特別手当、および給与の調整額(該当者のみ)を合算した金額のことです。
さらに、「扶養手当」「住居手当」「通勤手当」「期末・勤勉手当」などのさまざまな手当も、規則に基づいて支給されます。
また、離島などの特別な学校で働く場合は、別途手当などが規則に基づいて支給されます。
中学校教師の勤務先の規模別の年収(令和5年度)
中学校教師の年収は、勤務先の規模が大きくなるとやや高くなる傾向があります。
10〜99人規模の事業所に勤める中学校教師の平均年収は559万円、100〜999人規模は628万円、1,000人以上の規模では832万円、10人以上規模の事業所平均は661万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「小・中学校教員」で小学校教諭など他職業を含むデータです。
※賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。
中学校教師の勤務先の年齢別の年収(令和5年度)
中学校教師の年収を年齢別に見ると、年齢の上昇にしたがって、年収も上がっています。最も年収が高い世代は、50~54歳と55~59歳の933万円です。
全年代の平均年収は661万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「小・中学校教員」で小学校教諭など他職業を含むデータです。
中学校教師の福利厚生
公立学校で働く中学校教師は、地方公務員としてさまざまな福利厚生が整った環境で働けます。
休暇制度に関しては、有給の年次休暇だけでなく特別休暇も充実しており、民間企業の社員と比べても恵まれているといえるでしょう。
さらに、基本給とは別に支給される手当もさまざまな種類があります。
教師特有の手当としては、災害時の緊急業務や引率指導業務、部活動の指導に従事した場合に支給される「教員特殊業務手当」や、学年主任などの役職に就くと支給される「教育業務連絡指導手当」などがあります。
ただし、給与月額の4%は教職調整額として支給されるため、残業しても「時間外勤務手当」は支給されません。
私立学校の場合は、各学校ごとに定められた福利厚生が適用されるため、勤務先の学校によって内容が異なります。
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中学校教師の給料・年収の特徴
ここからは、中学校教師の給料・年収の特徴を解説します。
大きく3つのポイントがあります。
特徴1.安定した収入が望めるが、業務量は多め
公立中学校の教師は、業務時間外にも仕事をしている人が多いです。
とくに担任を持っている教師や、活発な部活動の顧問や主任業務を担当する教師は、非常に忙しい日々を過ごす傾向にあります。
文部科学省の令和4年度教員勤務実態調査集計(速報値)によると、中学校教師(教諭)の在校等時間は、平日が11時間1分、土日が2時間18分です。
抱える業務の幅が広く、量も多いために、「教材準備の時間が十分にとれない」「作成しなければならない事務書類が多い」などの悩みを抱える教師も多くいます。
公立中学校の教師は公務員として働いているため、安定した収入が期待できますし、長い期間働くこともできますが、決して楽な仕事とは言えません。
仕事を家に持ち帰っている教師も少なくありませんし、休日返上で仕事をしている教師もいるのが実情です。
特徴2.残業代が支給されない
管理職以外の公立中学校教師には「教職調整額」という手当が支給されます。
これは、通常の職業における「時間外勤務手当」と同様のものです。
そもそも教員の業務は、家庭訪問や学校外での教育活動など、時間で厳密に管理しにくいものが多いです。
そのため、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」に基づき、給料の月額の4%が教職調整額として支給されることになっているのです。
ただし、この「4%」が妥当な金額なのかについては、現在も疑問の声が上がっています。
教師の志望者を増やすために、今後は10%程度に引き上げるという議論もなされています。
特徴3.教師の給料は低めと感じる人もいる
教師の給料については、一般的には高いといわれていますが、実際のところは低いと考える人もいます。
たしかに、公立学校の教師は同じ地方公務員の事務職などと比べると給料が高めです。
しかし、教師といっても、学校によって校風や職場環境、指導のスタイルなどが異なります。
一部の学校では穏やかな雰囲気で指導が行われる一方で、風紀が乱れており生活指導に力を入れなければならない学校も存在します。
そのため、勤務先によって、仕事の大変さも大きく変わってくると考えておく必要があるでしょう。
また、教師は教科や生活指導に加えて、保護者対応や行事の運営、部活動の顧問など、さまざまな業務を担当しています。
このような業務内容や心労を考慮すると、人によっては、教師の給料は決して高いとは感じられないかもしれません。
中学校教師が収入を上げるためには?
公立学校の教師は地方公務員として雇用されるため、勤続年数が増えると給料も上がっていきます。
さらに、指導教諭、主幹教諭、教頭、校長などの管理職に昇進することで、職階に応じた手当を受けることができます。
中学校教師が収入を増やすためには、長期間にわたって教師として勤め、経験や実績を積み重ねながら管理職を目指すことが一般的な方法です。
また、まれではありますが、教育に関する広範な専門知識や優れた指導力を生かして、より待遇の良い私立学校で働く道を選ぶ人や、別の教育関連の職種に転職する人も存在します。
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「中学校教師の年収・給料」まとめ
公立学校の中学校教師は地方公務員として働き、勤続年数が増えると給料も上昇します。管理職になれば手当も加算されます。
平均年収は一般的な事務業務に従事する地方公務員より高めですが、その金額は仕事の大変さや責任を反映しているともいえます。
決して楽なばかりの仕事ではないため、中学校教師を目指すのであれば、給料・年収面だけではなく、仕事そのものにやりがいを感じることができるかも大事です。