消防士と消防団員の違い

日本の消防組織

消防士と似た名前を持つ仕事として「消防団員」というものがあります。

この両者について混同されてしまうこともしばしばあるようですが、役割や業務内容などには明確な違いがあります。

まずは、日本国内の消防組織について説明しましょう。

日本国内の消防組織は、国の機関である「消防庁」と、地方自治体が所轄する「消防本部・消防署」、さらに「消防団」という構成になっています。

このうち、消防団員とは、各市町村に設置される消防機関である「消防団」に所属して活躍する人のことをいいます。

消防署は常備の消防機関であるのに対し、消防団は普段は別の仕事をしている住民が、火災・風水害・震災時に消防団員となって消防活動を行う非常備の消防機関です。

消防団の役割

もともと、消防団では火災の消火のほか、災害時の救助・救命活動、防災の啓蒙活動など、住民自らが地域の安全を守るための消防組織としての役目を担ってきました。

とくに高齢化が進む地方では消防署だけでは対応できず、消防団がかなり大きな存在感を示していることも珍しくありません。

自分たちで町を守ろうという自治の考え方が浸透してきたこともあって、ここ数年のあいだに、女性消防団員の数も増えてきたようです。

主婦や若い学生などが自主的に参加を申し出ています。

消防士と消防団員の立場

消防士は地方公務員であり、所属は市の職員ということになります。国家試験ではなく、所属する市町村の採用試験を受けて採用される必要があります。

合格後は、半年のあいだ消防学校へ入校することが義務づけられています。卒業が認められた後に、消防専門の任務に就くことになります。

一方、消防団は準公務員という位置づけではありますが、市の職員ではありません。常勤ではないので、非常勤特別職地方公務員と呼ばれます。

消防団員は、自営業や会社員などふだんは自分の仕事をもちながら、災害時に出場するような体勢をとっています。

入団については所属する町によって異なりますが、定期的な募集を行っていたり、欠員などに備えて随時募集を行っていたりする町もあります。

ほとんどの消防団が一般の市民・町民によって構成され、町の防火と安全のためにボランティアで参加しています。

給料・待遇の違い

消防士の場合、地方公務員としての給料や待遇が適用されます。職務の危険性などから一般的なデスクワークの地方公務員よりも給与水準は高めとなっており、諸手当の支給や福利厚生なども充実しているといえるでしょう。

一方、消防団は基本的にはボランティアでの活動となります。

しかし、多くの市町村で年間に数万円程度の報酬と、訓練に出動した際には1回あたり数千円程度の出動手当を支給しているようです。

このほか、消防団としての活動で死傷した場合には公務災害補償金の対象となるなどいくつかの待遇もありますが、基本的に消防団だけで生活していくのは不可能と考えておいたほうがよいでしょう。