保育士と幼稚園教諭の違い

保育士と幼稚園教諭の仕事内容の違い

保育士と幼稚園教諭は、どちらも子どもと深く関わる仕事ですが、それぞれ仕事内容や役割は異なります。

保育園などの保育施設において、保護者に代わって、食事や排泄など基本的な生活習慣を身に付けさせることや、それを援助することが保育士の役割です。

保育園は朝7時頃から夜7時ごろまで子どもを預かります。

最近では夜間保育を行う保育園も増えており、深夜から朝まで子どもを預かる保育園もあります。

一方、幼稚園は学校の一種となり、生活面や知識などについての教育・指導をしていくことを目的としています。

そこで働く幼稚園教諭も、教育・指導にあたりながら子どもの成長を支援します。

幼稚園で子どもが過ごす時間は、1日あたり4~5時間程度ですが、幼稚園教諭は保育士よりも多くの子どもを一度に見ることになります。

保育士も幼稚園教諭も、子どもが健康的に成長できるよう、支えていく仕事であるということは共通しています。

幼稚園教諭の仕事

保育士と幼稚園教諭のなる方法・資格の違い

保育士や幼稚園教諭の仕事に就くためには、各養成課程のある学校で所定のカリキュラムを修了する必要があります。

また、なるために必要な資格もそれぞれ異なります。

保育園は厚生労働省の管轄で、保護者に代わって子どもの日常生活を援助する施設です。

そのような保育園で働く場合は、厚生労働省の認定する「保育士」の資格を取得する必要があります。

一方、幼稚園は学校の一種に分類されるため文部科学省の管轄となり、幼稚園で働く場合には、「幼稚園教諭免許」が必要です。

養成学校のなかには、決まった科目を履修することによって、卒業時に両方の資格・免許を取得できる学校も多くあります。

資格・免許を取得してからは、保育士として働きたい場合は保育園や保育施設を中心に、幼稚園教諭として働きたい場合には幼稚園教諭採用試験を受けるのが、一般的なルートとなります。

なお、最近では保育と教育を同じ場所で行う「幼保一体施設」が増えており、保育士と幼稚園教諭の両方の資格を持つ人が優先的に採用されるケースも増えています。

保育士と幼稚園教諭の資格・必要なスキルの違い

保育士と幼稚園教諭は、なるために必要なスキルも異なります。

保育士を目指す場合には、年齢に応じた子どもの成長度合いやお世話の方法など、保育に関する専門知識を身につけなくてはなりません。

幼稚園教諭は、子どもに対して教育をする際に必要な知識を身につけ、子どもにわかりやすく指導する技術も身につけておく必要があります。

どちらにも共通して求められるのは、子どもを愛する気持ちや、子どもをまっすぐに育てていこうとする責任感・使命感などです。

保育士と幼稚園教諭の資格は、特定の養成施設へ進学して学べば国家試験などは受けず、卒業と同時に取得が可能です。

幼稚園教諭免許については、卒業した学校の種類によって「専修(大学院の学位)」「1種(大学の学位)」「2種(短大の学位)」の3種類があります。

なお、幼稚園教諭の場合は、保育士としてすでに経験を積んでいる人であれば、幼稚園教諭資格認定試験を受けることで「2種免許状」を取得することも可能です。

保育士と幼稚園教諭の学校・学費の違い

保育士と幼稚園教諭になるためには、それぞれの養成課程を置く学校へ進学する必要があります。

保育士を目指していく場合、4年制大学・2年制の短大・専門学校(一部は3年制)があります。

大学であれば、4年間で400万円程度は必要になることが一般的です。

短大や専門学校では大学よりも100万円以上学費を抑えられますが、短期間で日常的な勉強と実習までこなさなければならず、かなり忙しい生活になります。

幼稚園教諭を目指していく場合、幼稚園教諭養成課程のある学校としては、大学院・大学・短大・専門学校があります。

通信制大学(短大)でも、資格取得が目指せるところがあります。

学費については、大学は国公立と私立とで大きな差が出やすく、私立は国公立の倍以上になることも珍しくありません。

2年制の短大では在学する期間が短い分、学費は安く抑えることが可能です。

保育士と幼稚園教諭の給料・待遇の違い

保育士と幼稚園教諭の給料を比較すると、幼稚園教諭のほうが、やや高めの給与水準となっているようです。

ただし、就職先の種類や地域によっても異なるのが実情です。

保育園も幼稚園も公立と私立の施設があり、公立で働く場合は地方公務員となるため、各地方自治体の給与規定に基づく給料が支払われ、待遇面も安定しているといえます。

そのため、保育士も幼稚園教諭も公立の施設で働きたい人が多く、就職の倍率は高くなりがちです。

私立の場合は給料も待遇も施設によってまちまちで、公立以上によい場合もありますが、そうでない施設も少なくないようです。

なお、卒業した学校の種類によって初任給に差がつくこともあり、たとえば短大を卒業した人よりも4年制大学を卒業した人のほうが、優遇されるケースがあります。

保育士と幼稚園教諭はどっちがおすすめ?

保育士と幼稚園教諭は、どちらも子どもと密に関わっていくことができる仕事です。

ただし、子どもの生活面のお世話により深く携わりたいのであれば保育士を、教育という面に力を入れていきたいのであれば幼稚園教諭を目指すほうが、自分のやりたい仕事に近づけるのではないでしょうか。

ただし、どちらの仕事に就くとしても、子どもとの関わりに加え、一緒に働く保育士・幼稚園教諭や保護者とのしっかりとしたコミュニケーションも必要になります。

なお、保育士は公立・私立の保育園だけでなく、病院などの医療施設や企業内保育所、またベビーシッターなどとしての需要もあり、世の中で待機児童が増えているなかで活躍の場がさらに広がっています。

保育士と幼稚園教諭の両方の資格・スキルを生かしたいという場合には、最近増えている「幼保一体型施設」への就職を考えてみるのもよいかもしれません。