プロボクサーの大変なこと、苦労、減量方法

ファイトマネーだけでは生活ができない

プロボクサーにとって最も大変なことは、やはりファイトマネーだけでは十分な収入にならないということでしょう。

日本チャンピオンを何度も防衛して、ようやく生活できる収入にはなるといわれますが、現実には、世界チャンピオンになるまでアルバイトを続けている人も多くいます。

体重制限におさめるための減量が過酷

ボクサーにとっては、減量も大きな苦労の一つです。試合は体重で区分された階級ごとに行われ、たいてい試合の前日に計量があります。しかも、1階級の体重差は1Kgと少ししかありません。

たとえば、バンタム級の体重制限は「52.163Kg超〜53.524Kg」となっています。制限の範囲におさまっていなければ、正式な試合と認められず、対戦相手にも迷惑をかけます。

体重が増えたら、階級を変えればいいという考え方もありますが、ボクサーには自分の階級にこだわりをもつ人が多かったり、対戦相手との兼ね合いで、簡単には階級を変えられません。

そこで試合前日の計量までに減量することになるのですが、5〜10Kgも減量するボクサーが少なくありません。

といっても、ボクサーはふだんからトレーニングをしていますので、余分な脂肪はついていません。そのうえ、試合を目の前に控えていますので、筋肉量を落とさずに体重を減らす必要があります。

そのため約1ヵ月にわたって、禁酒はもちろん食事制限もする一方で、厳しいトレーニングを続けることで体重を落としていきます。

たとえば、2時間のトレーニングで体重が2Kg落ちれば、そこから食べる量で戻る体重を計算して少量の食事や水分を取るというのが一般的な方法です。

最後は体内の水分を絞りだすことも

減量を始めると、最初の3〜4Kgは順調に減りますが、その後はなかなか落ちていきません。

この段階になっても制限体重をオーバーしていると、食事や水分さえもほとんど摂取せず、体内の水分を絞りだす「水抜き」という過酷な減量になっていきます。これは非常につらい状況になります。

「水抜き」を始めると、体から水分がなくなるので唾も吐けないし、サウナに入ってもなかなか汗が出ないようです。顔の皮膚が水分不足で突っ張り、自然と目が開くという人もいます。

夜、寝ようと思っても空腹で眠れないうえに、自然と目が開き、ほとんど睡眠がとれなくなるそうです。

最終的にはガムを噛んで唾液を出し、それを吐くことで水分を絞りだし、わずかでも体重を減らすこともするようです。

パンチドランカーになりやすい

ボクシングは、パンチドランカーになりやすいといわれています。

「パンチドランカー」とは、頭部への衝撃を繰り返し受けたことで、頭痛や体のしびれ、バランス感覚の喪失などの障害、あるいは認知症のような症状が現れることです。

パンチドランカーについては、遺伝との関わりなど、まだよくわからないことも多いようですが、ボクシングを始め、空手やキックボクシング、アメリカンフットボール、プロレスなど脳への衝撃を受けやすいスポーツに多いことは事実です。

中でも、ボクシング選手に多いため、「パンチドランカー」と呼ばれています。

現在では、パンチドランカーになるのを防ぐため、ボクサーは定期的に脳の検査を受けることが義務づけられています。日本のプロボクサーはライセンスの取得や更新の際、脳の検査を受けることになっています。