裁判所事務官の年収はいくら? 給料についてくわしく解説
裁判所事務官の平均年収・給料の統計データ
裁判所事務官は「国家公務員特別職」にあたる、裁判所職員の一員です。
「行政職俸給表(一)」に基づいて給料が決定されます。
給与水準は高く、勤続年数に合わせて一定の昇給がありますが、採用区分や最終学歴などによって収入に個人差があります。
裁判所事務官の平均年収・月収・ボーナス
裁判所事務官には次の4つの採用区分があります。
- 総合職(院卒者区分)
- 総合職(大卒程度区分)
- 一般職(大卒程度区分)
- 一般職(高卒者区分)
上記のどの区分で就職するかによって、収入は大きく変わるでしょう。
たとえば「総合職(院卒者区分)」と「一般職(高卒者区分)」を比べると、初任給の時点で7万円以上の差があります。
さらに、年齢が上がるにつれて総合職と一般職の年収の差は広がっていくのが一般的です。
裁判所事務官の給料は、国家公務員法に基づく「行政職俸給表(一)」によって決定されています。
平成31年の「国家公務員給与等実態調査」によれば、「行政職俸給表(一)」が適用される職員の平均年齢は43.4歳、平均給与月額は411,123円です。
これは、通勤手当や超過勤務手当などを含まない金額です。
また、裁判所事務官の期末・勤勉手当(いわゆるボーナス)は、「俸給月額などの約4.5か月分」と決まっています。
以上のことから、平均月給の12ヶ月分で約490万円、ボーナス分で約185万円と計算でき、裁判所事務官の平均年収は650万円〜750万円程度と予想されます。
裁判所事務官の初任給はどれくらい?
東京都特別区内に勤務する場合の、裁判所事務官の初任給は次のとおりです。
- 総合職(院卒者区分):255,600円(行政職俸給表(一)2級11号俸)
- 総合職(大卒程度区分):224,040円(行政職俸給表(一)2級1号俸)
- 一般職(大卒程度区分):218,640円(行政職俸給表(一)1級25号俸)
- 一般職(高卒者区分):180,720円(行政職俸給表(一)1級5号俸)
裁判所事務官の一般職は、総合職に比べて事務方の仕事が中心となります。
一般職よりも総合職のほうが初任給は高いですが、採用試験の難易度も高くなるため注意しましょう。
裁判所事務官の福利厚生の特徴は?
裁判所事務官は公務員という立場から福利厚生は充実しています。
休日は一般の公務員と同様に、土日祝休みの週休二日制です。
有給休暇は年間で20日間取得できます。
そのほかにも、以下に挙げるような休暇制度が準備されています。
- 夏季休暇3日
- 結婚休暇5日
- 産前休暇
- 産後休暇
- 子の看護休暇
- ボランティア休暇
- 忌引等
- 病気休暇
- 介護休暇
近年、裁判所ではワーク・ライフ・バランスを推進しているため、子の看護休暇、育児短時間勤務といった育児に関する制度が利用しやすくなっています。
また、国家公務員共済組合連合会の直営病院を利用できたり、連合会が運営する各地の宿泊所に割引き料金で泊まることも可能です。
裁判所事務官の給料・年収の特徴
各種手当は充実
裁判所事務官の手当には次のようなものが挙げられます。
- 期末・勤勉手当:1年間に俸給月額などの約4.5か月分
- 通勤手当:6ヶ月定期券の価額など(1ヶ月あたり最高55,000円)
- 住居手当:月額最高28,000円
- 扶養手当:配偶者月額6,500円など
- 超過勤務手当
各種手当は国家公務員と同待遇であり、充実した内容といえるでしょう。
当直勤務をすれば手当が追加
裁判所事務官の勤務時間は基本的に朝から夕方までとなりますが、交代で当直勤務もおこなっています。
夜間にも「逮捕令状」が必要な場面があり、それに対応できるよう裁判所に待機していなければならないからです。
当直勤務をした場合には、宿日直手当が追加で支払われます。
裁判所書記官へのキャリアアップも
裁判所事務官の経験を積むことで「裁判所書記官」へのキャリアアップも可能です。
裁判所書記官は「法律の専門家」として、調書の作成や訴訟の進行管理、記録などをおこないます。
裁判所書記官は裁判所事務官以上に高度かつ特殊な職務をになうため、月給に調整額が加算されるなど、裁判所事務官よりも高待遇です。
裁判所書記官になるには、裁判所事務官として一定期間勤務した後に受験できる「裁判所職員総合研修所入所試験」に合格しなければなりません。
合格後は1〜2年の研修が必要となります。
実際に裁判所書記官を目指している裁判所事務官は多く、代表的なキャリアアップの一つです。
年収アップが望める分、仕事の責任もさらに重くなりますが、裁判所事務官では扱えなかった仕事にもたずさわれるようになります。
裁判所事務官が収入を上げるためには?
裁判所では「成績主義」「能力主義」に基づく人事管理が徹底されており、個人の能力や勤務態度にあわせて昇進・昇給がおこなわれています。
自己研鑽を積み、日々の業務にも積極的に取り組んでいく姿勢が正当に評価されれば、昇進や収入アップにもつながるでしょう。
また、「司法書士」の資格を所得し、自ら事務所を立ち上げて独立するケースも考えられます。
裁判所事務官の仕事を10年以上経験することで、難関として知られる「司法書士」の資格を国家試験免除で取得できる可能性があります。
司法書士とは、裁判所や検察庁に提出する書類を作成したり、本人に代わって登記手続などをおこなったりする仕事です。
独立にはリスクがともないますが、顧客を安定的に獲得できれば大きく収入を伸ばすことができるでしょう。