【2023年版】裁判所事務官採用試験の難易度・合格率・倍率

裁判所事務官の採用試験について

裁判所事務官の採用は、大きく分けて「総合職試験」と「一般職試験」の2種類があります。

総合職試験は「院卒者試験」と「大卒程度試験」の2区分に分かれ、さらにどちらの種類の試験も「裁判所事務菅」と「家庭裁判所調査官補」の2種類に分かれます。

※上記について、平成26年度試験までは「総合職試験(裁判所事務菅)」は「総合職試験(法律・経済区分)」という名称、「総合職試験(家庭裁判所調査官補)」は「総合職試験(人間科学区分)という名称で実施されていました。

一般職試験は「大卒程度区分」と「高卒者区分」の2区分で実施され、試験の種類はそれぞれ「裁判所事務菅」の1種類のみとなっています。

裁判所事務官 総合職・一般職試験の難易度は?

難関といわれている裁判所事務官の採用試験。その難易度はいったいどれくらいなのでしょうか?

たとえば、、裁判所事務官の区分別・種類別の試験結果は以下のようになっています。

<総合職試験>
・裁判所事務官(院卒者区分):10.9倍
・裁判所事務官(大卒程度区分):38.2倍
・家庭裁判所調査官補(院卒者区分+大卒程度区分):8.3倍

<一般職試験>
・裁判所事務官(大卒程度区分):5.5倍
・裁判所事務官(高卒者区分):19.0倍(※2022年度データ)

このように、とくに総合職の大卒程度区分の合格率は「2%以下」であり、かなりの難関試験であるといえるでしょう。

それ以外の区分については総合職の大卒程度区分よりも倍率は下がりますが、それでも決して簡単な試験ではありません。

また、受験する地域によっても試験倍率は大きく異なりますので、その点も踏まえて受験する試験区分を検討していきましょう。

裁判所事務官採用試験の内容

裁判所事務官になると、全国の家庭裁判所、高等裁判所、最高裁判所に勤務し、裁判の円滑な運営のために業務に従事することとなります。

法律の専門知識はもちろん、裁判を効率的かつ円滑に行うためにさまざまな専門的な知識が必要となります。

試験自体の内容も、法律知識はもちろん、人間性、適性、一般常識も求められます。さらに総合職になると政策論文、人物試験(集団討論や個別面接)も行われるため、総合的な対策が求められるものとなっています。

裁判所事務官になるには

裁判所事務官採用試験に合格するまでの流れ

裁判所事務官の採用試験は、大きく分けて「総合職試験」と「一般職試験」の2種類があります。

総合職試験は「院卒者試験」と「大卒程度試験」の2区分に分かれ、さらにどちらの区分の試験も「裁判所事務官」と「家庭裁判所調査官補」の2種類に分かれます。

※上記について、平成26年度の試験までは「総合職試験(裁判所事務官)」は「総合職試験(法律・経済区分)」という名称、「総合職試験(家庭裁判所調査官補)」は「総合職試験(人間科学区分)という名称で実施されていました。

裁判所事務官採用試験の受験資格

裁判所事務官採用試験の受験資格は、以下の通りです。

総合職試験(院卒者区分)

30歳未満で、次のどちらかに該当する者
(1) 大学院の修士課程または専門職大学院の課程を修了した者、もしくは修了見込みの者
(2) 最高裁判所が(1)に掲げる者と同等の資格があると認める者

総合職試験(大卒程度区分)

(1) 21歳以上30歳未満の者
(2) 21歳未満の場合は、次のどちらかに該当する者
 (ア) 大学を卒業した者、もしくは卒業見込みの者
 (イ) 最高裁判所が(ア)に掲げる者と同等の資格があると認める者

一般職試験(大卒程度区分)

(1) 21歳以上30歳未満の者
(2) 21歳未満の場合は、次のいずれかに該当する者
 (ア) 大学を卒業した者、もしくは卒業見込みの者
 (イ) 短期大学または高等専門学校を卒業した者、もしくは卒業見込みの者
 (ウ) 最高裁判所が(ア)または(イ)に掲げる者と同等の資格があると認める者

一般職試験(高卒者区分)

(1)  高校または中等教育学校を卒業後2年以内の者、もしくは卒業見込みの者
(2)  最高裁が(1)に掲げる者に準ずると認める者(例:中学校を卒業後2年以上5年未満の者など)

以上のように、採用試験の種類や区分によっても受験資格は異なります。

上記で説明した受験資格を簡潔にまとめると、以下のようになります。

<総合職(院卒者区分)>
30歳未満であり、大学院修了及び修了見込みの方

<総合職(大卒程度区分)>
21歳以上30歳未満の方(21歳未満で大学卒業及び卒業見込みの方も受験可)

<一般職(大卒程度区分)>
21歳以上30歳未満の方(21歳未満で大学卒業及び卒業見込み、短大卒業及び卒業見込みの方も受験可)

<一般職(高卒者区分)>
高卒見込み及び卒業後2年以内の方(中学卒業後2年以上5年未満の方も受験可)

参考:裁判所ウェブサイト

裁判所事務官採用試験の合格難易度

裁判所事務官の採用試験は、受験者数も多く試験自体の難易度も非常に高いため、「難関」といわれています。

採用試験は総合職試験と一般職試験に分かれますが、それぞれに、一次試験・二次試験があり、さらに総合職試験の場合は三次試験が実施されます。

これらの採用試験を突破するためには、早めからの対策が必須です。

ここでは、一次試験・二次試験の勉強方法をそれぞれご紹介していきます。

一次試験の勉強方法

総合職試験・一般職試験どちらにおいても「多肢選択型」の試験になります。

そのため、「広く浅く」といった内容試験であるといえるでしょう。

このなかでも、教養科目にある「数的処理」についてはある程度の慣れが必要になるため、できるだけ多くの問題に触れておくことが大切になります。

数的処理は慣れてさえしまえば確実に点数が稼げる部分となりますので、重点的に勉強しておくとよいでしょう。

二次試験の勉強方法

二次試験は一次試験と違い、「小論文」「記述式の問題」「個別面接」などがあります。

これらの対策方法ですが、合格者の多くが、徹底的に過去問題の反復練習をおこなっています。

過去の問題から出題傾向を知ることができ、さらにその勉強が一次試験の専門科目にも生かされるため、なるべく一次試験と二次試験の勉強は並行して勉強を進めるのがおすすめです。

裁判所事務官採用試験の結果

2022年度までの裁判所事務官採用試験の結果です。

2012年度以降は、院卒者試験と大卒程度試験を合計した数字としています。

裁判所事務官総合職試験(裁判所事務官,院卒者区分+大卒程度区分)採用試験受験者数の推移

裁判所事務官総合職試験(裁判所事務官,院卒者区分+大卒程度区分)採用試験の有効受験者数は減少傾向にありましたが、2022年度の受験者数は前年度よりやや増加し420人となりました。

裁判所事務官総合職試験(裁判所事務官、院卒者区分+大卒者区分)受験者数の推移_2022

裁判所事務官総合職試験(裁判所事務官,院卒者区分+大卒程度区分)採用試験合格倍率の推移

裁判所事務官総合職試験(裁判所事務官,院卒者区分+大卒程度区分)採用試験の合格倍率は2012年度をピークに近年低くなっておりますが、2022年度は前年度より増加し26.3倍となっています。

裁判所事務官総合職試験(裁判所事務官、院卒者区分+大卒者区分)合格倍率の推移_2022

裁判所事務官総合職試験(家庭裁判所調査官補)採用試験受験者数、合格率

院卒者試験と大卒程度試験をあわせた数字です。倍率は、第1次試験有効受験者数÷最終合格者数です。

裁判所事務官総合職試験(家庭裁判所調査官補)受験者数の推移_2022

裁判所事務官総合職試験(家庭裁判所調査官補)合格倍率の推移_2022

裁判所事務官一般職(裁判所事務官,大卒程度区分)採用試験受験者数の推移

裁判所事務官一般職(裁判所事務官,大卒程度区分)採用試験の有効受験者数は2020年度に大幅に減少しましたが、2022年度は8,773人となりました。なお、一般職試験の数字は、全国の合計です。

裁判所事務官一般職試験(裁判所事務官、大卒程度区分)受験者数の推移_2022

裁判所事務官一般職(裁判所事務官,大卒程度区分)採用試験合格倍率の推移

裁判所事務官一般職(裁判所事務官,大卒程度区分)採用試験の合格倍率は、近年7倍前後となっており、2022年度の合格倍率は5.5倍となりました。

裁判所事務官一般職試験(裁判所事務官、大卒程度区分)合格倍率の推移_2022

裁判所事務官一般職(高卒者試験)採用試験受験者数の推移

裁判所事務官一般職(高卒者試験)採用試験の有効受験者数は近年3,000人前後を推移しております。2022年度は3,501人となりました。

裁判所事務官一般職試験(裁判所事務官、高卒者区分)受験者数の推移_2022

裁判所事務官一般職(高卒者試験)採用試験合格倍率の推移

裁判所事務官一般職(高卒者試験)採用試験の合格倍率は近年下降傾向にあります。2022年度の合格倍率は19.0倍となっています。

裁判所事務官一般職試験(裁判所事務官、高卒者区分)合格倍率の推移_2022

2023年度 裁判所事務官採用試験の概要

総合職試験(裁判所事務官,院卒者区分・大卒程度区分)

試験日 ・第1次試験:2023年5月13日(土)
・第2次試験:筆記試験 2023年6月10日(土)、人物試験 2023年6月12日(月)~6月23日(金)
・第3次試験:2023年7月18日(火)~7月19日(水)
試験地

第1次試験

東京都、横浜市、さいたま市、千葉市、水戸市、宇都宮市、前橋市、静岡市、甲府市、長野市、新潟市
大阪市、京都市、神戸市
名古屋市、津市、金沢市、富山市
広島市、山口市、岡山市、鳥取市、松江市
福岡市、長崎市、大分市、熊本市、鹿児島市、宮崎市、那覇市
仙台市、福島市、盛岡市、秋田市、青森市
札幌市、函館市、釧路市
高松市、高知市、松山市

第2次試験

筆記試験:第一試験地に同じ
人物試験:東京都、大阪市、名古屋市、広島市、福岡市、仙台市、札幌市、高松市

第3次試験

東京都

受験資格 [院卒者区分]
1993年4月2日以降に生まれた者で次に掲げるもの
1 大学院修士課程又は専門職大学院専門職学位課程を修了した者及び2024年3月までに大学院修士課程又は専門職大学院専門職学位課程を修了する見込みの者
2 最高裁判所が1に掲げる者と同等の資格があると認める者
<大卒程度区分>
1 1993年4月2日から2002年4月1日までに生まれた者
2 2002年4月2日以降に生まれた者で次に掲げるもの
 (1)大学を卒業した者及び2023年3月までに大学を卒業する見込みの者
 (2)最高裁判所が(1)に掲げる者と同等の資格があると認める者
試験科目

第1次試験

<基礎能力試験(多肢選択式)>
公務員として必要な基礎的な能力(知能及び知識)についての筆記試験
○知能分野27題
○知識分野13題(裁判所事務官,大卒程度区分)、3題(院卒者区分)
<専門試験(多肢選択式)>
裁判所事務官に必要な専門知識などについての筆記試験
<必須> 憲法7題、民法13題
<選択> 刑法又は経済理論10題

第2次試験

<論文試験(小論文)>
文章による表現力、課題に対する理解力などについての論文による筆記試験1題
<専門試験(記述式)>
裁判所事務官に必要な専門知識などについての筆記試験
<政策論文試験(記述式)>
組織運営上の課題を理解し、解決策を企画立案する能力などについての筆記試験1題
<人物試験>
人柄、資質、能力などについての個別面接

第3次試験

<人物試験>
人柄、資質、能力などについての集団討論及び個別面接

合格率 26.3倍(2022年度)
合格発表 ・第1次試験:2023年6月1日
・第2次試験:2023年7月6日
・第3次試験:2023年8月2日
詳細情報 裁判所 採用試験情報

一般職試験(裁判所事務官,大卒程度区分)

試験日 ・第1次試験:2023年5月13日(土)
・第2次試験:2023年6月12日(月)~7月7日(金)
試験地 東京都、横浜市、さいたま市、千葉市、水戸市、宇都宮市、前橋市、静岡市、甲府市、長野市、新潟市
大阪市、京都市、神戸市
名古屋市、津市、金沢市、富山市
広島市、山口市、岡山市、鳥取市、松江市
福岡市、長崎市、大分市、熊本市、鹿児島市、宮崎市、那覇市
仙台市、福島市、盛岡市、秋田市、青森市
札幌市、函館市、釧路市
高松市、高知市、松山市
受験資格 1.1993年4月2日から2002年4月1日までに生まれた者
2.2002年4月2日以降に生まれた者で次に掲げるもの
⑴ 大学を卒業した者及び2024年3月までに大学を卒業する見込みの者並びに最高裁判所がこれらの者と同等の資格があると認める者
⑵ 短期大学又は高等専門学校を卒業した者及び2024年3月までに短期大学又は高等専門学校を卒業する見込みの者並びに最高裁判所がこれらの者と同等の資格があると認める者
試験科目

第1次試験

<基礎能力試験(多肢選択式)>
公務員として必要な基礎的な能力(知能及び知識)についての筆記試験
○知能分野27題
○知識分野13題
<専門試験(多肢選択式)>
裁判所事務官に必要な専門知識などについての筆記試験
・必須:憲法7題、民法13題
・選択:刑法又は経済理論10題

第2次試験

<論文試験(小論文)>
文章による表現力、課題に対する理解力などについての論文による筆記試験1題
<専門試験(記述式)>
裁判所事務官(大卒程度区分)に必要な専門知識などについての筆記試験
憲法1題
<人物試験>
人柄、資質、能力などについての個別面接

合格倍率 5.5倍(2022年度)
合格発表 ・第1次試験:2023年6月1日
・第2次試験:2023年8月2日
詳細情報 裁判所 採用試験情報