労働基準監督官の年収はいくら? 給料についてくわしく解説
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労働基準監督官の平均年収・給料の統計データ
労働基準監督官は厚生労働省の専門職員として勤務する国家公務員として、全国にある労働局や労働基準監督署で労働者の権利を守るために事業者の監督や指導を行っています。
給料や福利厚生、業務のレベルに応じた等級などは法律で定められているほか、不況などの社会情勢にさほど左右されないため、収入の面で心配する必要がなく将来を見据えた働き方ができるメリットがあります。
労働基準監督官の平均年収・月収・ボーナス
労働基準監督官の俸給(一般的にいう基本給)は「一般職の職員の給与に関する法律(給与法)」によって定められています。
適用されるのは「行政職俸給表(一)」で、採用当初は1級26号俸が適用されます。
ちなみに等級はキャリアに応じて1~10級まであるほか、経験や業務範囲によって変わる「号俸」が1~125号まで設定されています。
この俸給に諸手当が加わるため月収の幅は広く、採用1年目だと20万円前後、8~10級という幹部クラスになると50~60万円前後の月収が支給されます。
期末手当・勤勉手当と呼ばれるボーナスがほぼ確実に支給されるのも魅力で、1年間に俸給などの約4.5カ月分が支給されます。
平均月収は公表されていませんが、労働基準監督官が分類される行政職俸給表(一)の給与平均が公表されており、そこから抜粋すると給与平均は約41万円です。
以上のことから、平均給与の12カ月分(約490万円)にボーナス4.5カ月分(約184万円)を加えると年収は約670万円となります。
平均値の単純計算ですのであくまでも参考年収ですが、労働基準監督官の年収は決して低いとはいえません。
労働基準監督官の初任給はどれくらい?
労働基準監督官の初任給は採用される労働局によって若干変わります。
その理由は、国家公務員の諸手当の一つに地域手当があるからです。
地域手当とは民間賃金の高い地域に勤務する場合に支給される手当で、(俸給+俸給の特別調整額+専門スタッフ職調整手当+扶養手当)の月額×支給割合で決まります。
一番地域手当が高いのは「1級地」という区分で東京都特別区が該当し、その場合の支給割合20%で初任給は220,680円で、地域手当のない地域に勤務する場合は183,900円が初任給です。
これに扶養手当、住居手当、通勤手当が加わった額が毎月の給与になります。
労働基準監督官の福利厚生の特徴は?
給与や雇用の面での安定だけでなく、福利厚生も充実しているのが国家公務員の特長といえます。
各種手当や休暇制度など、手厚い制度が設けられているので上手に利用すれば仕事もプライベートも充実させることができます。
生活補助的な手当
・扶養手当
扶養親族のある職員に対する手当で、配偶者の場合は最高で月6,500円支給されます。
・住居手当
借家に居住する職員および単身赴任手当受給者であって配偶者などが借家に居住する職員に対する手当で、最高で月28,000円支給されます。
・単身赴任手当
異動などによって住居を移転し、やむを得ない事情で家族と別居する際、月30,000円~100,000円が支給されます。
地域給的な手当
・地域手当
一番割合が高いのが1級地にあたる東京都特別区で支給割合は俸給などの20%、5級地(水戸市、大津市、京都市、奈良市、広島市、福岡市)が10%、一番低いのが7級地(札幌市、前橋市など)の3%です。
・広域異動手当
広域的な異動を行った職員に対する手当で、(俸給+俸給の特別調整額+専門スタッフ職調整手当+扶養手当)の月額×支給割合(300km以上の場合は10%、60km以上300km未満の場合は5%)が3年間支給されます。
・寒冷地手当
寒冷地に勤務する職員に対する手当で、最高で月26,380円(旭川市、帯広市の場合)支給されます。
仕事と家庭の両立支援に関する制度
・妊娠中
通勤ラッシュを避ける時差通勤制度や妊産婦検診のための職務専念義務免除の制度。
・出産後
出産に関わる入退院の付添いができる配偶者出産休暇や育児参加休暇。
・子育て期間中
育児短時間勤務、保育時間、早出遅出勤務、超過勤務制限など。
休暇制度
年次休暇(年20日)、病気休暇、特別休暇(公民権行使、骨髄等ドナー、ボランティア、結婚、産前・産後、保育時間、妻の出産、子の看護など)、介護休暇など、必要に応じて取得できます。
労働基準監督官の給料・年収の特徴
確実に給料を得られる
国家公務員という安定した立場であるため、経験年数に応じてある程度まで給料は上がるでしょう。
また社会情勢にあまり影響されないというのも国家公務員のメリットで、仮に社会全体が不況の時期であっても給料に影響しないのは魅力です。
ただし、不況の時こそ労働基準監督官の力が必要になりますし、激務になることが予想されます。
困っている事業者や労働者のために尽力するのが責務であるため、そういう時こそ労働基準監督官の存在意義が問われるのは間違いありません。
手当の充実
各種手当や制度は上記で紹介した通りですが、超過勤務手当や休日給、夜勤手当なども当然支給されます。
特に労働基準監督官は採用された都道府県労働局管内での異動が定期的に行われるため、住居の移動が伴う場合などは安心して働ける要因にもなります。
総合的に国家公務員の手当は充実しているのが特長ですが、近年は国家公務員の人件費が問題になっています。
すでに扶養手当の削減が段階的に実施されており、今後も各種手当の削減や廃止が進む可能性も考えられるため、手当をあてにした将来設計はやめたほうがよさそうです。
労働基準監督官が収入を上げるためには?
労働基準監督官として収入アップを目指すなら、キャリアップしか道はありません。
各種手当により多少の増額があるかもしれませんが、ベースの底上げが確実といえます。
労働基準監督官のキャリアは2通りあり、労働局や労働基準監督署でキャリアを積む方法と、厚生労働本省でキャリアを積む方法です。
前者の場合、監督署・係員級(採用~7年)、監督署・係長級(8~14年)、監督署・課長級(15~22年)、監督署・署長級(23年目以降)というようにキャリアアップしていきます。
次に厚生労働本省で働く場合ですが、採用後3年目以降に本人の希望に応じて異動が可能です。
本省・係員級を3年~7年経験し、7年目以降に本省・係長級、本省・課長補佐級、本省・課室長級というようなキャリアアップが用意されています。
基本給にあたる俸給だけで比べると、採用時の係員(1級)だと18万円代ですが、係長(3~4級)になれば30万円代となり10万円以上ベースアップします。
本省の課長クラス(9~10級)ともなれば俸給だけでも50万円代となり、一般的にはかなりの高収入といえます。