理学療法士になるには? 必要な資格は?

理学療法士になるまでの道のり

理学療法士になるには、国家試験を受けて理学療法士の国家資格を取得することが必要です。

試験には受験資格があり、国によって指定された理学療法士の養成校で3年以上学び、所定の単位を取得して卒業することが条件となっています。

毎年度末に単位が不足していると進級・卒業できませんし、また単位が足りていても、成績が芳しくない人に対しては、国家試験を受けさせてもらえないというケースもあるようです。

また、座学だけでなく、実習もかなりのボリュームがありますので、養成校在学中は、かなり真剣に勉強に励まなければならないでしょう。

卒業後、厚生労働省が主管する国家試験を受け、合格すれば理学療法士資格が得られます。

理学療法士になるまでのルート

理学療法士の資格・難易度

理学療法士資格は、職業名を名乗って働くために必要となる「名称独占資格」と呼ばれる種類のものですが、理学療法士として就職するためには事実上資格取得が必須です。

近年の理学療法士試験は、合格率80%前後というかなり高い水準で推移しており、多くの人が養成校卒業後すぐに資格を取得しています。

ただし、これは試験自体の難易度が低いというよりも、上述したように、しっかりと合格できるレベルまで勉強に励んでから試験を受ける人が大半であるという事情が大きく影響しています。

新卒者より既卒者のほうが合格率が低いことから考えても、試験を突破できるかどうかは、学生の間にどれだけ一生懸命勉強するかにかかっているといえるでしょう。

理学療法士国家試験の難易度・合格率

理学療法士になるための学校の種類

理学療法士を目指せる学校としては、大学・短大の医療系学科やリハビリテーション学科、3年制または4年制の医療系専門学校が挙げられます。

現場に出る前に専門知識を身につけたいという人や、研究職を目指す人については、4年制大学卒業後に大学院の博士課程・修士課程まで進む選択肢もあります。

高校の進路選択においては、理系を選んでおくことが望ましいのは間違いありませんが、文系からでも理学療法士になることは不可能ではありません。

学校によって入学試験で出題される科目や選抜方法にはばらつきがあるため、理系科目の少ない学校を志望したり、AO入試制度や推薦入試制度を利用したりすれば、文系でもチャンスは十分にあります。

ただし、入学後も生物や化学、物理などの基礎知識が問われることから、授業についていくためにも、高校時点から理数系科目に慣れ親しんでおくほうがよいでしょう。

授業内容と卒業までの流れ

1年目については、解剖学、生理学、病理学、運動学など、医学に関する基礎科目を学びます。

理学療法学科だけでなく、作業療法学科や看護学科など、ほかの資格を目指す生徒と合同で講義が行われるケースも頻繁にあります。

2年目以降は、理学療法概論や臨床運動学など、徐々に専門的な内容になり、学科ごとに別れて講義を受けます。

治療方法や訓練方法といった実務知識を学ぶため、1年目のうちにしっかりと基礎ができていないと、応用問題についていけなくなる可能性もあるでしょう。

3年目・4年目の最高年次は、引き続き座学もありますが、これまで学んできたことの集大成として「臨床実習」を行うことと、国家試験対策を行うことがメインです。

身につけた知識を生かして実習をこなし、校内での模試などでも十分な成績を残せば、卒業見込として国家試験の受験資格が与えられ、卒業を間近に控えた2月頃に試験に臨むことになります。

理学療法士になるための大学と学費

理学療法士を目指せる大学は、理学療法学科やリハビリテーション学科を設置している大学が対象となります。

数多くの大学があり、京都大学や名古屋大学、神戸大学といった名門国立大から、偏差値35程度の地方私立大学まで、入学難易度もさまざまです。

大学に進んだ場合、より専門的な知識を学ぶために、あるいは臨床現場でなく研究職として働くことを目指すために、大学院まで進学する道もあります。

学費については、公立の場合4年間総額で250万円~300万円前後、私立の場合は550万円~800万円前後が相場であり、公立と私立で約2倍ほどの開きがあります。

公立のなかでも、各国立大学は国からの補助金があるため、入学金や授業料がかなり低めに設定されています。

理学療法士になるための専門学校と学費

理学療法士になるための専門学校は、医療系、福祉系、スポーツ系など、さまざまな特色をもったところがあります。

大学と比較すると、授業はより実務や国家試験を意識した実践的な内容になり、臨床経験の豊富な現役理学療法士が教鞭を取っているケースも珍しくありません。

また、昼間部(第一部)と夜間部(第二部)を併設している専門学校も多く、働きながら資格取得を目指す人も大勢います。

学費については、3年制で350万円~500万円、4年制で550万円~800万円が相場とされており、昼間部より夜間部のほうが若干安くなる傾向にあります。

かなりまとまった金額が必要になるといえますが、分納制度や各種奨学金制度、特待生制度、教育ローン制度などを利用して、負担を軽減することも可能です。

学校の選び方

3年制か4年制か

理学療法士になるための学校を選ぶ場合、まずは3年制か4年制、どちらにするかを決める必要があります。

3年制は、1年早く現場に出られる、学費が安くすむというメリットがある一方、カリキュラムに余裕がなく、かなり集中して勉強に励まなければなりません。

4年制は、スケジュールにゆとりがあり、知識の幅も拡がりやすいといえますが、経済的負担が重くなりやすいのが難点です。

どちらを選ぶにしても一長一短ありますが、働きだした後のキャリアに影響を及ぼすことはありませんので、各自の事情を勘案して最適な方を選択してください。

設備の充実度合い

理学療法士の仕事は、物理療法や運動療法といったリハビリテーションが主であり、できる限りそれらについての知識を、教科書から学ぶのではなく、実体験から学べる環境が望ましいといえます。

したがって、専用の実習室があったり、車椅子、義足、義手といった補助器具や各種療法を行うための設備などが充実している学校を選んだほうがよいでしょう。

そうした情報はホームページやパンフレットにも記載されていますが、オープンキャンパスや入学説明会などに参加して、自分の目と耳で実際に確かめてみることをおすすめします。

理学療法士の養成校は現状かなり豊富にあるため、いくつかの学校をまわって、比較検討してみることが大切です。

国家試験の合格率

養成校に通うのは、理学療法士の国家試験取得が最終目的である以上、国家試験合格率も非常に気になるところです。

卒業生の合格実績をオープンにしている学校も多数あるため、それらも学校選びのうえで重要な指標となるでしょう。

ただし、学校によっては、そもそも合格確実な生徒にしか国家試験を受けさせないというところもあることから、パーセンテージだけをそのまま鵜呑みにするわけにはいきません。

できれば、合格率だけでなく在校生の人数や合格者の実数といったデータも収集し、数字の信ぴょう性をよく吟味することが望ましいでしょう。

理学療法士に向いている人

理学療法士は、リハビリなどで患者と直接ふれあう時間が非常に長い職業であり、また医師看護師といったほかのスタッフとも、情報を共有するために打ち合わせする機会が日に何度もあります。

したがって、机に向かって1人で黙々と作業するよりも、さまざまな人と接し、コミュニケーションを取りながら仕事を進めるほうが好きな人が、理学療法士に向いています。

また、リハビリの効果を最大限に引き出すためには、マニュアル通りに作業をこなすのではなく、「患者の身体を少しでもよくしたい」という熱意を持って取り組むことが重要です。

人が好きで、人の役に立ちたいという思いが強い人ほど、理学療法士として活躍できるでしょう。

理学療法士に向いている人・適性・必要なスキル

理学療法士のキャリアプラン・キャリアパス

理学療法士は、資格さえ取得すればすぐに仕事をこなせるわけではありません。

実務スキルについては、臨床の現場で先輩や上司に教わりながら身につけていくことが必要です。

物理療法や運動療法など、覚えなければならない手技が多く、また多様な症状・多様な患者に対応することが求められるため、1人前の理学療法士になるには10年ほどかかるといわれています。

一通りのスキルを身につけた後には、同じ職場に留まってキャリアアップしていく人もいれば、待遇面の改善などを求めて別の職場に転職していく人もいます。

また、スポーツ分野の専門知識を磨いて、スポーツトレーナーになる人もいれば、作業療法士の資格も取得して、手掛けられるリハビリの幅を増やす人もいます。

近年では、独立してデイサービスセンターや訪問リハビリテーション事業所を開設し、介護分野で経営者として活躍する理学療法士も増えつつあります。

理学療法士を目指せる年齢は?

理学療法士の養成校に通う生徒のなかには、ほかの大学の既卒者や社会人なども珍しくなく、その年齢構成はばらばらです。

求人情報をみても、資格さえあれば未経験でも採用するというところも多くあり、年齢制限もとくに設けられていないケースが目立ちます。

これは、理学療法士の離職率が高く、入れ替わりの激しい職種であることが影響していますが、常に求人需要があるため、30代や40代からでも、理学療法士を目指すことは十分に可能といえます。

夜間講座を開講している学校も多数ありますので、日中の仕事を続けながら資格を取得することもできるでしょう。

理学療法士は女性でもなれる?

近年の理学療法士の男女比率は6:4ほどであり、全国では約4万人弱の女性理学療法士が活躍しています。

リハビリを行う際には、理学療法士は直接患者の身体に触れることになりますので、女性の理学療法士に担当してもらいたいという女性患者も多く、病院やクリニックも女性の採用に積極的です。

ただし、リハビリは力仕事であり、ときには自分より身体の大きな患者を介助するケースもあるため、女性理学療法士にはしっかりとした筋力・体力・持久力が必要になるでしょう。

女性の理学療法士のキャリアパス・結婚後の生活

参考:理学療法士に関するデータ

理学療法士養成校定員数

理学療法士養成校の定員数は、平成28年に急増し、以降徐々に増えています。令和3年の定員数は14,574名となっています。

理学療法士養成校入学定員数_r3
出所:日本理学療法士協会

理学療法士協会会員数

理学療法士の人数(理学療法士協会会員数)は年々増加しています。令和2年3月時点での理学療法士の人数は129,875名となっています。

理学療法士会員数_r2
出所:日本理学療法士協会

理学療法士 年齢別人数

令和2年3月時点での理学療法士の年齢別人数では、26歳〜30歳が最も多くなっています。近年、理学療法士の人気が急速に高まったことから、20代、30代が多くを占めている状況となっています。

年齢区分別・男女別の理学療法士の人数_r2
出所:日本理学療法士協会

理学療法士男女比

令和2年3月時点での理学療法士の男女比は、男性60.8%、女性39.2%と、男性が多い比率になっています。

理学療法士人数男女比_r2
出所:日本理学療法士協会

理学療法士の雇用形態

理学療法士の雇用形態は、大きく「常勤」と「非常勤」の2種類に分けられます。

常勤は、一般企業の正社員と同じように、病院や介護施設の正規職員としてフルタイムで働く形であり、非常勤は、アルバイトやパートなど、日数や時間を限定して働く形です。

理学療法士の仕事は専門性が高く、また資格を取得するまでに長い時間と相応の費用がかかりますので、そのほとんどは常勤で働いています。

しかし、なかには非常勤で働く人もおり、病院を例に取ると、非常勤の理学療法士の割合は全体の2%前後です。

非常勤で働く理由はさまざまですが、結婚や出産、育児、介護といった家庭生活と仕事を両立させるために、アルバイト・パートの雇用形態を選んでいる人が目立ちます。

また、かつては常勤で働いていたものの、家庭生活を優先させるために離職した人が、子育てなどが落ち着いたので職場復帰する際に、ブランクを勘案して仕事に慣れるため非常勤で働くケースもあります。

以下では、常勤・非常勤の特徴や待遇面の違いなどについて、両者を比較しながら紹介します。

常勤の理学療法士

常勤の特徴

常勤の理学療法士は、それぞれの施設においてリハビリを主導する存在です。

理学療法士ごとに患者を担当し、治療にあたったりリハビリ計画を策定したりしますが、数年のキャリアを積んだ後には役職者となり、非常勤を含めてスタッフ全体を統括するポジションになります。

非常に責任ある立場といえますが、医師や看護師といったほかの医療職とは違って夜勤などで働くことはありませんし、施設によって多少事情は異なるものの、長時間の残業が求められるケースもまれです。

非常勤ほどではないものの、勤務時間・勤務体系が安定している点が、常勤の理学療法士の特徴といえます。

常勤の待遇

厚生労働省の統計によれば、理学療法士の平均年収は400万円前後となっており、フルタイムで働く日本の給与所得者全体の平均を下回る水準です。

少なくない費用と期間をかけて国家資格を取った割には報われないといえますが、これは理学療法士の平均年齢がかなり若手に偏っていることが挙げられます。

正規職員として長年ひとつの施設に勤め続ければ、「理学療法士課長」「リハビリ部長」「施設長」などの役職者に昇進し、平均以上の年収を得ることも十分に可能です。

ただ、役職が付くと、新人の教育や他施設との連携など、現場作業以外の仕事が増えますので、理学療法士としての仕事を優先させるために昇進を断る人もいるようです。

非常勤の理学療法士

非常勤の特徴

非常勤の最大の特徴は、常勤よりも時間の使い方が自由になることです。

働く時間を減らして、上述のように家庭生活との両立を図ることもできますし、反対に、勤務時間の限られている正規雇用よりも長時間働いて、より大きく稼ぐこともできます。

また、理学療法士の活躍の場は複数ありますので、さまざまな経験を積むために、あるいは人脈を広げるために、いくつもの職場をかけもちして働く人もいるようです。

まずは非正規で実際の現場をみておけば、正規職員としての職場を選ぶ際にも非常に役に立つでしょう。

ただし、アルバイトやパートの職員は、施設側の事情によって契約を打ち切られることも珍しくなく、雇用形態として常勤より不安定であることは間違いありません。

非常勤の待遇

理学療法士は国家資格が必要になる専門職であるため、一般的なアルバイトやパートと比べると、時給はかなり高めです。

病院やクリニック、老人ホームなどでの時給は1,800円~2,300円前後であり、スキル次第ではより高時給を得ることも可能です。

また、近年需要が大きく伸びており、人手不足の状況にある訪問リハビリ事業所などでは、1件3,000円~5,000円(1件の時間単位40分~60分)と、病院などよりもさらに高単価のところが目立ちます。

仮に月曜日~土曜日まで1週間6日、1日あたり7件の訪問をこなすとすれば、月収に換算して50万円~80万円ほどになり、年収は常勤の職員を大きく上回ります。

日曜日も働けば、年収1000万円に達することも計算上は可能であり、実際にそれだけの高収入を得ている人も存在しますが、体力的にはきわめてハードです。

独立開業する理学療法士

リハビリは、必ず医師からの指示に基づいて行わなければならないため、理学療法士が独立開業して、単独で保険請求することはできません。

しかし、一般企業と同じように、あくまで個人として起業することは可能であり、デイサービスセンターや訪問介護ステーションなどを開設する理学療法士も近年増えつつあります。

理学療法士がそういった施設を運営すれば、ほかの施設と同じく介護サービスを行うだけではなく、近隣の病院やクリニックと連携することで物理療法や運動療法といったリハビリサービスも提供できます。

上述したような非常勤形態でのハードワークを一定期間こなし、必要な開業資金を貯めて、自身の思い描くサービスを行える施設を開業する理学療法士もいるようです。

ただし、独立開業には、資金の確保はもちろん、建物や人材の管理、集客のための営業、経理・税務処理など、数多くのタスクをこなすことが求められます。

失敗する危険性もあるため、細部までビジネスプランを練り、計画的に起業することが重要です。