理学療法士の需要・現状と将来性

理学療法士の現状

理学療法士は、リハビリテーションの専門家として社会的に地位の確立した職業であり、近年は医療業界だけでなく、介護業界や福祉業界からも大きな注目を集めています。

これに伴って、理学療法を学べる学校も増加傾向にあり、2000年には全国に100校程度だった養成校も、直近では250校前後にまで増えています。

多くの人が国家資格取得を目指せるようになっているのはよいことですが、その結果として、理学療法士の数も大きく増加しており、現在では資格保有者の数は10万人を超えています。

このため、就職先は飽和状態に近づいているとされており、とくに理学療法士の人気が高い病院やクリニックといった医療施設への就職は、採用倍率が非常に高くなるケースも散見されます。

国家資格を取得しても、希望する勤務先に就職できるとは限らなくなっているのが、理学療法士の現状です。

理学療法士の需要

医療施設では、ほぼ横ばいの需要に対して供給のほうが上回っている状況ですが、介護施設では、需要は一貫して増加傾向にあるうえ、就職希望者もそこまで多くはありません。

とくにニーズが高まっているのが、デイケア(通所リハ)や訪問リハなど、自宅療養する患者を対象とした地域リハビリテーション関連の仕事です。

高齢者の増加によって、病院の慢性期病床はどこも稼働率100%近くになっており、また退院した患者を受け入れる老人保健施設や特別養護老人ホームといった介護施設にもほとんど空きがありません。

このため、在宅介護を余儀なくされる高齢者・家族が急増しており、入院することなく日帰りで、あるいは自宅でリハビリができるサービスに人気が集まっています。

医療・介護といった分野を問わず、理学療法士全体としての求人を考えれば、今後もまだまだ需要が高まり続けていくことは間違いないでしょう。

理学療法士の将来性

超高齢化を迎える日本の社会情勢を考えれば、リハビリのスペシャリストである理学療法士の将来性は非常に明るいといえます。

資格保有者が増え続けるなかにあっても、少なくとも働き口に困るということはないでしょう。

ただし、理学療法士は資格さえ取ればすぐ働けるというタイプの職業ではありませんので、実務経験を積んだり、仕事終わりに勉強したりと、働きながら自己研鑽に励むことは不可欠です。

とくに、自身が望む仕事内容や待遇の職場に就職・転職したいなら、他者よりもさらに努力して、なんらかの専門知識を身につけることが望ましいでしょう。

作業療法士の資格も取得して、身体機能訓練から日常動作訓練まで幅広く手掛けられるようにしたり、スポーツリハビリに特化して、トレーナーを目指すといった道も考えられます。

これから理学療法士を目指すなら、単に「理学療法士になりたい」というのではなく、「理学療法士として何がしたいか」まで明確にすることが大切といえるでしょう。

理学療法士の今後の活躍の場

理学療法士の今後の活躍の場としては、医療分野においては「緩和ケア」が挙げられます。

緩和ケアとは、がんをはじめとする重病患者に対して、身体的な痛みや、精神的な不安を取り除くために行われる医療行為です。

理学療法士については、痛みをやわらげるための物理療法や、残された身体機能を有効活用するための運動療法を行って、患者のQOL(生活の質)をできる限り高める役割が求められます。

緩和ケアをはじめ、終末期医療に携わる理学療法士は、今後ますます増えていく見通しです。

また、介護分野においては、独立開業がひとつのキーワードとなるでしょう。

近年は、理学療法士が代表となり、訪問介護事業所やデイサービス(通所介護)センターを立ち上げる事例が増えつつあります。

理学療法士が自ら経営すれば、食事や入浴の介助、レクリエーションといった通常の介護に加えて、専門的なリハビリも併せて行うことができますので、他施設との差別化につながります。

開業資金や人材確保の問題もあり、決してハードルは低くありませんが、新しい働き方を考えるなら、起業という選択肢も非常に有効です。